【食品】飽食時代のCSR
私の今年のメルマガタイトルは「よのなかメガネ発想術」。きょうはその第23回目(月に2回出稿)を書きました。 同じものをブログにも転載することにします。
蓮香尚文の「よのなかメガネ発想術」[2012/10/29配信]
http://s-pr.com/super-prway/all.php?id=4107
◎今回のタイトルは「ロス食品活用」
■「食べ物を捨てるともったいない」が原点(1/2)
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コラムタイトルの「よのなかメガネ」は物事を思考するとき、自分や自社のことだけを考えないで、「よのなか全体」からみる発想習慣のことです。よのなか=社会=ソーシャル=俯瞰(ふかん)と置き換えてもOK。
「よのなかメガネ」というフィルター(視点)から発想すると、素敵なPRアイデイアが湧き出てきます。私の一貫したスタンスは「あらゆるビジネスの根本は発想・アイデイアにある。発想の技術を極めてこそ一流の広報マン」。皆様のPR企画の立案、発想の事例としてお役立ていただければさいわいです。
24回目のきょうは、日本でのフードセーフティネットの構築を目的とし、児童養護・母子支援・障害者支援などの福祉施設や生活困窮者などに食品の提供を行っている「セカンドハーベスト・ジャパン(NPO法人)」( 略称2HJ、 チャールズ・マクジルトン理事長、http://www.2hj.org
)。
同団体は2000年頃、日雇い労働者が住む東京・台東区の通称「山谷」で、炊き出しのために食材を集め無償配布する活動組織「NPOフードバンクジャパン」の前身。日本初のフードバンクで、スローガンは「すべての人に食べ物を。」その後、名称を現在の「セカンドハーベスト・ジャパン」に変更し、このスローガン実現のために活動を続けています。
理事長のマクジルトンさんは平成3年、上智大学の留学生として来日。以来、東京・山谷のホームレス支援を行う中、米国で定着しているフードバンクを思い立ち、 平成12年に2HJの前身を始め、平成14年に法人化。企業や農家などから缶詰やレトルト食品、生鮮野菜・果物、ジュース、ベビーフードなどさまざまな食品や飲料を無償で提供してもらい、仕分けして、児童養護施設高齢者施設などへ無償で届けている。
フードバンク活動とは、賞味期限内であるにも関わらず、包装の不具合や賞味期限が迫っている、季節商品である、などの理由から、食品企業や量販店、輸入業者、卸業者、農家などが市場に流通できない食品を、食料を必要としている福祉施設や貧困者に配分する活動。「食べ物を捨てるともったいない」。
食料問題、環境問題、社会福祉問題、経済問題など、食べ物を廃棄して燃やさずに活かすことを通して社会問題の解決にあたろうというのが究極の狙い。
1967年(昭和42年)米国アリゾナ州で始まったアメリカズ・セカンドハーベスト
は、200以上の団体から構成され、今はフィーディング・アメリカという団体名に変更し、活動を続けている。世界では30カ国近くでフードバ ンク活動がおこなわれています。2HJの場合、食品を提供している企業は約全国のべ600団体。支援企業はほとんどが外資系。一般家庭からの持ち込みもあり、昨年は年間1689トンの食品を集めた。提供先は首都圏を中心に全国にのべ600施設。
日本で排出される食品廃棄物は年間約全国のべ年間2272万トンに及び、食べられるのに捨てられてしまう、いわゆる「食品ロス」が約500~900万トン発生。食品の4割を捨てる米国、年間13兆円分が「ごみ」に。世界で捨てられる食糧は13億トンといわれる。セブンイレブンで1日に捨てられる弁当、おにぎり、パン惣菜類の合計は、1億8千万円分。1個500円の弁当にすると、36万個分に当たる(1店舗につき、大体弁当30個分)。
日本では2000年に活動を開始し、2002年3月11日に法人化。東日本大震災後の3月13日以降、被災地に食料などの支援物資を運搬しており、2012年10月29日現在、東京から被災地への往復回数は174回を超える。
同団体でひとり広報で頑張っている井出留美さんに取材を申し出たところ快諾していただいた。井出さんは女子栄養大学で栄養学を修得した博士。専門分野は食と社会貢献(CSR)。広報分野にも通じ、日本PR協会が主催するイベント「2011年「PRアワードグランプリ」で最優秀賞受賞を受賞。フィリピンのタガログ語も堪能だ。2HJの広報室長の一方で、ご自分でも会社経営されている社長さん。会社「office3.11 http://www.office311.jp
