ドライブシャフトブーツの交換が終わったので、もうそろそろ県外へ出てみようかな、と思うと運が悪い。時期は1月の真冬真っ只中、冬季閉鎖だらけである。


タイミングの悪さにいつもチャンスを逃しっぱなしである。でも欲求を満たす方法は一つしかない。

"行けるところから行く"

有名どころは勿論、過去に行きそびれた場所などをピックアップしてみると数えきれないくらいの候補が出てくる。冬季閉鎖の洗礼に耐えながら、道路情報を調べまくった上で見つけた。


雪国…

スタッドレスタイヤに雪用ワイパー、更には4wdと条件は揃っているものの主要ルートから一旦はずれるとどうなるかはわからない。

今回私が訪問しようとしているのは2桁国道の旧道である。


舞台は雪深い長野県上水内郡信濃町と新潟県妙高市。ショートケーキの断面のように綺麗に寄せられている雪は、「ミニ・万座ハイウェー」にも見えるか。

国道406号で菅平の圧雪峠道を抜け、その後は国道18号をひたすら北上。

写真は上越市だが、概ねこれくらい除雪されている。「ノーマルタイヤでも走れるかな」位綺麗にされていて、流れは非常にいい。

信越大橋
900mの橋途中で、長野県と新潟県の県境がある。
緩やかなカーブを描いていて、幅員も充分な位ある。
正式には、妙高野尻バイパス「信越大橋」。
当然、ここ付近には旧道がありそれは改良しなければならない程の難所だったに違いない。

実は信越大橋の下に旧道があり、それこそが嘗て国道18号として県境越えの交通を捌いていたのだ。
信越大橋の下に存在していたこの大きな存在に全く気がつかなかった。
旧国道18号の長野県側は現在信濃町道となっているが、国道時代の面影を色濃く残す。定番のあの3文字も健在だった。
※看板柱等に書かれているあの言葉❗
赤川1号と名付けられたこの構造物。
トンネルに見えるが、"○○隧道"や"○○トンネル"とは書かれていない。私がこの記載方式の白看板を見たのは初めてである。
スノーシェード
赤川1号
スノーシェッド
この作りは初めてだ❗

例えば、群馬県片品村と栃木県日光市に股がる国道120号の「金精峠」峠道にあるシェッド。毎年10月頃から降雪が観測され、クリスマスイヴからは冬季閉鎖される。
岩石=ロック
       シェッド
 雪=スノー 
それぞれで使い分けがなされているというが、片品村が国土交通省による特別豪雪地帯に指定されているから恐らくスノーシェッドだと思われる。

さーて正解は…
群馬県道路寿命長寿化計画という資料によると、防雪施設というくくりのなかに"ロックシェッドを含む"とされている。34頁の対象施設の概要のなかに国道120号のシェッドがあった。
上から14番目まで全て「スノーシェッド」とされている。

話が脱線してしまった。
赤川1号スノーシェッドについての概要が、道路を管理する信濃町の資料で明らかになった。
その名も、

供用開始は1970年。
半世紀以上、豪雪地帯の県境越えの交通を見守って来たのと同時に、過酷な環境に耐えてきた。
シェッド内には蔦が入り込み、看板も色褪せている。1997年の妙高野尻バイパスの開通によって旧道化してから、県境越えの交通はバイパスに移り、利用は妙高市側の集落の住民が利用するにとどまっている。

訪問時はまだ昼だったが、シェッド内は暗かった。カーブに沿って設置されているために中心部につれて暗くなる。

旧道は県境方面に向かって下り勾配になる。除雪はしっかりなされているが、圧雪路面。
1号シェッドを出て間も無く2つめのシェッドが出現した。

1号があれば当然次は2号になる。

2ー87
2ー86…
蛍光灯落下防止具に書かれている番号。
1号シェッドはどうだったか。
1ー75
1ー76
1ー77
1ー78
1ー79…
数字の始まりが1ー1や2ー1ではないのでちょっと変な感じがするが、連番にはなっているようだ。照明器具の維持のための番号だと思われる。

