キッチンで調理中の、礼華さん。
とんとんとんとん・・・小気味良いリズムでネギを切っている音が
キッチンとリビングに響いていた・・・。
お味噌汁を作っている最中のようだ・・・。
礼華:そうだ!ねぇ~あなた!今日のおとめ座の占い!
新聞になんて書いてあるのかしら・・・?
さっき見ようと思ったけど、ネギ刻むのに必死になっちゃって
忘れちゃったわ・・・。
グラハム:はぁ~!?おとめ座の占い・・・?
それ終わったら自分で見ればいいじゃないか?
礼華:見ようと思ったのに、ついつい忘れちゃったのよ!
ちょっと気になったから今教えてよ!
グラハムは困ったように、占いのページを開いてはみたものの・・・
グラハム:おとめ座・・・おとめ座・・・どれだ・・・おとめ座・・・?
礼華:ちょっと、おとめ座がどこか分からないの???
グラハム:困ったなぁ・・・どこだ・・・?おとめ座って・・・。
なかなか答えがないグラハムに、業を煮やしている礼華。
礼華:ちょっと!そこの右側にあるでしょ!?
しかもそのページは天気予報じゃないの・・・?
グラハム:あっ!そうだったんだねぇ・・・。
ごめん、どこ見ていたんだろう・・・。
礼華:だから次のページだから、開いてみてよ!
礼華は、グラハムの行動や言動に不審を抱いている・・・。
グラハム:ほら!TVでやっているこっちのでいいんじゃない!?
礼華:あなた・・・TVは毎月の占いであって、正座占いじゃないのよ・・・?
グラハムは、とうとうこの日が来たか・・・と。意を決した!
グラハム:あ、あ、あのぉ~礼華さん・・・。ごめんね・・・、
実はね・・・。
ぼく、字が読めなんだ・・・。
礼華:えぇ~っ・・・!?字が読めないって・・・どういう事よ・・・?
んじゃぁ・・・今まで新聞取って読んでいたのは・・・?
実は、今までずっと・・・字が読めるフリをしてきていたグラハム・・・。
彼は、字を読み書きできなかった・・・。
彼はずっとこの事を、結婚してからも奥さんにも下隠しにしていた
衝撃の事実を。遂に始めて打ち明かした瞬間だった・・・。
暗転
礼華:じゃあ、婚姻届の時は字を書かないとダメじゃないの!?
~区役所にて~
役所職員:婚姻届の窓口はこちらです。
グラハム:すみませんが、ここに署名したいんだけども・・・。
腱鞘炎起こして書けないので。
今から言うから書いてもらえませんか・・・?
暗転
礼華:娘の出生届の時には・・・?
役所職員:出生届ですね・・・?白紙なんですが・・・。
グラハム:右手が腱鞘炎起こしちゃって、字が書けないんだ。
代筆してもらっていいかな・・・?今から言うから・・・。
そう、彼は字が書けなかった。
いや字が書けないというよりも、読みも書きができなかったのだ。
今までその都度代筆してもらっていたのだった・・・。
引き続き、【舞台:65年目の恋文(ラブレター)第1幕③】
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