意図を読む | 日経225先物のテクニカル売買記録

意図を読む

■大口の売買■
 最近は、日経平均先物取引に個人投資家の参加が増え、売買高に占める割合もかなり高まっているようですが、相場の方向性を決定付けるのは、大口の動向です。
 主に気をつけたいのは100枚以上の売買です。特に200枚を超えてくるとより注目度が高まります。
 最近は、日中のボラティリティが高く、また、市場の方向性がはっきりせず、ポジション持越しのリスクも高いため、大手金融機関もデイトレードの比率が高くなっているようです。
 大方の方向性が正しい限り、大口が買い向かったり、売り込んだりした方向に動くことが多いようです。
 ただ、気をつけなければならないのは、目先の高値圏、安値圏での動向です。たまに、50枚とか100枚クラスの売買が入って、レンジ上限、下限を抜けるようなそぶりを見せることがありますが、はしごを外され反対方向に向かうこともあります。
 ショート・カバーや、ロングの見切り売りの可能性があるほか、後日に向けてのサインである可能性があります。
 節目やレンジの限界になっているポイントなどと照らし合わせ、だましに気をつける必要もあります。
■買われる時、売られる時■
 下落途中でも、やたらと下げ渋り、ある特定のポイントで買いが入る時、上昇トレンドの最中に上値が重く、やたらと売られる時には、逆方向に向かったとしても、いずれその価格に戻ってくる可能性が高まります。
 単にショート・カバーのポイントであったり、利食いが出やすいところであったりしますが、大量の枚数が買われたり売られたりしたポイントは頭に入れておく必要があります。
 目安として500枚以上売買されるところは、何かいわくのあるポイントと考えてよいと思います。
■大きな板1■
 上昇トレンドの途中に上に突出して700枚~1000枚の売り板が置かれたり、下落途上で、下に同様の買い板が置かれることが往々にしてあります。
 買い上がる動きを牽制して、ポジションを仕込んでいるケースがほとんどです。こうした板に平然と売買がぶつけられると、板のある方向に大きく動く可能性が高くなります。
 そうした板は、売買がぶつけられると、わざとらしく消えることがあります。明らかに見せ板で、動きにはずみが出れば、イケイケのサインです。
 ただ、見せ板でない場合は要注意です。本気で売っていたり、買ったりしている可能性があります。普通に考えると、逆方向に進んでいるのに1000枚も売ったり買ったりして平然としていられるとは思えません。
 その場合、上値、下値ともに限定的で、上昇してもいずれ腰折れして値を消したり、下落しても下には進まず、底打ちすると勢いよく反転する可能性があります。
■大きな板2■
 上昇の途中でそろそろ手詰まり感が出ている時に、突然下に買い板が300~700枚にふくらみ、買いを煽ったり、下落の途中で、同様に上の売り板に突然大きな板が置かれ、強引に売り圧力をかけてくる可能性があります。
 そういう時は、駄目押しをして、ピーク・アウト、セリング・クライマックスをさせることが多いです。
 普通に考えれば、本当に買いたいのであれば、板を出さずにすなおに上の売り板に飛びつけばよいわけですし、売りたいのであれば、700枚でも1000枚でも早めに成り行き売りすればよいわけです。
 最近は、板の出る時間が長く、露骨な見せ板は少なくなる傾向にありますが、それでも、こういう板は存在します。
 とつぜん下の買い板が500枚に膨らんだとか、上に700枚の売り板がでたとかいう場合は、早めに利益を確定するべきでしょう。
■大きな板3■
 上記「大きな板2」で説明したような板に、売買がぶつけられて、見せ板ではないケースがあります。
 たとえば、下の買い板が400枚に膨らんで、買いを煽ったはいいが、そこに400枚の売りがぶつけられて、見せ板のつもりがそうでなかったなどということがたまにあります。
 昨日、午後1時半過ぎにこのようなケースが見られました。13470円の板が厚くなり、数十枚だった板が、380枚ほどに膨張し、にらみ合いましたが、突然、300枚超の売りがぶつけられて、その後、いったん下に沈められてしまいました。
 こういう場合は、いったん調整が必要というサインであることが多いようです。昨日の場合、いったん13390円まで下げましたがその後、しっかり13470円を抜けています。
 ここも常識的に考えれば、13470円を買わされた人が黙っていないと考えるべきでしょう。
 ただ、これに関しても、純粋に売り方と買い方のどちらかが相場の読みを誤ったり、ヘッジのためにわざと相場の方向性とは逆の売買をしたりしたとも考えられるので、注意が必要です。
■膠着状態での売買■
 方向感なくもみ合ったり、膠着状態がつづいていたりする場合に、突然、大口の売買が出て、それをきっかけに目が覚めるような動きになることがあります。そういう場合は、早めに動意づいた方向に乗ってみたいところです。
 ただ、もみ合いや持ち合いを継続するために、上下にレンジを広げる目的であることが多く、こういう場合での深追いは禁物です。もちろん、それがきっかけで大きなトレンドになれば別ですが。
■まとめ■
 大きな売買が出たからといって、必ずしもすぐにその方向に動くわけではありません。しかし、時間を置いてから、その方向に動くケースがままあります。
 大手のトレーダーになったと仮定して考えて見ましょう。なぜ見せ板を置いて動きを牽制する必要があるのか、なぜ下落しているのに平然と500枚も700枚も買っているのか、なぜ買われても買われても売り向かうのか。
 考える抜くことで、何となく買っている人や売っている人の意図がなんとなく浮かび上がってきます。
 ポジションを仕込みたいために牽制していたり、テクニカル的に整合性をとるためにわざと仕掛けたりなどなど、いろいろ理由があるはずです。
 上に挙げたようなケースはあくまでも典型的な例であり、このほかにもいろんな意図が隠されていたり、局面が変われば、売買の持つ意味も変わってきたりすることも考えられます。
 それでも、売買動向から隠された意図を考え抜くことは重要です。