羽田空港にて | なんのかんの

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仲良く遊んでるか~

 

昔のホームページから転載

 

出張で羽田空港に降り立ったのは、午後4時30頃だった。 

今夜、宿泊予定のホテルまでは電車で1時間半ぐらいの距離である。 このまま移動するとラッシュにぶつかりそうだし

都内で食事をするところを捜すのも面倒だったから

空港内で食事を済ませてから移動することにした。

時間がたっぷりあるので、じっくりといろんな店を見て回り

蕎麦かハンバーグのどちらか悩んでしまい

一服しながら考えようと喫煙室に行き

吸い終わた後に蕎麦にすることに決めて

喫煙室を出て蕎麦屋に向かって歩いてる時

美味しそうな匂いが漂ってきた。 

ふと眼をやると今日のおすすめメニューの所に

ハヤシライスを置いてある店があり心が動いた。 

そして、店の謳い文句の

飛び立つ飛行機を見ながら食事が出来る店が決めてになり

ハヤシライスを食べることにした。 

(悩んでいたのは何だったんだろうね)

 店に入るとお煙草はお吸いになられますか?と聞いてきた。 

もちろん吸うと答えながら、煙草が吸える店で良かったと思った。 (後で知った事だが、どこの店でも喫煙席があるらしい)

喫煙席に案内してもらい、ハヤシライスを注文して

早速煙草に火をつけて煙をくゆらせつつ

夕陽の中を行き交う飛行機を見ながら注文の品を待った。 

やがて、ハヤシライスが運ばれてきたので

煙草をもみ消しハヤシライスを食べた。 

皿の半分くらい食べた頃、先程のウエイトレスさんが

私の所に水の補充にきてお客様は出張ですか?と聞いてきた。

そうですと答えると

さらにどこからなんですか?と聞くので

青森からですと言ったら

同僚に青森出身の人がいるので今連れてきますと走って行った。 

そして、胸に”見習研修中”の名札をつけた

まだ少し田舎の匂いを残してる感じの女の子を連れてきた。

この春に高校を卒業したばかりだと言う。 

私は食べるスプーンを休めて、彼女と青森の話をしたが

彼女は笑顔満面で、その瞳はキラキラ輝いていた。 

しかし、彼女は仕事中であり、他の接客もしなければならないので

私と長く話をしている訳にいかないのである。 

それでも彼女は、たいして減ってもいないコップの水を

何回も継ぎ足しに来ては話をした。 

都会で暮らしをしていて、同郷の人に会うと見ず知らずでも

嬉しくなり故郷の話をしたくなるものだろうね。 

私はそんな彼女のために珈琲を注文し、青森の話をつづけた。

そして、 珈琲を飲み終え店を出た時には外は暗くなっていた。 

予定より遅れて羽田空港を後にすることになったが

心の中には 暖かいもの感じていた。

 

※2009年6月