【人】R25高橋秀実さんの文章力 | PRアイディア直売所 ~作って売るから安い~

【人】R25高橋秀実さんの文章力

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発想とアイディアを独自の視点から研究している【伝説のPR職人】ハスカです。


私の一貫したスタンスは「あらゆるビジネスの根本は発想・アイデイアにある」。


マスコミと読者を「ハッ」とさせ、「ソウ」なのかとうならせる、

                    「わがハッソウ(発想)術は永久に不滅です」。

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先週、同じ日に、存じ上げないはじめてのブロガー4人の方から「はすかさんのブログはわかりやすいですね、PR広報をここまで解説されると気持ちがいい」といわれた。


「読みやすくわかりやすい」ことを心がけているので、一番うれしかった言葉だった。褒められて悪い気はしないし、内心、気持ちが高ぶっていた。


しかし、それもつかの間、コンビでみつけた無料誌に掲載されていたプロの文章家のエッセイに出逢い、日常の話をここまで膨らませてよく書けるもんだ、こういうのを作家というんだなと、自身の能力不足を猛省させられた。


その人のお名前は、高秀実橋(たかはしひでみね)さん。


知識・知性に溢れたエッセイを書くノンフィクション作家。テレビ番組制作会社のADを経て、フリーのライターに。元ボクサーで、ボクシングのジムトレーナーを務めていた経験も持つ。


リクルート発行の フリーペーパー『R25』にて、エッセイ「結論はまた来週」を隔週で連載中といえは若い人なら「ああ、あの人か」という人も多いはず。


10月20日発行の『R25』№295号の「結論はまた来週」のタイトルは「2回目のプロポーズ?」というものだった。


何気なく読んでいたのですが、一読しておもしろいことがわかりました。ストーリーテーラーというやつですね。その全文を書き写しましたので、遊びにこられるブロガーの皆さんとも文章の素晴らしさを共有してみたい。


テーマが、男女、それも夫婦の話なので興味が湧きやすいところがあったのかなとも思いますが、今後、人が登場しない、例えば、昆虫や動植物、自然界のことなどを書いた随筆があればぜひ拝読してみたい。どこにでもあるたわいない小さな出来事をどれだけおもしろくかける人なのか。


文章の上手な人は、何よりも「描写」に優れており、次に「組み立て、構成」がしっかりしている、最後は「心の動き」をしっかり表現している点だ。この3点をイメージしてじっくりと読んで欲しい。(NHK「ラジオ深夜便」をらじる★らじるで聞きながら)


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結論はまた来週 連載 第一 60回 2回目のプロポーズ?


このたび私は、近著『ご先祖様はどちら様』(新潮社)で第10回小林秀雄賞を受賞した。


先日、ホテルオークラで贈呈式が行なわれ、スピーチに立った私は「いまだに人違いのような気がする」と我ながら間の抜けた感想を述べ、関係各位に感謝の意を表し、妻にも「ありがとう」と声をかけ、その勢いで壇上から彼女からこう呼びかけた。


「愛してるよ」


会場の人々から見つめる中、私は大声で愛を叫んだのである。かなりインパクトがあったらしく、その後、皆さんから次々と「アカデミー賞の授賞式かと思った」「今の男って、そこまでしなきゃいけないの?」「何か悪いことでもしたのか?」などとたずねられた。


受賞作については誰ひとり言及せず、もっぱら「愛してるよ」発言の真意を問われ、しまいには2次会でも「お前があんなことを言うから、女性が誰も来ないじゃないか」と責められたので、この場をお借りしてあらためて釈明させていただきたい。


実は私が妻に自分から「愛してる」と言えるようになったのは、結婚して10年目くらいだっただろうか。なぜそんなに時間がかかったかというと、「愛してる」という言葉がどうにも馴染めない。馴染めないということは本意でないことになってしまうのだが、愛していないかというと決してそうではない。


早い話、恥ずかしくて口に出せなかっただけなのだが、彼女に「あなたは私への愛を『恥』だと思っているのか」と問いただされ、自分の恥ずかしさを優先する自己本位な人だと非難された。


恥ずかしいならなおさらのこと、なりふりかまわず「愛してる」と叫んで欲しい。さもなくば離婚だと脅され、私はようやくアイウエオと発声する要領で「愛してる」と言えるようになった。


すると妻は、「どこを愛してる」「いつ愛してると思った?」と私に問うようになったのである。いうなれば愛の5W1H。瞬時に答えられないと本当に愛してるとはいえないとのことで、私はそれこそ手当たり次第に「おでこ」「おちょぼ口」など全身のパーツに言及した。


「全部愛してる」と一括したこともあるが、「手抜き」と逆鱗に触れたので。以来私は毎日その答えを探して過ごすようになった。


例えば、スーパーで彼女の好物である冷凍グラタンを見かけたら、「グラタンを見た時に愛してると思った」と言おうと決めたり、何やら夫婦間の諍(いさか)いを耳にしたら、今日はこのネタでいけるとか。


私は四六時中彼女のことを考えるようになり、もはや愛してるとしかいいようのない精神状態になったのだが、彼女は一向に満足する様子はなく、私が「愛してる」と言うと、こう切り返すようになったのである。「人前で言える?」と。


いくらなんでもそれは、と思ったのだが、考えてみれば道理である。結婚詐欺などは個別に「愛してる」と囁き、その場しのぎで全員で騙す。


おそらく人事などでも相手を個別にほめるのはたやすいが、全員の前で特定の個人をほめるのは、他を捨てるというリスクを伴う。


いわば捨て身の愛。それこそ本物の愛なのだ。ついに言ったぞ。私は達成感に包まれた。妻も「ありがとう」と喜んでくれた。


しかしそれは半日も持たなかった。翌日には「どういうつもりで言ったのか?」と訊かれ、私は返答に窮した。


「気持ちが込み上げてきた」ような気もするが、それでは単なる気まぐれのようだし、「以前から計画していた」となると、受賞に乗じて事を済ませようとしたことになる。


どう答えるべきかとあれこれ思案しているうちに実際どういうつもりだったのか自分でもよくわからなくなり、首を傾げていると彼女はこう分析した。


「要するに私を利用しただけじゃない。スピーチのオチとして。やっぱり傲慢なのよ、あなたは」


確かにそういう側面もないことはなく、かくして私は2回目のプロポーズに失敗した。しかし、三度目の正直ともいうので、3回目こそなりふりかまわず勝負に出たい。


たかはし・ひでみね
1961年横浜市生まれ。東京外大モンゴル語学科卒。著書『ご先祖様はどちら様』で第10回小林秀雄賞を受賞。他に『からくり民主主義』『トラウマの国ニッポン』『趣味は何ですか?』『おすもうさん』など。本連載をまとめた『結論はまた来週』(角川書店)も絶賛発売中。


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