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今年最大の下げ幅、平均株価は874円安と3日続落に1万5300円割れ=東京株式市場・17日後場
17日後場の東京株式市場では、全面安に下げが加速した。平均株価は前日比874円81銭安の1万5273円68銭と今年最大の下げ幅となり、大幅に3日続落した。1万5300円割れは06年8月7日以来。1ドル=112円台突入の円高進行に伴う景気への悪影響や、信用リスク収縮が懸念され、売り一色の展開となった。先物ヘッジ売りに伴う裁定解消売りに加え、週末事情によるポジション整理売りや、追い証(追加証拠金の差し入れ義務)に迫られた投げ売りなど複合的な売りに現物株指数を大きく押し下げた。時間外取引のGLOBEX(シカゴ先物取引システム)でナスダック100株価指数先物、S&P500種株価指数先物が下げに転じたことも市場心理の冷え込みにつながった。新安値銘柄は826と今年最多となり、東証1部の値下がり銘柄数は全体の93%強に達した。
市場では、「内外問わず、機関投資家の狼狽売りが株安を誘発している。水準的に行き過ぎの面もあるが、需給悪で売られている以上、手が出せない。FX(外国為替証拠金取引)、外国債券でもやられ、円買い戻しによる一段の円高想定から下値を覚悟する必要もあろう」(中堅証券)との声が聞かれた。東証1部の騰落銘柄数は値上がり87、値下がり1620。出来高は29億4247万株。売買代金は4兆2391億円。東京外国為替市場では、1ドル=112円台半ば(前日終値は116円5銭)で取引されている。
円高進行を受け、トヨタ、ホンダ、日産自、スズキ、富士重、いすゞなどの自動車株が年初来安値を更新。円高に米ハイテク株安を映し、ソニー、キヤノン、シャープ、松電産、NEC、富士通、HOYA、アドバンテス、エルピーダ、東精密や、大証主力のロームなどのハイテク株も年初来安値を更新した。機械株では、東芝機がストップ安となり、日精工は一時ストップ安。日立ツール、アマダ、アイダが新安値を付け、コマツ、日立建機、オークマ、日製鋼も下げ基調を強めた。円高に大型原油タンカーのスポット運賃下落を映し、第一中汽がストップ安となり、川崎汽、明治海は一時ストップ安。商船三井、郵船、新和海、乾汽船、飯野海などの海運株も下げがきつい。出来高トップの新日鉄をはじめ、JFE、住金、共英製鋼、大和工などの鉄鋼株も下げ幅を広げた。山陽特鋼が一時ストップ安となり、東鉄鋼、大平金も一段安。東邦鉛、三井金、住友チタ、住軽金が年初来安値を更新したほか、住友鉱、DOWAなどの非鉄金属株にも売りが続いた。丸紅がストップ安となり、三菱商、住友商、三井物、伊藤忠などの大手商社株も値を崩した。NY原油先物安を受け、新日鉱HDがストップ安となり、新日石も一時ストップ安となるなど石油株も下げがきつい。三井造、佐世保重が一時ストップ安となるなど造船株も急落した。個別では、大証主力の任天堂や、カーボン、フルキャスト、中国塗などがストップ安。日鉄鉱、日農薬も一時ストップ安。ハルテックは値下がり率トップ。
半面、円高、NY原油先物安を受け、日本紙、王子紙、三菱紙、レンゴーなどのパルプ・紙株が堅調。個別では、東和銀、奥村組、ニトリ、ブラザー、サンドラッグなどが値上がり率上位に浮上した。
なお、来春に経営統合で大筋合意と報じられた伊勢丹と三越は経営統合比率に関する報道の真偽確認のため、午後2時2分から一時売買停止措置がとられた。