僕のまくらをタマコが持っていってしまった

まるで何かを思い出したように


これまた急になんでやろう?

よくわからないなというジェスチャーを僕がすると

しかつめらしい顔をした彼女が即座にこう云った

キミのまくらは何度読んでも意味がわからないから、今度からは読み手の気持ちをよく慮ってから書きなさい

え、そうなの?

僕のまくらが?

本当に?

それはおかしいな

読む人が読めばわかるように、僕は書いてるつもりなんだけどな

たとえば、ハナビ好きだったり、ハナハナ好きだったり、ラジバンダリ


この右をハサンだ時のハマった感

音がズポッと聞こえたんやけど

勘違いやろか

試しにタマコが隣に寝てみた

うん、充分寝れるやん

でも、

このまくら、結構長くないか?

「そうやな。今日は花金やさかい、はよ行きや」




西武新宿線に乗った

終点で降り

歌舞伎町の隘路をくぐって

靖国通り、新宿通りへと

ぐんぐん進む

うん、キブンはすこぶるいい

まるでどこかの王様にでもなったかのよう?

いやいや

わいはしょせんジュクのプリテンダーや

裸にはならへんで

にしても

でっかいなァ、紀伊國屋にマツキヨや

そして左折

一転して、さみしい路地

肩をすぼめて

進む




そして、

その路地先には王ろじ

看板がなかなか古めかしい



一応メニューを見たそぶり

そして

「とん丼頂けますか」





カツが旨い

衣はカリカリなのに肉は柔らか

ミルフィーユだから成せる業なのか

辛いタレもいい


カウンター備え付けの怪しい壺を開けると

そこにもカツのタレがたんまりと入っていた






カツがカリカリで柔らか

何か二律背反的と思ったんだけど

やっぱり、そうなんだ

看板に

"昔ながらのあたらしい味"と書いてある