とても良い出会いを頂いた。


昨日、湯布院にあるお気に入りのチーズ屋さんでチーズを買いに行こうとしていたのだが、何かに吸い寄せられるかのように、とあるギャラリーに足が向いた。


エントランスに入ると、『空』『風』『無』の三文字が力強く書かれている。
僕は、そのうちの『無』に見せられてしまって、ずーっと立ち尽くしてしまった。
絵に吸い寄せられたという経験は、かつて体験したことが無い。
とても不思議な経験だった。


ぼぅっと立ち尽くしていると、ギャラリーの管理人らしき方が
「色々難しく見ようとしたら疲れてしまいますよ~。」と話しかけてきた。

しかし、そのなんとも言えない感情を彼に打ち明けるように話していたら、
「ああー。この無を褒めてくれるのは嬉しいなー。力作なんですよ。」


!!???


なんと、作者本人であった。
『無』は彼が生涯書き続ける絵だと決めているらしく、それを感じ取ったことが嬉しかったらしい。


色の表現方法や、作品を書いた時の心境、『無』という言葉の持つ意味。
話は一枚の絵から人生観や私の名前の解釈、印刷という仕事と芸術、禅宗思想にまで広がり、何と気付けば2時間半。
僕をとても気に入ってくれたらしく、お茶を出して頂き、未公開の作品を出して見せてくれたり、ご自身の夢まで教えて頂いた。

とても貴重な、素晴らしい経験をした。
最後に名刺交換をして、送り出される時に『また遊びにおいでよ、ね?安部さん。』と暖かく送り出して下さった。

ものすごい経歴の方とは露知らずお話していたが、これほどの実力者でありながら、一切気取らない姿勢に、『無』の絵から感じたモノと同じ感覚を覚えた。

芸術とは、金銭の価値で決まるものではないと個人的には思っている。
どうしても、彼の『無』が欲しいと思う。

プライスを聞いて、さすがのお値段。


いつか、彼の作品を手にしたい。
初めて心の底から芸術に感銘した日。


一切メディアに出たくないとおっしゃっていたので、個人名やアトリエの名前は伏せさせて頂くが、公明な神社に作品の奉納をされていたり、某海外超一流ブランドのオフィスに作品が展示されていたりという凄まじい経歴の持ち主。

また『無』を見せてもらいに遊びにお邪魔したい。