演劇集団アクト青山春公演、月の宴『ヘッダ・ガーブレル』&新人公演『桜の園』で舞台監督をつとめます、宇土よしみです。
僭越ながら、先輩たちに続き演出家紹介をさせていただきます。
演出家、即ち小西優司主宰は…そうですね…、ちょっと恥ずかしい言い方で表現すれば「愛の人」なんでないかと思います。
すでに先輩たちが語られてきましたが、小西主宰のバイタリティ、サービス精神、なんでもやってしまう、なんでもできてしまうところ…その様々な特質の源泉は「愛」なんじゃないかなあ、と。
奇しくも、昨日の木曜教室において、主宰は「個人的な満足に関心がない」と言われました。
自分ひとりの満足より、たくさんの人が満足することに満足を覚えるのだそうです。
学生時代にうち込まれていたサッカーでは自分がゴールを決めることよりもチームの勝利のためにどうすれば貢献できるか、ということばかり考えておられていたとか。
200人もの部員を擁する高校時代のサッカー部では、キャプテンをつとめ、1軍でプレーしつつ、2軍や3軍の監督として采配をとっていた小西主宰。
もちろん、個人競技には全く興味がなかったそうです。
また、学校の文化祭や体育祭などの行事では催しの成功やクラスの勝利のためにリーダーシップをとり、骨身を惜しまず働いたとか。
そして、主宰がそういう話をされても、綺麗ごとを言われているようには、全く感じられないのです。
むしろ、なるほど、自分一人が楽しかったり満足したりするような喜びは、たくさんの人が満足することから得られる喜びには及ばないのだな…という気にさせられます。
劇団でお芝居をすることの喜びはそこにあるのかもしれませんね。
お客様の、そして劇団のみんなの満足のためにがんばる主宰のそういう姿勢が、殊にこの春公演の本番が近付くにつれ、劇団内に浸透しているように感じます。
先日今度の公演で制作を担当していただくJステージナビの島田社長が「今は集団で何かをする、ということが敬遠されて劇団という形で活動する人たちが少なくなっている」と嘆いておられました。確かに、時代の趨勢は集団よりも個が優先される傾向にあるのかもしれません。
しかし、そういう時代だからこそ、小西主宰率いるアクト青山の存在意義があるのではないか、そう思うのです。