今まで知られている、ドラマや大河ドラマですら表現されて
いない話。あるいは脚色された話。
それらは全てというか、割と違っているというか。
歌舞伎や他浄瑠璃等の演出や脚色、あるいは時代劇や
ドラマ、映画で描かれているものとは違うという事で。
それらを一つずつ紐解きながら、現地へ赴きながらそれら
の謎や史実を解明していこうという訳ですが・・・。
ちょっとだけ振り返りつつもこの後まだ解説していない
項目へ突入していこうと思います。
まずはこれらの項目から一つずつ解説しましょう。
1:長屋封鎖作戦と綿密なルール
(ある意外なものがそれを可能にした!?)
2:武家社会の身分制度
(武家社会の盲点を突いた)
3:表門部隊と裏門部隊の戦術分け
(大石内蔵助の戦術)
4:一向二裏作戦
(現在でも空軍が使用している先端戦術)
5:追い詰められた、吉良上野介の最期
(知られている時代劇とは全く違うエンディング)
6:泉岳寺までの道のり・・・
(本当は予定にない行動だった?)
1:長屋封鎖作戦と綿密なルール
(ある意外なものがそれを可能にした!?)
(現在の吉良家の長屋のあった場所)
マンセル:いよいよ今日は、最後まで行くよ。
グラハム:遂に本懐を遂げるところまでだね!
ナレーション対応
まずこの討ち入りに一つ大事なキーワードがあった。
それは、長屋制圧にあった!
(手前の白い壁と、屋根瓦の見えている↑ここ。奥が母屋)
屋敷内は吉良上野介と家臣で約150人
いたとされている訳でして。
当然前にも書いたように、47人がまともに150人相手に
斬り合いになれば?当然1:3の圧倒的な戦力差が赤穂浪士
には絶対の不利があった。
そこで大石内蔵助はここでまず策を巡らした訳ですが。
長屋と母屋を分断して長屋の孤立
長屋の家来を閉じ込める事には成功!
長屋にいた約130人の、中間、足軽達は閉じ込められ
戦闘不能状態に。
戦闘参加義務のある足軽も閉じ込められた。
戦闘が発生した際に、物頭から弓や、槍を支給されて
初めて戦闘に参加できるのだが身動きが取れない。
↑ここが絶対大事なのです。ここ抑えててください。
この後随所にでてきます。
なので、中間や足軽は・・・?
そうなんです、武器がない丸腰の状態なのです普段から。
武器もない、一部は兵站も積んでいない人々130人が
そこにいたにも関わらず・・・。
結果、閉じ込められたら何もできない!
という事。
更には、仕えた大名を討ち死してまで守るという義務が
彼等にはない訳です。
つまり武家社会の基本的なルール他それを知らない我々や
一般庶民が、後々色んなデマや嘘が浸け入る格好になってい
るのもそこが原因なのです。
3:表門部隊と裏門部隊の戦術分け
(大石内蔵助の戦術)
長屋制圧を完了したタイミングで大石は動きます。
ここに次のキーパーソン!
寺坂吉右衞門の登場になります。
寺坂吉右衞門が伝令に走ります!
その伝令先とは・・・。
裏門に到着して、今や遅しと待ち構えている息子。
大石主税率いる裏門隊へ突入の指示を出す為であります。
(再び吉良邸外の道です)
マンセル:再び表に出てきました。
グラハム:ここを寺坂は伝令で走った訳ですね。
(こんな感じで・・・)
マンセル:えっほ!えっほ!えっほ!
今だったらショートメール一発で連絡できるのに、元禄の
頃はそうはいかなったよね。
グラハム:寺坂吉右衞門!当時38歳!!
彼がここを全力疾走で裏門へ走った!!
元禄当時の全力忠臣蔵だ!
いよいよ裏門隊が動き出す!!
寺坂吉右衛門は、裏門から邸内には入ったようだが。
大石内蔵助の表門隊からの指示命令を、隊や裏門の息子、
大石主税へ伝令に走った!
(裏門隊は主に武闘派が集められていた)
吉良の寝所が近いと思われていた、吉良の裏門前には腕に
覚えのあるメンバーを中心に集められており。
もっとも激戦を想定してたもよう。
しかし、裏門隊は到着後直ぐに潜入する訳ではありません
で。彼等は表門部隊とは違った、陽動作戦を担うのでした。
(えっほ!えっほ!えっほ!)
マンセル:裏門までもう少しだ!
グラハム:寺坂さんはここを何回か往復しているんで
すよね!?
マンセル:大変だったろうねぇ〜、サッカーのフォワード
並みの運動量だっw
(こちらは現在の吉良邸裏門前)
(裏門討ち入りの刻、イメージ)
(着いたぁ〜!)
マンセル:主税さま!長屋の封鎖!完了しました!
グラハム:ぼ、ぼく???・・・。
あい分かり申したぁ〜!
(っていう感じで・・・?)
グラハム:ここでいよいよ陽動作戦開始だね。
マンセル:行くぞ!!
グラハム:火事だぁ〜〜っ!!
マンセル:火事だ!
火事だぁ〜〜〜っ!!
グラハム:ハンマーでぶち破れ!
マンセル:どかーん!どかーーん!
ナレーション
実は、裏門隊は。表門隊からの封鎖完了の知らせを聞いて。
裏門隊の浪士達は、大声で火事だ火事だと喚き立て。
裏門を大きな木槌で打ち破り吉良邸内へ、今度はワザとに
騒ぎを起こして侵入するのです!