」。社名の3.11は大震災発生日である同時にご自分の誕生日でもあるという。
プロフィール詳細:http://www.office311.jp/profile.html
外部のPR会社は活用せず、マスコミへのアプローチはマンツーマンとのこと。必要に応じプレスリリースを作成し配信している。社会的関心が高いテーマなので全国紙や全国放送のテレビ局からの取材や撮影依頼が途切れないという。実は私が井出さんを存じ上げたのもテレビ報道からだった。
■ボランティアではなく寄付行為で運営(2/2)
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震災直後、セカンドハーベスト・ジャパンで受け入れていたのは、以下の物資。通常は食品のみだが、震災直後は食品だけでなく、生活に必要な物資も受け入れた。食品だけでなく生活に必要な物資もある。
【最優先食品・物資】
●米、缶詰、レトルト食品(賞味期限内のもの)
●カセットガス(宅配便不可、直接持込みのみ)、電池、ホッカイロ
●赤ちゃん用おむつ、トイレットペーパー、ウェットティッシュ、マスク、
簡易トイレ(未開封)、
●消毒薬、絆創膏などの外用薬(未開封)
●新品の下着
このほか、
○食品・飲料(未開封で賞味期限内のもの)
→非常食、哺乳瓶、カロリーメイト、飲料水ポリタンクなど常温で保存できる
食品すべて
○衛生用品、医薬品(未使用、未開封のもの)
→生理用品、応急セット、うがい薬、石鹸、水のいらないシャンプーなど
○炊き出し用品(未使用、未開封のもの)
→紙皿、紙コップ、プラスチックスプーン・フォーク、割り箸、サランラップ
○その他
→タオル(未使用)、スリッパ(数回使用できれいなもの)
セカンドハーベスト・ジャパンの活動の現状を聞いてみた。以下は井出さんからのご返事を言葉に置き換えたものです。
世界の中で、一方には食べ物が余っています。もう一方には、食べ物に困っている人がいます。それらをつなぐ役割を果たすのが、フードバンクです。セカンドハーベスト・ジャパンは、日本初のフードバンク団体です。 フードバンク活動の対象となる食品 (余剰食品)は、食品企業、小売店(スーパーマーケットやコンビニエンスストアなど)、農家など、さまざまな場所で発生します。それをフードバンク団体が集めて、福祉施設や生活困窮者支援団体などに届けます。日本の食料廃棄は2272万トンです。そのうち、まだ食べられる食品(=食品ロス、フードロス)は500-900万トンです(農林水産省による)これは、日本の年間コメ生産量(839万トン)に匹敵する量です。 ドイツの食料廃棄は1100万トン、うち食品ロスは31万トン。日本の30分の1です。にも関わらず、ドイツの省庁(日本の消費者庁にあたる)の大臣は、こんなにも食ベられるものを捨てて、無駄にしている現状に警鐘をならし、今年から具体的なプログラムに乗り出しています。かたや、日本はどうでしょうか。
セカンドハーベスト・ジャパンの活動実績です。
これまで、全国でのべ675の団体から食べ物を受け取り、全国でのべ600の施設(児童養護施設、母子支援施設、高齢者施設、生活困窮者支援施設、在日外国人支援施設など)に食べ物を届けてきました。
セカンドハーベスト・ジャパンは、メインとなるフードバンク活動をはじめとして大きく4つの活動を続けています。
1)フードバンク活動
食品メーカーや小売店、卸店、農家などから、まだ十分食べられるにも関わ
らず、賞味期限がせまってきた、包装に不具合があるなど、さまざまな理由
で廃棄されてしまう運命にある食べ物を引き取り、食べ物に困っている福祉
施設などの子どもたちやDVV被害者のためのシェルターなどに届ける活動
です。
2)パントリー
経済的困窮により、十分に食事をとれない状況にある家族や個人に直接、
食品を届ける活動です。
1、宅配便で届ける
2、浅草橋のセカンドハーベスト・ジャパンのオフィスで手渡す
3、隅田川沿いのパントリーで食品を配布する
の3つの方法で、難民の方や、シングルマザーの外国人、失業者など
を支援しています。
3)ハーベストキッチン(炊き出し)
路上生活者を対象に、あたたかい食事を提供する活動です。毎週土曜日に
上野公園で炊き出しをおこなっています。
4)政策提言と発展のための活動
啓発活動や講演など。2008年から2012年にかけて、全国各地で毎年フ
ードバンクの説明会をおこなうフードバンクキャラバンをおこなったり、フード
バンク シンポジウムを開催したり、農林水産省の全国フードバンク調査を
