(株)プライムデンタルの広報運動家、
こばやし たけのりです。
今日は久しぶりに
歯科技工の話をしたいと思います。
少し専門的です。
以前、このブログでも紹介した、
歯科ではよく使われる
パラジウムという金属。
価格は高騰し、高止まりするなか、
歯科ではパラジウム金属の代替えとして、
CAD/CAMで加工する
ハイブリッドセラミック材料を
保険適応材料として導入しています。
↑ハイブリッドセラミックのブロック
そして、さらに中医協の発表によると
次の代替素材としてこのたび、
純チタン素材が条件付きで
保険導入されることになったようなのです。
しかし、この発表は業界に
ポジティブな印象を与えていないのが実態です。
より厳密にいうと
「歯科技工業界にとっては
ポジティブではない」
といった方が正しいかもしれません。
というのも、このチタンという素材は
とにかく加工が大変。
加工経験のある技工士であれば
誰もがうなずくその苦労。
表面は荒れる
加工最中に空気は巻き込む
研磨は大変
金属の追加修正などの
リカバーが効かない(レーザーが必要)
などなど・・・。
もちろん、技術的なノウハウによって
一定の品質を保つことは可能なのですが、
その品質を保つうえでの労力を考えると
今回提示されている保険点数では
採算が取れるとは思えません。
一方で、CAD/CAMによって
チタンのブロックを歯型に削り出す
これが保険適応として認められれば、
潮目が変わってくるのかもしれません。
しかし、これを可能にするには
大型の金属加工機(CAM機)への投資が必須となり、
その投資回収も
考慮しなければならないことを思うと、
できる技工所は限られてきます。
話を戻しますが、
現在、チタンの加工できる鋳造機を保有している
歯科技工所は道内で4社ほどと言われています。
その多くの技工所は
製作に前向きではないようです。
一般社会で、
マーケティングの重要性は必ず謳われますが、
今回の純チタンの保険導入の決定は、
製作者サイドに対するリサーチが
不十分だったのかもしれません。