シェッド内は見事な急カーブだ。
下り勾配というおまけが着いてくるから、冬季の凍結時には事故が相次いだはずだ。
上信越自動車道の県境越え区間(信州中野IC~中郷IC)が開通したのは1997年のことだから、急カーブ+冬季凍結+大量の交通量で大きな難所と化していた。

スノーシェッド内 ライト点灯
時代を感じさせる書体でかかれた警告は、恐らく現役国道時代からのものだろう。先程も申し上げたように、昼までも急カーブだから中心に向かうにつれて真っ暗になってくる。

信越大橋とまたご対面。
支柱一本にかかる負荷は相当なものだろう。妙高市の妙高大橋が去年老朽化によって架け変えられ、50年の歴史に幕を閉じた。
県境にかかるこの橋も、四半世紀が過ぎている。寒冷という気象条件、ひっきりなしに続く交通量を捌かなければならないこの橋は、我々の目から見えている以上に消耗が激しいのである。

あの3文字を見つけた。
○設省
言偏が消えているが、省と言う字と合わせて考えればもうアレしかない。
建設省
一級国道(現在の1桁、2桁国道)の管理者は国土交通省の前身となった省庁の一つ、旧建設省である。
この部分だけでも、この道が嘗ての国道18号であったことを証明している。

カーブ部分に設置されている柱は、恐らく右カーブを示す矢印標識が設置されていたのではないか。

列車と遭遇。
これは北陸新幹線の長野~金沢間延伸によって、並行在来線となった旧JR信越本線である。現在はしなの鉄道という第三セクター会社である。
鉄橋を潜った先が…

県境だった❗
県の鳥である「トキ」が描かれている。新潟県の県境にある看板はどれもクオリティが高い。雪で看板が見えなくならないように傾斜がつけられている。

一方で長野県側。
県の花りんどうに、信濃町と言えばナウマン像。18号には「ナウマンゾウ発掘地」という交差点がある。
野尻湖の発掘調査では大量のナウマンゾウの化石が発見されており、そう言えば歴史の教科書にも出ていた記憶があるようなないような。

右にある標識は非常に珍しい。
スリップ注意の標識に「雪と雨の場合」という青い看板がくっついている。それにカーブの標識が道路からそっぽを向いている。これも旧道らしい独特の風景である。
そして、標識柱にも建設省の文字が。

そしてその下…
あ❗
これは初めて見たぞ❗
一般国道18号線
建設省 長野国道… 長野出張…
建設省が中央省庁再編で国土庁、沖縄・北海道開発庁と合流して国土交通省が発足したのは2001年のこと。国土交通省になる前に旧道に降格しているから、当時のまま残されていると思われる。
建設省 長野国道工事事務所 
現在は国土交通省長野国道事務所となっている。

県境を越え、一之橋で関川を渡る。
雪に覆われるなか、センターラインの部分だけ雪が少なくなっている。黄色と言うところが旧道色を強くする。

関川を渡り、辿り着いたのは妙高市関川地区。
上を見上げると、信越大橋の県境が見える。
集落で、昔は宿場町として栄えた。国道19号のように旧宿場町がそのまま国道に昇格したという経緯がある。
ここが新潟県の入り口。
帰宅してから気がついたのだが、長野県方面の写真がない。やっちまったな…
こちらへは結構用があるので、また次回訪れた際に撮影したい。

こちらの街灯にもあの3文字が‼️

建設省
雪がなければ宿場町としての雰囲気をもっと強く感じながら、この3文字を見ることが出きるのかも知れない。それくらい強い威力が旧道の3文字にはあるのである。

調査が終わったあとは、上越市の18号沿いのレストラン「ニューミサ」で食事。道の駅あらい店、食堂ミサ本店、そして私が行ったニューミサと3つの店舗がある。
味噌ラーメンとおにぎりのセットで1000円ちょっと。大盛りなので量もなかなかのもので、体も暖まる。

今度はこの続き、関川宿の旧宿場町を訪問していきたいと思う。
+信越大橋の写真も撮ってくること(笑)。

続く