'掏摸になれない'を読んだ
以下引用文
前から来て、すれちがいざまに紐をボタンにかけて抜くのは、まだやさしそうに思える。うしろから、眼にもとまらぬ早わざで、紐をボタンにひっかけていくのは、どうもすごい。
ひと月以上、毎日、そうやって洋服や手下げなんかをにらみつけているとね、おかしなもので、十人のうち三人くらいは、ここにあるぞ、という感じが伝わってくるんだな。
その時分は、俺みたいな奴は大きくなっても生きようがないと思っていたから、掏摸でも一人前になれたら、と思ってたんだな。そのくらい、世間知らずでもあったんだ。
ざわざわしている大人たちの中に混じって、小ばくちなんかやると、案外に勝っちゃう。十七歳なんて年頃は、生命力が一番さかんな頃だから、ある程度、注意ぶかくやると、ひとりでに勝てたりするんだな。
友だちは学校に行ってる。大人たちはブローカーだ。よおし、それじゃ俺はばくちでひとつ一人前になってやろうか。
なんて、これも甘い考えなんだけれどもね。その頃は、ヤミ景気があったし、進駐軍の軍票景気というやつもあったし、混乱期で無警察状態でもあったしね。
昼間から、そういうところに入りびたって、どべどべしてやってる。そうしているうちに自信もついて、少し強い連中ともやりはじめる。
一方また、自分より弱いと思える大人を、うまく誘導して、適当にカモるコツもおぼえる。
その点だけでいえば、ばくち打ちは幇間(たいこもち)に似ているんだな。カモの旦那方に面白く遊んでもらって、自分は少し勝つ。日当をもらうようにね。たくさん勝つと客が離れるから、地味に長続きするように少し勝つんだ。
うらおもて人生録 掏摸になれない一の章
ドリームセブンジュニアのモーニングが取れなかったからトライアンフ
モーニングなんて入ってないだろうな
なんて思っているとタイヨーが揃う
おおっと、前のめりになる
気合いを込めてレバーを叩くと右手がぶんっ
そう、トライアンフにはレバーがないのだ
あるべきところにレバーがない
学習能力のない僕はいつも空振る
今日も今日とて
空振った右手が痛い
当然のごとくタイヨーは種なし
スロはもう打てない
打てるとしたら綱取だろうか
今日は電源を切ったようだ
一応カドのヘソをちらり
さりげなく見たつもりなのに、主任のキクチが笑ってやがる
今日はもう打てそうにない
さかえ通りの途中、僕はツボに入る
そして、いつも振り返る
ここがホントにさかえ通りから派生したツボなのだろうか
確かにさかえ通りが確認できる
今日も昨日に続いて、からし焼き
マスターがGABANのような胡椒缶を振るう
いち、に、さん、し、ご、ろく、では
もう追い付けない
しちはちくぅじゅう……
マスターの右腕が、これでもかとしなっている