請け負ったりしてきました。
以上の4つの活動に加え、2011年3月11日以降は、東日本大震災支援活動も、現在も継続しています。被災地までトラックを往復させた回数は174回。全国に避難する被災者の方へ送った食品詰合せは10064個(2012年7月現在) 食品取扱高は、
2010年 813トン (4、1億円相当)
2011年 1689トン (10、1億円相当)
2012年8月現在 2000トン
被災者の方からは「セカンドハーベスト・ジャパンのおかげで、食べ物が本当に助かったし、精神的な支えにもなった」という声をいただいています。上野公園では、自殺を考えていた人がセカンドハーベスト・ジャパンの炊き出しで食事をして自殺を思いとどまったという声もあります。また、パントリーで食べ物を受け取っていた人が、「もう食べ物は寄付してもらわなくてもよくなったから、今度は自分でボランティアをする」とおっしゃってくださったこともあります。
いいことばかりではなく、セカンドハーベスト・ジャパンの問題点とその解決方法なども語ってもらいました。いずれも井出さんの言葉。
「ロジスティクス(物流)の面。トラックは寄贈していただいて7台ほどありますが、すべてまかなえるわけではありません。これは、食品メーカーの方々が自社工場から直接、配布先に運んでくださったり、物流企業の方が手助けしてくさっています。人員の面。現在、スタッフ15名程度です。が、ボランティアの方が毎週、定期的にきてくださって、ドライバーさん、炊き出しの準備、調理、食品パッケージの詰める作業などを手伝ってくださっています。2011年は年間で、約5000名の方が来てくださいました。倉庫の面。これも物流企業やほかの企業が手助けしてくださっています」
さらに井出さんは、「食べ物を提供してくださる企業に対して、無理に『食品を提供してください』と営業してまわっているわけではありません。設立当初から、必ず、企業との信頼関係を結んでから、フードバンク活動をスタートさせています。話し合いをしてから数ヶ月で食品の寄贈をはじめる企業もあれば、5年ぐらいかかって、ようやくコンセンサスがとれてはじめる企業もあります。我々の活動方針を示し、『これに賛同してくれるのでしたら一緒に歩みましょう」というやり方です』」と話しています。
また、「東日本大震災支援の際、食べ物に困っている人たちを見て、もどかしい思いをした。首相官邸や国の機関にたらい回しにされ、きちんと対処してもらえない経験をした。一方、自衛隊やNPOなど、身を挺して震災支援に携わる人をみて、自分は活動する側にまわりたい、行動する人を応援したいと思い、民間企業から転身しました。食品ロスの要因の一つである、流通業界の商習慣『3分の1ルール』は製造から賞味期限までの期間を3分の1ずつに区切り製造から最初の3分の1で納品期限製造から最初の3分の2で販売期限を切る というものです。最後の3分の1は、賞味期限はあるのに販売期限が切れているため、売り物にならず、廃棄されています。「3分の1」とはいえ、賞味期限の3年
以上あるものだと、「3分の1」は1年間です。1年も賞味期限が残っているものを、家庭で捨てるでしょうか?このような3分の1ルールに対して、食品メーカーを退職した2011年9月以降、声をあげてきました。コラムを執筆したり、メディアに出演するときに、いかに無駄を生み出しているか、提言したりしてきました。たまたまかもしれませんが、1970年代に生まれたこの「3分の1ルール」、これまで一度も動かなかったのが今年の9月末、「緩和される方針」となり、大手食品スーパー、卸店、メーカーが集まってのワーキングチームの初会合が10月3日に開催されました」。
井出さんはこの活動を通じて社会に対して何を訴えたいのか。そのことについて「セカンドハーベスト・ジャパンは、ボランティア活動ではありません。寄付金がおもな活動資金となっており、それを活用し、社会に貢献する活動をおこなっています。日本は、米国と異なり、NPOを自分の目下(格下)に見る人が多いです。NPOはもちろん玉砕混合かもしれませんが、それは民間企業も同じことでしょう。NPOが、適切な見方をされるだけの社会的地位になれるよう、尽力したいです。『行動すれば、社会は変わる』という信念です。
[参考サイト]
▽セカンドハーベスト・ジャパン
http://www.2hj.org/index.php/jpn_home
▽フードバンク関西
http://foodbankkansai.web.infoseek.co.jp/
