あの少女はいまどこにいるのだろう? | 日記「ウクライナ人の戦い」 Masanori Yamato

日記「ウクライナ人の戦い」 Masanori Yamato

「ウクライナ戦争」を描くことで、プーチンとは何者なのかを書きたい。

あの少女はいまどこにいるんだろう   2024/1/18   15:30

 

 環境破壊が叫ばれてもう何年が経つだろう? CO2の発生が地球温暖化を促進するといって、化石燃料を使ってエネルギーを得ることは悪だと叫ばれていた時代がある。グレタ・トゥーンベリという少女がいた。スエーデンの環境活動家だったと記憶している。まだ中学生かのような少女だった。

 

 いま世界はEV車の功罪で揺れている。中国は国運を賭けるかのようにEV生産に邁進している。この中国の動きにいち早く乗り込んだのが米国イーロンマスクである。上海郊外にテスラのギガファクトリーを立ち上げて、瞬く間にEV車の一大メーカーに躍り出た。そのテスラも2023年下半期にはBYDに生産数で抜かれた。

 

 EV車の生産と販売は欧米で爆発的に拡大した。爆発的というのはその伸び率においてである。いわゆるガソリン車やPHV車が国全体に占める普及率で見るとまだ小さい。2022年の数値である。

EU                12.1 %

アメリカ        5.8

中国              20.0

日本                1.4

 

 地球温暖化と大気汚染の元凶はCO2と窒素酸化物が代表格と言われ、その対策として駆逐の目標にされてきたのがガソリンエンジンを搭載した自動車だった。ガソリン車に対抗する形でEV車の研究開発が猛烈に進んだ。

 

 それが、2010年頃であろうか。2015年には「SDGs」という「持続的経済成長を成し遂げる社会」がNYサミットで採択された。これが後押しとなってEV車輛の生産と売り込みが加速した。各国政府も、2035年にはカーボン・ニュートラルを実現するために、ガソリン車の全部を排除する計画などを発表した。

 

 そのために各国は、購入時の補助金交付や登録税の優遇措置を政策に盛り込んで現在にある。中国政府は生産過程においても補助金をつぎ込み、EU諸国に輸出攻勢をかけている。

 

 そのEV市場であるが、2023年中頃からリチウムイオン・バッテリーの性能にまだまだ技術不足があるのではないかと指摘され始めた。走行距離において、充電システムと充電時間において、衝突等の衝撃によるバッテリーの発火事例等が報告されている。なにより、リチウムバッテリーの製造過程におけるCO2の発生量は内燃機関エンジン製造時の2倍のCO2を発生させていることが証明されている。

 

 いま、米国、EUにおいてもその販売率の伸びが下がりつつある。中国の新興EVメーカーは次々に倒産している。テスラはじめBYDの株価も下がりつつある。競争激化で値下げ競争にはまって利益率がどんどん下がっているのである。

 

 そもそも、補助金や手厚い優遇措置を用意しないとガソリン車と競争できないということがおかしいのである。補助金は政府予算である。当然に限度がある。いつか持たなくなるのは目に見えている。

 

 EV車の推進策はまさにポリティカル・コレクトネス(政治的正義)の暴走であると言っていい。自動車産業が積み上げてきた研究開発と推進に、ある日突然、政治的正義という御旗を掲げて政府が介入してきた結果がEVの現状といっていい。その政策に欧米国民は不満を隠さないようになってきた。

 

 2022年にノーベル物理学賞を受賞したジョン・F・クラウザー博士はこう述べている。

 「腐敗した気候科学はセンセンショーナル的ジャーナリズムによって似非科学と化している。将来の予想をもっぱらシュミレーションに頼り、その予想と矛盾する観測結果や統計を無視している。自分たちの仮説に当てはまる分析と結果だけを信じている。この誤った気候科学によって、世界の貧困問題は不必要に悪化している」

 

写真はグレタ・トゥーンベリ(Wikiより)