内容紹介

東京23区を侵食していく不気味な“力士シール”。誰が、何のために貼ったのか? 謎を追う若き週刊誌記者・小笠原は、猫のように鋭く魅惑的な瞳を持つ美女と出会う。凜田莉子、23歳──瞬時に万物の真価・真贋・真相を見破る「万能鑑定士」だ。信じられないほどの天然キャラで劣等生だった莉子は、いつどこで広範な専門知識と観察眼を身につけたのか。稀代の頭脳派ヒロインが日本を変える! 書き下ろしシリーズ第1弾!!
平成27年度 金沢工業大学の入試問題にも使用された大ヒット作!

想像を凌駕する知性とサスペンス、カタルシスに満ちたミステリ!!
蔓葉信博(ミステリ批評家)

「万能鑑定士Qシリーズ」はたいへん優れたミステリである。一部ミステリマニアの好むようなミステリではないが、それは本シリーズが放つミステリの魅力とはほとんど関係がない。では、そのミステリとしての魅力はどのようなものなのか。「万能鑑定士Qの事件簿」第I巻と第II巻での名探偵・凜田莉子の活躍を紹介しつつ、その魅力に迫ろう。
第I巻冒頭で紹介される謎は、力士のような図柄のシールが都内各所のガードレールや店舗シャッターを埋め尽くすほど大量に貼られるというものであった。この奇妙ないたずらについて調べ始めた莉子は、日本全土を揺るがす一大経済犯罪の最中、それらの犯人を見事に当ててみせる。驚くべきは日本経済を混乱させた犯罪の手がかりこそ、その力士シールであったのだ。シールの存在をわざわざ冒頭に用意することからも、それが何かしらのヒントであることは読者には明らかだが、それでもこの一大トリックを見破るのはほとんど不可能だろう。それどころか日本の存亡すら危ぶませるほどの経済犯罪の凄まじさに、読者は落ち着いて推理をするどころではないはずだ。
それら事件に鑑定士として独り立ちする莉子のストーリーが併走するのだが、それは一人の少女が名探偵として覚醒していく実にスリリングな話なのだ。超人的な感受性に支えられた推理能力で彼女は物の価値だけでなく、ホームズよろしく出会った人の職業や悩み、果ては日本を混乱に陥れた事件の真相まで喝破してしまう。
このように本シリーズは「人の死なないミステリ」と銘打たれているが、日常の中の些細な謎とは違い、シリーズを通じて巧妙極まりない詐欺事件や盗難事件の不可解な謎を中心に据えている。そのシンプルかつ大胆なトリックによる犯罪の数々、二転三転し読者を飽きさせない展開、そしてなにより凜田莉子の超絶的な推理という三本柱が本シリーズにおけるミステリの魅力なのだ。
マニア向けのミステリ作品の多くは重厚な作風が魅力的な一方で、通にしかわからぬ展開や結末に戸惑いを覚える読者も少なくない。その点、「万能鑑定士Qシリーズ」は、コンパクトでありながらそのサイズからは想像できないほどの知性とサスペンス、そしてシャープなカタルシスに満ちている。なるほど多くの読者の支持を受けるのも当然のことなのだ。
だからこそ、まだ「万能鑑定士Qシリーズ」に触れていない読者、さらにできればマニアなミステリファンの方にも本シリーズの魅力を堪能いただけたら、これに勝る喜びはないのである。

内容(「BOOK」データベースより)

東京23区を侵食していく不気味な“力士シール”。誰が、何のために貼ったのか?謎を追う若き週刊誌記者・小笠原は、猫のように鋭く魅惑的な瞳を持つ美女と出会う。凛田莉子、23歳―一瞬時に万物の真価・真贋・真相を見破る「万能鑑定士」だ。信じられないほどの天然キャラで劣等生だった莉子は、いつどこで広範な専門知識と観察眼を身につけたのか。稀代の頭脳派ヒロインが日本を変える!書き下ろしシリーズ第1弾。

著者について

1968年12月3日、愛知県生まれ。デビュー作『催眠』がミリオンセラーに。大藪晴彦賞候補作『千里眼』シリーズは累計600万部を超える人気作となった。その他の作品に『ミッキーマウスの憂鬱』『蒼い瞳とニュアージュ』『霊柩車No.4』など多数。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

松岡/圭祐
1968年12月3日、愛知県生まれ。デビュー作『催眠』がミリオンセラーに。大藪春彦賞候補作『千里眼』シリーズは累計628万部を超える人気作となった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)