【スキル】文章タイトルとつかみ広報
発想とアイディアを独自の視点から研究している【伝説のPR職人】のハスカです。
プレスリリースのタイトルとつかみの作成法について。
■結論と現在の核心部分を先に(1/2)
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暴力団と癒着していたという理由で、芸能界の超売れっ子だったタレントの島田神助さんが先週、突然引退するというニュースは衝撃的だったですね。
神助さんの早口トークはゲストや視聴者の心をつかむ、いわゆる「つかみ」テクとして有名ですが、プレスリリース作成でも同じことがいえます。すなわち結論を先にいってすぐに内容がわかる文章の構成。これでなくちゃ。
プレスリリースなのに手紙のような、論文のような、最近は長い文章の人が多くて見るのも嫌になります。ブログやTwitterなどのソーシャルメディアの影響からか友達同士で話しかけてくる「タメ語」も散見しますね。
とても「つかみ」どころではありません。とりわけタイトルが悪い。本当に長い。タイトルはワンフレーズ15文字以内。これ原則です。本コラムの2-1相当部分は13字、これぐらいのボリュームでも長いと私は感じます。
遅筆家ではあったけれど文章作成の極意を残された作家の故井上ひさしさんはその著書「井上ひさしと141人の作文教室」(新潮社、新潮文庫)
▽http://www.7netshopping.jp/books/detail/-/accd/1101822229/subno/1
のなかで、次のようにいっています。
昨日の夜、起きたことを言うために、昨日の朝、起きたことから、ずうっと言っている人がいるんです。こういう人は絶対、文章は書けません。その一番いい例は「国境を越えると、雪国だった」の川端康成の「雪国」の出だしです。
あれを「汽車はトンネルに入った」とやったら大変です。清水トンネルですから出るまで30分ぐらいかかるんですよね。
さて、現実の話に置き換えると、なかなか核心から入る人は少ない。むしろ核心を後回しにして、それで関心をつなごうとしている人がいますが、それでは相手をじれったい気持ちにさせるだけ。
まして結論がありきたりだと、さんざんもったいぶって何だ! となりかねない。私は人の話を聴いただけでこの人は文章が書ける人だなとわかります。それは筋道がとおっていて、結論をわかりやすい言葉でしゃべる人だからです。
プレスリリースの書き方は新聞記事を読んでいれば一目瞭然です。すなわち、新聞は見出しでまずニュースの核心部分を要約し、さらに前文、本文という形で、できるだけ早く物事の全体がわかるように工夫されて作られています。
忙しい現代人を意識してのことでしょう。文章の構成も、たいていは「現在」 「過去」「未来」と流れています。よほどのテクをもたない限り、話はいま現在、話の中核部分から入って相手の興味を引くのが一番よい文章といえます。
■「まだ10分ですか」で笑いを(2/2)
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文章だけではありません。わかりやすさとは人の心をつかむ「つかみ」のこと。話し方だってそうです。作家の渡辺淳一さんは助平なことをことを書くくせになぜか女性ファンが多い。渡辺さんの講演会に参加したある女性の話。
渡辺さんは「講演は得意ではありませんので」という感じでしゃべっていて会場は盛り上がりませんでした。その講演会は古い話だったのですが、ひとつだけはっきり覚えていることがあるという。
渡辺さんは時計を見ながら、やれやれという感じで「まだ10分ですか」。その時だけ会場から笑い声が起きたことを鮮明に覚えていますと。
渡辺さんの話が面白いか面白くないかはともかく、「まだ10分ですか」という言葉を口にするあたり、かなり講演慣れしているように思えます。
話を始めて5分でも10分でも比較的早い時間で区切って、「まだ○○分」ですかとボソッというのは聴衆の心理を読んだ「つかみ」のテクだということ。
精神科医で作家の斎藤茂太さんもその実践者で、著書「人間的魅力の育て方」(三笠書房)
http://www.7netshopping.jp/books/detail/-/accd/1101220253/subno/1
にこう書いています。
私の場合、最初の1、2分のうちにたいていの聴衆は笑い声を立てるようだ。どうやらまず相手を笑わせるのが私の講演やスピーチと一つのパターンであるらしい。
私の策略はまず結論をいってしまって、「それではきょうの話はこれで終わりにして帰ります。あれ、まだ5分しかたってないですな」
これでまず聴衆は90%の聴衆は笑う。聴衆が笑ってくれるとしめたものだ。おおげさにいえばあとはスラスラといく。こっちも相手もリラックスしてくる。悪循環ならぬ好循環である。
そういうひと言がなぜおかしいでしょうか。講師のほうは冗談でそういったとしても、聴いているほうは講師の本音がポロッと出たと思い、そこにおかしみと親しみを覚えるのでしょうか。
あるいはまだ始まったばかりなのに、よくいうよ!というちよっとあきれた感じの笑いなのでしょうか。いずれにしても、「まだ○○分ですか」は聴衆をつかみ、会場をなごませるのに効果的な台詞のようです。
僭越ながら私も大阪で講演したときのこと。もともと話など自信はなかったのですが、大変不評だった。懇親会に移り、そこで参加者のひとりが私にこう教えてくれた。
「はすかさん、話が真面目すぎましたよ。東京では受けても大阪では笑わせないとダメです。わざとらしいくらいがちょうどいいです。たとえば壇上に上がるとき、ずっこけるとかですね。とにかく笑わせて心を開かせないと大阪人は相手を認めません」。
私はなるほどと思い、 以来、たとえ東京であっても、壇上にあがるときはずっこけるようにしていますが、本当にずっこけてしまって足をケガしたこともあります。私にとって大阪での講演体験の失敗は鮮明にありまして、いい授業料を払ったと思っています。
プレスリリース作成であれ、講演であれ、相手が一番望んでいるのはわかりやすい情報や話だと思います。難しい事柄の話でもちゃんと理解してわかりすく伝えられる人、そういう人が真の広報パースンだと思います。
本ブログの読者の方でも人前でお話をする機会は多いと思いますが、ぜひ、この「つかみ」の秘伝、「まだ10分ですか」の短いフレーズをできるだけ早いタイミングでしゃべってください。会場は笑いの場と化し、その講演でもなめらかに進むでしょう。
あ~あ、ついに、人の受け売りをさも自分のことのように言ってしまった。
笑っておくんなまし。