中部横断道は去年8月29日、静岡県内の全区間が開通した。これにより、山梨県南アルプス市から静岡県清水市までが高速道路で繋がったことになる。


君は太平洋を見たか、僕は日本海が見たい

新潟県から静岡県が高速道路でつながると言うビッグプロジェクト。新潟の上越JCTから長野の佐久小諸JCTまでは上信越道、そこから…。

佐久小諸JCTの案内看板
(2022年10月15日撮影)
ここ(佐久IC付近)から長野道と中央道が接続する岡谷JCTまでは119.7km、一方で佐久南ICでおりて国道142号を利用すれば54kmと半分の距離。
名神高速方面に向かうなら142号に一旦おりるのが最短ルート、甲府方面に向かうなら横断道から141号と20号でわざわざ中央道を利用する意味はないと言うことか…。

佐久小諸JCTまで1km地点
(2022年10月15日撮影)
よく見てみると、「立科 佐久穂」の文字だけが公団ゴシックになっている。勝手な憶測だが、嘗ては佐久ICに設置されていたものか。横断道開通後は佐久北ICで国道141号、佐久南ICで国道142号に接続できるようになっているが、その前は佐久ICが最寄りICだったということ。
都市高速じゃないからランプはON・OFF共に左にあるから流用できたのだと思う。

JCTまで500m地点に設置された予告看板
(2022年10月15日撮影)
「中部横断道は中央道までつながっていません」
横断道が中央道まで繋がること=全通」である。
横断道開通年表
2002年3月 双葉JCT(中央道)~白根IC 開通
2004年3月 白根IC~南アルプスIC 開2011年3月 2011年4月 佐久南~佐久小諸JCT(上信越道) 開通
2017年3月 増穂IC~六郷IC 開通
2018年4月 佐久南~八千穂高原 開通
2019年3月 新清水JCT(新東名)~富沢 
〃     下部温泉早川~六郷IC 開通
   11月 富沢IC~南部IC 開通
2021年8月 下部温泉早川IC~南部IC 開通
※黒字:長野県側 赤字:中央道以南
中央道から新東名間は19年かけて全通した。
つまり残すは中央道から長野側の八千穂高原ICの約34kmとなった。と言うわけで、2022年現在の表記としては「中部横断道は全通していません」が正しい。

JCT手前に設置された2枚目の予告看板
(2022年10月15日撮影)
新直轄方式で建設される高速道路は、通過交通の円滑性以外に地域の活性化と言う使命がある。
暫定開通の終点に有りがちな「不便なIC」だが、幸い八千穂高原ICは直ぐ141号にアクセスできる。

小諸御影本線料金所
(2022年10月15日撮影)
全通したときのワクワク感はどんなものか。
ここを過ぎれば八千穂まで22kmの無料区間となり、長坂まで繋がれば更に30kmが追加される。三陸道の300km以上無料にはビックリさせられたが、距離は6分の1とは言えある意味で"横断道一の難事業"であった道路は違った存在感を出すに違いない。

長野県側終点の八千穂高原IC
(2022年9月17日撮影)

国道299号と八千穂高原ICの交差点付近
(2022年9月17日 撮影)
"中部横断道経由上信越道"の横に"中部横断道経由中中央道"と書き加えられる日は果たしていつになるのか。IC番号のない終点看板はまだまだ断念していない証拠と言える。
しかし、長野・山梨県境は未だ事業化すらなされていない現状。
"三遠南信は青崩峠にトンネル掘ってるんだぞ"
"いや、もうすぐ貫通するよ"
一度は頓挫した悲願のトンネル掘削も、4998mのうち残すところあと数百m。
そんな難工事が終盤に差し掛かっている横で、事実上断念してるとも言えるビッグプロジェクトがある。
青崩峠が「地質上の難所」であるとすれば、横断道はある意味でそれ以上の"難所"があるのではないか。既に色々な動きがあるなかで、この課題を「141号・横断道ユーザー」の目線から考えていきたいと思う。