※丁未雑記より
(裏門隊隊長、大石主税)
当時まだ元服したばかりの15歳。今で言ったら、ジャニー
ズJr.的な存在だったであろう彼。
討ち入りに消極的に見せかけていた大石内蔵助の意思を伝える
べく、単身江戸へ入城し。江戸で燻る赤穂浪士達を束ねると
いった。15歳らしからぬリーダーぶりだった訳です。
(吉田忠左衛門)
こちらは、その15歳大石主税を脇で支える重鎮。
武術も当然ながらある意味ではこの隊の中のナンバー2。
プロフェッサー的な存在は、隊をまとめるには15歳の
主税よりも。士気を高める存在だったのでしょう。
ここで裏門隊を率いるこの二人の重要な役割をここで
解説しないとなりません。
もちろん大石内蔵助の指示の下で、裏門隊の隊員を率いる
というのは誰もがみて当然のように見える訳ですが。
この二人は裏門の戸口で待機して、火事を鎮火させる為に
派遣された。火消し大名役や、火消しの祈祷師的な役など。
彼等は討ち入りをしている浪士達が中で捜索できるように
彼等が戸口での幕府役人や上杉方の援軍に対応する為にも
火事場を装っていたのだった。
事実、江戸時代の火災消火は2つ。
一つは破壊消法。
出火元より先に延焼してしまう可能性のある家屋を壊す。
いわゆる木遣りの登場になります。
そしてもう一つは、火災が沈静化するように祈祷するという
もので。その祈祷をする大名職がある訳で。
その2人に彼等は変装していたという訳です。
そして、裏門での火事だ!火事だ!
の大騒ぎに目が覚めた母屋の中小姓以上の家臣達は、寝ぼけ
眼で外へ飛び出してきたところを一斉に弓が飛んできた
と言う・・・。
そして、火事ではないと知った母屋の家臣達と。赤穂浪士
達の壮絶な斬り合いが始まった訳です。
この騒ぎを聞いてようやく吉良側の剣豪、山吉新八、清水一学
辺りが目を覚まして刀を持ち身構えた訳です。
※丁未雑記より
ここ裏門から、吉良家の家臣達と壮絶な斬り合いをしながら
吉良上野介一人を探し出すという。
裏門は腕っぷし確かな強者達が表門部隊のと合流できるのか?
その頃表門部隊にも動きがあります。
(イメージです)
片岡源五右衛門が討入りの口上が始まります。
我等!浅野匠下家来である!
今宵、亡き主君のご無念を晴らさんが為
推参致した!
ここで討ち入りの大義を表明し、対するのは幕府ではなく
吉良家と吉良上野介への仇討ちであるとこの時点で宣言し
我々は姑息な手段は取らないとここで表明しておく。
この口上でもって、長屋に閉じ込められている家臣達も
これは辞めておこうと・・・彼等の戦意をも削ぎ。
表に出るのは危ないから止めようと心理的にも閉じ込める
為でもあったのだ。
なにせ、丸腰の上に。中は怪我人だらけ、表に出たら完全
武装の腕っぷしのある侍達が身構えている。
我々もカネは貰っていても、そこまで上杉家や吉良家に思い
入れるものがない為。完全に戦意そのものを封じ込められた
格好になった訳です。
かかれ!
大石内蔵助の号令一発!
いよいよここから、表門部隊が母屋へ突入していきます。
まず表門部隊は真っ先に、武器庫へ向かいます!
(イメージです)
前の記事にも書いたように、足軽へ支給される筈の弓、槍、
薙刀などを破壊して。使い物にならなくする。
これにより、足軽達の使える武器を喪失する事で。完全に
戦力としても使い物にならなくすると言う。
これが表門部隊最初に取った重要な作戦だったのです。
※涙襟集より
武器という武器を破壊し、使い物にならなくする事で。
一気に戦局は赤穂浪士に傾いていく訳です。
それではここで現在の状況を地図で確認しましょう。
前原伊助宅の米屋前で二手に分かれた赤穂浪士47人は、
表門部隊は静かに潜入し、長屋封鎖に成功。
裏門部隊は逆に、火事場を装い裏門を破壊して突入。
黒い四角で囲った辺り、ここに当時吉良の寝室があったと
されている吉良の寝所。
裏門での騒動に母屋にいた家臣達が、裏門へ引き寄せられ
ている。
表門からは直線距離でおよそ100m離れており、長屋の
封鎖はおろか表門側から一部屋一部屋静かに、しかも片っ端
から捜索しながら裏門へ向かってシラミ潰しに捜索ができる
という。
裏門に人を惹きつけさせて、表門からは妨害も少なく捜索が
できる上に。表門から侵入されているとは、裏門側では全く
分からない状況だったのだ。
彼等は吉良邸内で再び出会う時。それが吉良邸完全制圧
を果たしたという格好になる訳です。
忠臣蔵での戦力分布図では。
赤穂浪士 吉良家家臣
47人 vs 約150人
だったのが・・・
長屋を封鎖し完全に制圧した事で・・・。
赤穂浪士 吉良家家臣
47人 vs20人
さっきまで状況では
1人vs3.1人
だったのが・・・。
2.3人vs1人
という開戦前の圧倒的人数的に不利な状況だったのが。
長屋を制圧し武器も破壊した事で、
更に赤穂浪士側に勝利が見えてきました。
更にこの後、一向二裏作戦が展開される事により。
一気に戦況が赤穂浪士側に傾きます!
が・・・この後思わぬ事態に陥ります。
大石内蔵助と赤穂浪士の大勝利は、更にこの後どのように
して本懐を達成できたのか?
続く・・・。