智君のことを想わない日はない。

会えるものなら毎日だって会いたい。

でも実際に会えるのはせいぜい月に数回程度・・・

対外的には俺たちはあくまで仲の良い友人だし、俺たちの関係を疑う者なんていないだろうけど・・・

それでも新婚の妻を置いて友人の家に入り浸るというのは十分問題になるだろう。

恋愛と結婚は別・・・

とはいえ、恋愛を優先することはできない。

妻と離婚することもできない。

智君を諦めることもできない。

優柔不断で、どっちつかず・・・

智君に対しても妻に対しても不誠実極まりない。

こうなることがわかっていたから、一度は智君と別れることを選んだのに・・・

結局離れることができなかった。

結婚さえしてしまえば・・・なんて浅はかだった。

離れるなんてできるわけがなかった。

妻に嘘をついて、智君のもとへ通うことに智君は何も言わない。

会いたいといえば拒否されることはないし、

恋人同士だった時と変わらない空気間で接してくれる。

悪い男だと揶揄しながらも、当然のように俺を受け入れる。

でも今の状況を・・・

俺のことを・・・

どう思っているのか本当のところはよくわからない。

呆れているのか・・・

怒っているのか・・・

それとも・・・どうでもいいのか。

会いたいと連絡するのはいつも俺で、智君から連絡が来ることはない。

月数回の逢瀬・・・

それ以外の日を智君がどんな風に過ごしているのか、知る術はない。

俺と過ごすあの部屋に他の誰かを招き入れているかもしれないし、

もしかしたら・・・俺以外にも定期的に会う人がいるかもしれない。

そうだとしても、俺にそれを責める権利も、咎める資格もない。

智君に好きな人ができたら・・・

もう来ないでくれと言われたら・・・

俺は・・・どうすればいいんだろう。