英語を話す時に、まず日本語で考えて話すように教えています。
森沢洋介先生の「瞬間英作文」トレーニングは、英語を話すために「日本語を英語に置き換える回路を鍛えること」を目的としています。実際に、多くの人がトレーニングの効果を称賛しています。
その一方で、英語は英語で考えて、日本語を介入させないようにと指導しておられる先生もいます。実際に、話せる人の中には、日本語を全く考えないと言う人もいます。
この違いがどこにあるのか。それはプロセスの違いです。
最初は、「瞬間英作文」トレーニングが効果的なことは間違いありません。上達すると「英語を英語で考え」られるようになるトピックもできます。なので、最初から「英語を英語で考える」ことに縛られる必要は全くありません。
ここで、「英語を英語で考える」派の人からは、反論が予想されます。
・日本語→英語に変換するために、時間が掛かるのでは?
・変換するときに、語順の乱れや文法のミスが生じやすいのでは?
・日本語に引きずられて、英語が不自然になるのでは?
「瞬間英作文」派の人は、反撃します。
・英語だけで考える方が思考と会話に時間が掛かる
・返還のスピードはトレーニングで速くできる
・語順はトレーニングで正しく身につけられる
・ミスはゆっくり話せば減らせる
・自然な言い回しは最初からインプットしておける
さらに、「瞬間英作文」派の人は、追撃します。
・英語で考えられるだけの十分な語彙は無い
・日本語に関連づけられた、記憶情報は膨大にある
・日本語による思考のスピードは、英語比べて格段に速い
これに対し「英語を英語で考える」派の人はこう言うでしょう。
・英語の達人は、日本語で考えていない
・帰国子女は、日本語を知らなくても話せる
「瞬間英作文」派の人は、答えます。
・全てを英語で考えて話すためには、何千時間もの勉強が必要
(英語の専門家か海外生活者しか不可能)
・私たちは初心者だが、今すぐ英語で話したい
この議論から、極端に分類すると、こうなります。
「英語を英語で考える」派 = 理想主義
「瞬間英作文」派 = 現実主義
ほとんどの人は、上級者になっても日本語で考えてから話しています。ただしその場合、一つの完成した文を考えているわけではありません。「おおまかな日本語の骨組み」をイメージして、それを英語にして口にします。英語にしづらい日本語であれば、日本語の骨組みを変更します。英語での言い換えは難しいのに比べて、日本語での言い換えはそれほど難しくはありません。
ちなみに、私たちが日本語を話す時も、話し始める前に文が完成しているわけではありません。「おおまかな日本語の骨組み」をイメージし、その方向に向かって、日本語を付け足しながら話しています。
英語でも同じようにするだけです。
・基本は日本語で考えてから、英語を話す
・慣れた会話の流れであれば、日本語を省略することも可能
・難しい内容であれば、必ず日本語の思考に戻る
最後にビジネスの世界はというと、「瞬間英作文」派です。日本企業の場合は、大半の業務が日本語で行われています。その場合、その日本語を英語に訳して話すことになります。思考は、もちろん日本語です。そもそも、日本語でも難しい問題について「英語で考える」なんていうことは出来ません。徹底的に日本語で考え抜いたのちに、それをシンプルにしてから英語で話すだけです。英語だけの浅はか考えでは、仕事になりません。怒られてしまいます。