皐月賞をを無敗のまま勝って、父シンボリルドルフの後継者
といて、華々しい結果に湧き立っていた。
しかし、まだまだ戦いは終わっていない。次なるレースは、
(ドドドッ!ドドドッ!ドドドッツ!・・・)
栗東トレーニングセンターでは、トウカイテイオーの
日本ダービー前の最終追い切りが行われていた。
鞍上は、グラハム騎手が騎乗して追い切りを行っている。
追い切り:とは、レース前に。本番を想定して、1頭~3頭
前後でトラックを走り。
馬の気分も、今週末にレースがあるよ!という。
馬もテンションを上げたり、気分や体を作らせる事等、
(スッタタタッ!スッタタタッ!スッタタタッ!・・・)
(スッタタタッ!スッタタタッ!スッタタタッ!・・・)
グラハム騎手、ステッキを抜いて。
肩ムチを数発打ち、ゴール前仕掛ける!
(スッタタタッ!スッタタタッ!スッタタタッ!・・・)
トウカイテオーは、最後まで脚色が衰える事無く、
一気にゴール板前を駆け抜けて行った・・・。
(インタビューを受ける、グラハム騎手とマンセル調教師)
あめちゃん:それでは、日本ダービーにトウカイテイオー号で
出走します。グラハム騎手とマンセル調教師にインタビューしたい
多くのマスコミを前に、日本ダービーへの思い。意気込みを
語る訳だが、そもそも、こんだけの人の前で語る人ではないから。
何回やっても、どきどきしてしまう。二人だった。
特に今回は、無敗で皐月賞を勝った後で、父ルドルフと並ぶ。
”無敗の日本ダービー馬”への挑戦でもあり、当然1番人気での
出走が見込めるプレッシャーも、半端なかった。
あめちゃん:まずは、グラハム騎手ですが、今日の最終追い切り。
終いの3F(ハロン)は36・2秒、ラスト1Fも12・4秒とまずまずの
仕上がりだと思いますが。手応えはいかがなものでしたでしょうか?
F(ハロン):1ハロン=200m。つまり、ゴール前600mと、200mの
走破タイムを見て、その馬の調子等をある程度計る事で、状態の良し悪しを
計るものでもある。
グラハム騎手:そうですね、いつも終いは斬れる馬なので・・・。
特に普段通りで・・・、追い出したらスッと加速するから・・・。
手応えとしては、もう万全の状態ですね。
あめちゃん:続いては、トウカイテイオー号の調教師。
マンセル調教師へインタビューを行います。
マンセル調教師、無敗のまま日本ダービーを迎えましたが、
偉大なる父にこれから挑むという心境はいかがですか?
マンセル調教師:ん~父親に挑むというよりは、テイオーの自身の
競馬に徹してもらえればいいんかなぁ~と。
大外枠の18番だから、位置的にも不利を受けないで進めるで
しょうから。僕等は出走まで、できる事を全部やるだけです。
インタビューが一通り終わり、あめちゃんがお礼の挨拶。
あめちゃん:マンセル先生が、トウカイテイオーを見て。
コイツは超大物になると、仰ったそうですけど。何かピンとくるもの
があったのですか?
あめちゃんは、オフレコでも取材に熱心だったw。
マンセル調教師は、そんなあめちゃんを信頼している。
マンセル調教師:それはね、僕にも分からないんだよ。
でもね、ボウが・・・。牧場では、ヤンチャ坊主のボウって
呼ばれていたんだけど。
ボウがね、僕は走るよ!って語りかけて来たんだよね。
(おっ!?驚く二人)
マンセル調教師:トウカイテイオーの馬主さんが来たようだ。
あめちゃん:あの方が、ジャックさんですね。
マンセル調教師:ちょっとジャックさんと、ドームズさんと相談が
あるので、この辺で・・・。
あめちゃん:では週末がんばってくださいね!
マンセル調教師:がむばるのは、馬の方ですけど。今回ばかりは、
僕等ががむばらないとならないらしいね・・・。
あめちゃんの取材を終えた、マンセル調教師は、グラハム騎手と
一緒に、ジャックくんと会話した。
マンセル調教師:ジャックさん、お待たせしました。やっと取材が
終わりましたよ。レースでの作戦もグラハム騎手には伝えてありますから・・・。
と、話の途中だったが。ジャックは何か思うところがあるのか・・・。
ジャック:先生!ボウが日本ダービー勝って。私はダービーオーナーになる。
私みたいなのが、ダービー馬のオーナーにふさわしいのだろうか・・・?
そこへ、グラハム騎手がやってきた。
グラハム騎手:それは僕も同じですよ、ジャックさん。
僕だってまだ日本ダービーに勝っていません。でも、今は勝ちたい!
僕たちには今、その権利が与えられている!それは他でもなく、
テイオーがここまで連れてきてくれたんですから。
みんなで一緒に、階段を昇りましょう!
ジャックは、少し涙ぐんだ。
ジャック:ローマンでオークスを勝った時には無い、こんな気持ちも
今しかないんだな・・・。もしかしたら、2度と無いかもしれない。
だからこそ、だからこそ。週末は絶対に負けられないんだな・・・。
実は子供達からも、応援されているんだよw。
マンセル調教師:家の子も、パパの馬は日本一強いんだ!って
信じている位ですw。
マンセル調教師:週末まで、やる事を全てやりきりましょう!
ドームズセンター長:グラハム騎手!ちょっといいですか?
ドームズセンター長が、グラハム騎手を呼んだ。
こうして、日本ダービー前の夜は、静かにふけていった・・・。
引き続き、舞台:この星を継ぐ者へ!:第2幕の④をご覧ください。