「厳密に言うと、エッセイ的な部分ばかりじゃないんだ」ふと思い出して私は、付け加えておくことにする。「恋愛事例本などの原稿の中でマミと、恋愛に関して語りあっている場面なんかも含まれているからね。それらの部分も載せないことには、普通の本の一冊分くらいの分量にはなってくれそうになかったもので」
「あれ、じゃあ私も出てくるの?」マミは驚いたらしく、目を大きく丸く見開いた。「それってなんだか、ちょっと恥ずかしい気もしちゃうんだけど」
「どうやら恋愛事例本のための原稿より、こちらの『いい恋のためのエッセンス』の方を先に電子出版することになりそうだからね。だとするとマミには恋愛事例本より『いい恋のためのエッセンス』の方で、先に本の中へ登場してもらうってことになるわけだな」
私が書いた恋愛事例本のための原稿には、全てマミが登場する。しかしそれらは、まだ本としては出版されていない。『婚外恋愛に走る妻たち』が連載という形で公表されたことがあるだけだ。
したがって、もしも恋愛事例本より『いい恋のためのエッセンス』などの恋愛実用書の方が先に電子書籍として出版されることになったら――
マミは恋愛事例本より先に、『いい恋のためのエッセンス』の方で本の中に登場することとなるのだ。
「ショウの恋愛事例本なんかの原稿に出てくる私って、なにか恥ずかしいこととか言っちゃったりしていなかったっけかな。そういうのが本として出版されちゃうとしたら、気になっちゃうんだけどさ」
やはりマミも女性なだけに、そういうことを気にかけないわけにはいかないのだろう。
そこで私は、そんなマミのことを安心させるためにも言った。
「いや、それは大丈夫なはずだと思うよ。私はマミのことを常に、可愛く描いてあげたつもりだからね」
「それが心配、なんだけどなあ。ショウとしてはそのつもりだったとしも、それが本当に可愛く描けているのかどうかっていうのがよ」どうやら私はマミに、信用がないらしい。「ショウの感覚って私たち女性のそれとは、ずれている部分も多いわけだし」などと言われてしまう。
「それも男と女との、考え方や感じ方の違いの一例だってわけかな」この話題をこのまま続けていると、どうやらまずいことになってきそうだぞ――そう見てとった私は、話を元に戻してしまおうと試みた。「この『いい恋のためのエッセンス』に収められる文章の中には、そういうふうにさ。男と女の考え方や感じ方の違い、みたいな話題について論じられているものも多いわけだが」
「そういえばショウは『恋愛で必ず幸せになる秘訣』の中でも、それを説明していたわよね。男と女の考え方や、感じ方の違いについて」
「けれども私が書いた原稿の中で、それらについて最も詳しく触れているのはさ。もしかすると『幸せに役立つ恋愛本ガイド』かもしれないぞ、って気もするんだけどね。これって男女の考え方や感じ方の違いについて学べる本を、たくさん紹介している原稿だから」
「その『幸せに役立つ恋愛本ガイド』っていうのは、どういう原稿なの?」マミが私に訊ねる。「役に立つ恋愛本を紹介しているんだな、ってことは題からわかるけど」
「『幸せに役立つ恋愛本ガイド』の原稿は、第一部と第二部とに分かれていてね。第一部の方では恋愛実用書だとか、エッセイの類を紹介しているんだ。それから第二部では、恋愛物語を紹介しているんだよ。でもって本全体の狙いだとか主旨は第一部と第二部、それぞれの冒頭の部分で説明されているからさ。それらの部分をマミに、読んでみてもらうとしようか。口で説明するよりも、その方が話が早そうだから」
そう言って私は『幸せに役立つ恋愛本ガイド』の原稿のうち第一部と第二部、それぞれの冒頭の部分を続けてマミに読んでもらったのだ。
(この後に当塾の「恋愛実用書などで学ぶ」と「恋愛小説などから学ぶ」の、それぞれの「はじめに」の部分が第25章と第26章として続きます。
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