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【言葉】反知性主義って何

反知性主義の本


 最近、「反知性主義」という言葉がよく使われている。憲法学の泰斗の名前す
ら知らずに憲法改正につき進む安倍総理を批判するときや、科学的知見を無   

 視 して放射能の恐怖を煽る環境活動家を批判する時、あるいは「イスラーム 

 国」を批判する際にも、この言葉が使われている。

 にわかに注目を集めつつあるキーワードに、出版業界も素早く反応。次々と 
 「反知性主義」の関連本が刊行されている。

 中でも人気思想家の内田樹氏が編著を務める『日本の反知性主義』(晶文

 社)は、発売1か月前からamazonランキングの「日本の政治」部門でトップを

 独走している状況だ。

 ところで、「反知性主義」とは、そもそもどのような意味なのか。『反知性主
 義』(新潮選書)の著者で、国際基督教大学(ICU)副学長の森本あんり教
 授はこう解説する。

「反知性主義(anti-intellectualism)はもともとアメリカで生まれた言葉で
 す」「冷戦初期のアメリカでは、多くの知識人がさしたる根拠もなく“共産主
 義者”とレッテルを貼られ、大衆から攻撃されました。この知識人への理不尽
 な攻撃を、リチャード・ホフスタッターという学者が“反知性主義”という概
 念で分析したのです」                         
                                    

  「日本でも福島原発事故や歴史認識問題をきっかけに、盛んに反知性主義  

 という言葉が使われるようになりました。元外務省主任分析官で作家の佐藤  

 優氏は反知性主義を『実証性や客観性を軽んじ、自分が理解したいように   

 界を理解する態度』と定義しています」                     
                                    
「最近ネットでは、自分とは異なる考え方をする人に対して“反知性主義”と
いう言葉を使う傾向が見られます。要するに、“お前はバカだ”と言う代わり
に“反知性主義”というレッテルを貼るわけです」しかし、「反知性主義を単
なる“バカ”という意味で使うのは誤りだ」と森本教授は指摘する。「本来の
反知性主義とは、知性そのものへの反対ではなく、知性が権力と癒着して

人々の生活に余計な口出しをすることへの反対です」