▽もったいない!「食品ロス」を減らそう―政府広報オンライン
http://www.gov-online.go.jp/useful/article/200906/4.html
▽世界食料デー
http://www.worldfoodday-japan.net/
飽食時代の社会貢献CSR 日本に与えられた使命だ。見よ!セカンドハーベ
スト・ジャパン活動のすごさを・・・といったところです。
本コラムはすべて私の独自取材によって構成・執筆させていただきました。
これまでに書いたコラム「よのなかメガネ発想術」
01回目は「常識を否定したバリアフリー」(2012/1/12)
http://s-pr.com/super-prway/all.php?id=3679
02回目は「秋入学で発想力を鍛えよう」(2012/1/26)
http://s-pr.com/super-prway/all.php?id=3699
03回目は「女性向けどんぶり専門店の挑戦」(2012/2/13)
http://s-pr.com/super-prway/all.php?id=3724
04回目は「手こぎ自転車」(2012/2/27)
http://s-pr.com/super-prway/all.php?id=3747
05回目は「高速道路上で結婚式」(2012/3/12)
http://s-pr.com/super-prway/all.php?id=3768
06回目は「手話スープ店」(202/3/26)
http://s-pr.com/super-prway/all.php?id=3788
07回目は「埼大生が企画した留年式」(202/4/09)
http://s-pr.com/super-prway/all.php?id=3809
08回目は「マイ野菜市民農園」(2012/4/19)
http://s-pr.com/super-prway/all.php?id=3825
09回目は「障害者支援・ソーシャルカフェ」(2012/4/30)
http://s-pr.com/super-prway/all.php?id=3841
10回目は「偉人伝講座で寺子屋モデル」(2012/5/10)
http://s-pr.com/super-prway/all.php?id=3857
11回目は「すかいらーくEV充電無料化」(2012/5/31)
http://s-pr.com/super-prway/all.php?id=3887
12回目は「撮影ボランティア」(2012/6/11)
http://s-pr.com/super-prway/all.php?id=3904
13回目は「江戸コンを全国展開へ」(2012/6/21)
http://s-pr.com/super-prway/all.php?id=3920
14回目は「障害者を積極雇用」(2012/7/09)
http://s-pr.com/super-prway/all.php?id=3946
15回目は「大失敗賞でチャレンジ精神を」(2012/7/19)
http://s-pr.com/super-prway/all.php?id=3962
16回目は「山梨県が女子会創設で観光誘致」(2012/7/30)
http://s-pr.com/super-prway/all.php?id=3977
17回目は「地方鉄道のアイデア復活戦略」(2012/8/9)
http://s-pr.com/super-prway/all.php?id=3991
18回目は「訪問福祉理美容サービス」(2012/8/20)
http://s-pr.com/super-prway/all.php?id=4006
19回目⇒「救缶鳥パンでCSR」(2012/8/30)
http://s-pr.com/super-prway/all.php?id=4020
20回目⇒「朝礼を公開する居酒屋」(2012/9/13)
http://s-pr.com/super-prway/all.php?id=4041
21回目⇒「バリアフリー旅行サービス」(2012/9/27)
http://s-pr.com/super-prway/all.php?id=4061
22回目⇒「泣く子が黙る「ベビーベッド」(2012/10/8)
http://s-pr.com/super-prway/all.php?id=4076
23回目⇒「練馬区買い物支援サービス」(2012/10/18)
http://s-pr.com/super-prway/all.php?id=4092

