捜査一課の浅野康長が細川春菜に捜査の応援を頼んだ殺人事件は謎めいていた。凶器は万年筆。被害者が突っ伏していた机上にはなぜかペン先の壊れた高級万年筆。傍らには『CASERTA』という文字に╳印のメモ。それらが意味するものを探る二人は、万年筆が想像以上に奥深い筆記具であることに気づく。やがて突き止めた犯人とはいったい……?

●鳴神響一
一九六二年東京都生まれ。中央大学法学部卒。二〇一四年『私が愛したサムライの娘』で第六回角川春樹小説賞を受賞しデビュー。同作品で一五年に第三回野村胡堂文学賞を受賞。著書に『鬼船の城塞』『天の女王』『斗星、北天にあり』『風巻 伊豆春嵐譜』、「多田文治郎推理帖」シリーズ、「令嬢弁護士桜子」シリーズ、「脳科学捜査官 真田夏希」シリーズ、「刑事特捜隊 伊達政鷹」シリーズ、「鎌倉署・小笠原亜澄の事件簿」シリーズなどがある。