
気を引き締め直さないといかん

と、言う事で、今回からはプラスチゾルインクの長所第一回。「版上でインクが目詰まりしない」です。
ひつこい様ですが、プラスチゾルインクは一定の高温にならなければ一切固まる事はありません。
対して、水性バインダーは常温でも少しずつ固化していきます。
ご存知のように、版のインクが通過する部分は「細かい網の目」が密集しています。ここに少しでも通貨しきれないインクが残っていたらどうなるでしょう?
プラスチゾルインクの場合は、常温では硬化しないので(まだ)大丈夫なのですが、水性バインダーは徐々に硬化する事で版の網々を部分的に詰まらせてしまいます。そして、詰まってしまった部分は、以後インクが通過できないので、被印刷物にはインクが乗らない、という事になりますね

この点から言うと、プラスチゾルインクの方が便利ですね

ただ、何点か気になる事があります

と、言うのは、
インクが版を詰まらせる事は無い=インク返しをしなくとも良い
みたいな認識になっていないのか?と言う事なのです。
巷にあふれる情報には、全く「インク返し」をしていないものが多いのですが、これはシルクスクリーン印刷の基本原則から言うと間違いです。
あ。。。。。。
「インク返し」とは
スキージングしたスキージを、スキージの角度(向き)は同じままで、インクを逆向きに押し返し、版の孔にインクを埋める
作業の事です。
プリントの際のスキージングとは違い、インクを落とす訳ではないので、印圧(スキージにかける垂直の圧力)はかけません。インク返しをした直後の版は、あたかもパンにバターを塗った状態

「シルクスクリーン印刷とは、孔版に一旦貯めたインクを、スキージングによって通過させる技法」
です。
一度お試し頂ければお分かり頂けるのですが、一度のスキージングで落ちるインクの量が変わります。
又、インク返しをしない場合に比べて、無用の印圧の必要が無くなります。
良く見かけるプリント風景に、むやみにスキージをぎゅ~っと押しつけて印刷されている

インクをたくさん落としたいからなのか

物理的に言って、やみくもに印圧を上げると、逆にせっかくのインクを掻き取ってしまいかねません

版と被印刷物の間の間隔(オフコンタクト)をちょうど0にする印圧があれば良いのです。
このパターンはプラスチゾルインクを使用している場合に多くみかけます

ちなみに水性バインダーを使用している場合は、オフコンタクトをほとんど取らずに、印圧をほとんどかけていないパターンが多いのですが

プラスチゾルインクを使用しているプリントで、スキージングした後のインクを、版枠のハジッコですくい上げて「よっこいしょ」っと、版の一番向こう側まで持っていく・・・・

と言う訳で、又今日も本題から離れていく

インク返しを前提にして、再度まとめてみます。
プラスチゾルインクは常温で硬化しないので、版を目詰まりさせる事はありません。
でも、インク返しはしましょうね。それと、インクが固まらないからと言って、掃除もしないで版を放置するのはよしましょう

水性バインダーは常温で次第に固化しますので、版を目詰まりさせる事があります。
インク返しをする副次的な効果でこれは遅らせる事ができます。又、水性バインダーの自然固化お遅らせる助剤もあります。 →これ
昔、歌舞伎の役者さんだと思いましたけど

「基本ができてはじめてできる事を独創的と言うのであって、基本もなっていないのにできる事は、我流と言ったり、タマタマとかなんですね」
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