【PR論】店とは社会(世)を見せる処 | PRアイディア直売所 ~作って売るから安い~

【PR論】店とは社会(世)を見せる処

発想とアイディアを独自の視点から研究している【伝説のPR職人】ハスカです。


私の一貫したスタンスは「あらゆるビジネスの根本は発想・アイデイアにある」。


マスコミと読者を「ハッ」とさせ、「ソウ」なのかとうならせる、

                    「わがハッソウ(発想)術は永久に不滅です」。

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■社会問題に取り組み、メニュー化せよ
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飲食店にとってメニューは「商品」そのもの。いろいろな角度・視点でPRするのはいいけれど、商品をいじった方が手っ取り早いのではと思っています。問題は商品のいじり方です。マスコミ報道に耐えうる商品にしてあげること。

ここに3つの飲食店のメニューがあります。事例のAとBは私の企画ではありませんが、Cは私が提案したものが商品化され、今夏、マスコミで話題となったものです。

【A】ETC定食とETC丼

2009年3月28日から施行された高速道路割引。首都圏を除く一律1000円で乗り放題。ETC(自動料金収受システム)搭載車に限定してのものでしたが、来客の増大が予想されるSA(サービスエリア)・PA(パーキングエリア)などの飲食店でETC定食やETC丼がお目見えした。ETC定食とは、E=えび、T=とんかつ、C=チキンのフライの盛り合わせのこと。ETC丼は、E=エッグ、T=豚(トン)、C=キャベツをトッピングした丼。


PRアイディア直売所 ~作って売るから安い~-ETC定食

PRアイディア直売所 ~作って売るから安い~-ETC丼

ETC定食は東北自動車道上り線「鏡石パーキングエリア」、ETC丼は東北自動車道「福島松川PA」で販売された。今もこれらの商品があるかは不明。
 
【B】すし「裁判員セット」

2008年、福島県郡山市で「海味(うみのはな)」というお寿司屋さんが、翌年2009年5月から開始予定の裁判員制度のPRに一役買おうと新メニュー「裁判員セット」をメニューに登場させたのです。「いかに裁くか」のだじゃれで、「イカ」「カニ」「サバ」、ひらめきがあるようにと「ヒラメ」など握りを6カン、こちらは裁判員で、手巻き3本は裁判官に見立てたという。ノリは裁判官の法衣を黒く表現。茶わん蒸しもついて価格は1138円(いいさいばん)にしたといいます。しかし、今はメニューとして出していません。
▽海味:http://r.gnavi.co.jp/t074600/


PRアイディア直売所 ~作って売るから安い~-すし「裁判員セット」

「寿司屋と裁判員制度」という異色の組み合わせ。その落差にマスコミが飛びつかないはずがありません。もちろんテレビや全国紙など多くのマスコミがこの話題を報道しました。裁判制度という極めて「今日的で社会性のある話題」を硬い司法や行政当局ではなくて、やわらかい庶民レベルのしかも礼節を重んじるお寿司屋さんから出てきた話という点で、ニュース性がありとても斬新。

【C】節電冷やしパスタ

こちらは私のPRアイディアを全面的に採用していただき、現在、プロモーション中のメニュー。埼玉県大宮区の駅前にある居酒屋「まさき亭」。得意のイタリア料理のパスタに、体を冷やすといわれる4つの野菜「トマト」「茄子」「レタス」「きゅうり」を使用して「野菜パスタ」に変身させ、さらに「冷やし」にしてダブル効果を狙って「節電メニュー」とした。早速、地元テレビが取材、8月5日、夜の報道番組「NEWS930」でオンエアされ、PR広報として実証された。「節電冷やしパスタ」は9月15日までの季節限定商品。期間中の実績は、70-80本の掲載紙があがりました。

▽まさき亭:http://ggyao.usen.com/0005025710/     

     
PRアイディア直売所 ~作って売るから安い~-トマトジュース付冷やしバスタ


これら事例ABCに共通する特徴。それは当面する社会問題に向き合い、それを商品である料理メニューで表現したもの。 私はソーシャルメニューと名づけています。

PRとはこのように、社会や社会問題に共感したりしたことを、その持ち合わせている資産ノウハウ(この場合は飲食商品の製造販売に関する提供技術)で表現することだと思っています。それが私の提唱するソーシャル発想の根本。

これらの「ソーシャルメニユー」は各種既存メディアはもちろん、今流行のソーシャルメディアもこぞって取り上げます。記事になると、口コミで広がり、回りまわって来店=消費という図式に繋がっていくのです。

ある飲食店の経営者がいいました。冷やしメニューまではわかるけど、節電とか時代に迎合するようなものはやりたくないと。なるほど。確かに、それでは先人がやった足跡とをまねていくだけに過ぎない。

人がやらないことをやるのが革新的経営者の努め。もちろん人がやらないことはリストがつきまとう。しかし、それを乗り越えてこそ本物のノウハウというべきなのでしょう。


はっきりいおう。今の飲食店経営者はほとんど「社会の諸問題」に対応していない。

素敵な食材を使っておいしいものを出せばそれで社会的使命は果たしたのだと思っている。胃袋を満たすだけのサービス業。


違います。メニューは仮の姿。「食」というメニューを通して「社会実現を図る」、これが本来の飲食事業の経営者に与えられた使命なのです。ですので、調理場に立ちながらも、頭の中は当面する社会問題をいつも意識して欲しい。


私はこう思っているんです。店は、本来「見世(みせ)」であるべき。世=社会ですから、社会の(問題)を(食というメニューを通して)、(お客様に)見せる処、これがお店であり、飲食店であるべきだと。


ふだんはキッチンの中ばかりにいますと、世間のことがみえません。そのときはスタッフなりデスクワークをやっている人たちが「社会問題を提示」し、「メニュー化」できないか、提案すべきなのです。外部専門家が機能するのはまさにこの時です。


「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」の時代はもうとっくに終わっています。


おいしさに加えて、マナー・サービス・エンタメもフードサービス業なら当たり前。いまや、お店といえども社会問題をどう考えているのか、その姿勢・思想なり行動なりが問われる時代となっています。


これからは社会に貢献できるソーシャルメニューを多く開発して、社会と共存・同化していくマーケティングと経営が求められています。


お店とは、食の提供を通して、社会(世)を見せる処、これ、すなわち「見世」という。           


[参考] 

浅草だけではなく全国には「仲見世」通りという名が多くあります。これの意味は「仲+見世」の合成語で、「仲」は、人と人の間柄・空間的範囲のこと、また、「見世」は、客に見せながら商品を並べて売る処です。


「仲見世」とは、通常、社寺の境内などにある店を意味します。現在のようにネットでの商品流通がなかった時代で、社寺などへの参拝客が経済交流の中心だったのでしょうね。「仲見世通り」は、その名残といえます。