俺がまだ若い頃の話だ。
今はあまり有名でないゲーム会社の社長をしている32歳の夫だが、今とは全く違う過去があったんだ。
まあ、聴いてくれ。
Bros.
「おい兄さん起きてよーまた遅刻しちゃうよ?今日朝練あるでしょ?」
弟の宏だ。
弟の宏と俺は野球部に入ってる。
「うっせーなー黙れよ糞野郎」
眠いからとっさに言ってしまった。
「なんてことを言うんだよ兄さん。そんなことよりほら、起きて学校行くよ。」
たくもう。懲りないよな。
今思い出してみると。
「おはようございます監督。」
「おう。おはよう。」
いつも来た時は必ず言う。
「おい、宏と新之介。こっち来い。」
キャプテンは朝練の指示にうるさい。
「よし、連続ノック50本だ。」
厳しく、過酷な練習。眠くてできなかった。
「宏、よくやるじゃないか。」
宏なら当たり前だろ。
俺は投手なんだぞ?簡単にできるわけねえじゃねえか。
「新之介。変える前に居残り練習な。」
ちぇっ。いっつもそう言いやがって。
「よし、お前は遠投100回だ。」
肩の骨がおかしくなる程度練習した。
「ま、そんなもんだな。」
なんだよ頑張って練習してそのコメントは。
俺は一人でいつも帰る。
しかし、後ろから誰かが追ってきた。
今日だけ居残りだった信也だ。
「キャプテンさ、俺嫌いだわ。」
信也もやっぱりそう思っていたか。
「わかるそれ。」
信也は優秀で、甲子園の出場へとコマを進めた奴とも言える。
打率は去年は0.364もあった。
「今日、お前と練習しようと思ってるんだけど、どうする?」
信也は必ず帰った後、誰かと練習する。
「よし、買った。」
俺がピッチャー。信也がバッター。
(よし、フォークだ。)
俺はいたって普通のフォークを投げた。
カキーン!
「くっそ、打たれたか。」
「大体センター前ヒットだね。」
そして、何度も投げても何度も投げても全て打たれてしまった。
「練習あるのみ。だな。」
「ああ...」
そして俺は帰った。
「ただいまー...」
「あら、進ちゃんお帰り。遅かったわね。」
家の中ではその一言だけだった。
「兄さんおかえり。」
弟はラジオでドラフトを聴いていた。
「ドラフトどうだった?」
実は、俺の高校には渉という優秀なバッターが居た。
そいつはドラフトでの噂が強烈にすごかった。
「札幌ヒートズの5位に渉さんいたよ。」
「本当か?」
1位はあの名門高校の哲也という奴だ。
あいつは天才ピッチャーで、高校生なのに、生意気なスプリットを投げてくる。
宏もあいつに三振を取られたぐらいだ。
「俺は来年だな...」
「兄さん、何とかしないと。」
ここから、俺の天才球児ストーリーの始まりだったのだ。
