【PR論】飲食店はソーシャルメニューを
発想とアイディアを独自の視点から研究している【伝説のPR職人】のハスカです。
飲食店は「ソーシャルメニュー」を開発し、それをPRすべき、という話を。
■「夜ランチ」の発想力(1/2)
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大震災や原発の影響で食材が入荷しないぱかりか、3.11以降客足が急激に落ちて苦しい経営を余儀なくされている「飲食店」。
立地に加え、飲食店経営の基本は「味とサービス」とばかりに店舗を構えて石の上にも3年、そうすれば客はつくさ、という時代はもうとっくに終わった。
なにしろ飲食店の軒数が多く、まずはライバル店の競争に勝たなければならずそのために攻めの仕掛けが必要になってきます。飲食店にとって「味やサービス」など当たり前なのであって、自慢どころかPRの素材ではなり得ないのです。
そのことを、知人で飲食店専門にPRをやっている浅倉和博さんが自身のブログで「飲食店の集客神話7つの大罪」の一つとして「開業3年以内が勝負」というコラムで指摘しています。
▽詳細: http://ameblo.jp/pr-planner/entry-10522444965.html
浅倉さんいわく。「店を出せば、お客は自然に集まってくる」という無根拠な発想、そして「石の上にも3年」などという安易な妄想があるとし、それらは飲食店経営をダメにしている大罪だというのです。
その解決法。ほとんどの個人飲食店の経営者は、自分の修行した料理については知っていても、お店の経営に必要なそれ以外のことは、時間をかけて自分で学ぶか、お金をかけて誰かに頼むしかない、と結んでいます。
私も同感。調理場の中にしかいないオーナーシェフなどまったくそれが当てはまります。お客様は目の前にいるから消費者情報はわかっていると割り引いたとしても、外部環境、とりわけ社会の動きなどまったく見えていない。日々の現場の業務に追いやられ、経営やマーケティングは無頓着になりがち。
人々の意識やライフスタイルなどどんどん社会は変化していく。その変化に対応しなければお店も置いてきぼりにされる。旧態依然のメニューなどではとうてい戦(いくさ)には勝てない。
ランチという言葉は昼間だけと思っていたら、今や「夜ランチ」と銘打って夜の営業時間に食事のみのセットを提供する飲食店が増えてきています。夜なのにランチのような手軽でお得なメニユーのことを「夜ランチ」というらしい。
居酒屋などでアルコールなしでも食事だけでも来店OKということをさしているようだ。背景には「おひとり様」の個客が増えているからだという。夜=アルコールといったイメージを取っ払う斬新な発想、そして、現代人の生活スタイルにも合ってる印象にも見受けられる。
▽私のブログ: http://ameblo.jp/pridea/entry-10949346717.html
このようにランチは昼間だけのもの、夜ランチというのは言葉使いがおかしいだけでなくナンセンスと捉えられがちですが、さあ、そうでしょうか。私はそうは思いません。そこらへんの発想自体が今問われていると思うのです。
■社会問題をメニュー化せよ(2/2)
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飲食店にとってメニューは「商品」そのもの。いろいろな角度・視点でPRするのはいいけれど、商品をいじった方が手っ取り早いのではと思っています。問題は商品のいじり方です。マスコミ報道に耐えうる商品にしてあげること。
ここに3つの飲食店のメニューがあります。事例のAとBは私の企画ではありませんが、Cは私が提案したものが商品化され、ただいま展開中であります。
【A】ETC定食とETC丼
2009年3月28日から施行された高速道路割引。首都圏を除く一律1000円で乗り放題。ETC(自動料金収受システム)搭載車に限定してのものでしたが、来客の増大が予想されるSA(サービスエリア)・PA(パーキングエリア)などの飲食店でETC定食やETC丼がお目見えした。ETC定食とは、E=えび、T=とんかつ、C=チキンのフライの盛り合わせのこと。ETC丼は、E=エッグ、T=豚(トン)、C=キャベツをトッピングした丼。
ETC定食は東北自動車道上り線「鏡石パーキングエリア」、ETC丼は東北自動車道「福島松川PA」で販売された。今もこれらの商品があるかは不明。
【B】すし「裁判員セット」
2008年、福島県郡山市で「海味(うみのはな)」というお寿司屋さんが、翌年2009年5月から開始予定の裁判員制度のPRに一役買おうと新メニュー「裁判員セット」をメニューに登場させたのです。「いかに裁くか」のだじゃれで、「イカ」「カニ」「サバ」、ひらめきがあるようにと「ヒラメ」など握りを6カン、こちらは裁判員で、手巻き3本は裁判官に見立てたという。ノリは裁判官の法衣を黒く表現。茶わん蒸しもついて価格は1138円(いいさいばん)にしたといいます。しかし、今はメニューとして出していません。 ▽海味:http://r.gnavi.co.jp/t074600/
「寿司屋と裁判員制度」という異色の組み合わせ。その落差にマスコミが飛びつかないはずがありません。もちろんテレビや全国紙など多くのマスコミがこの話題を報道しました。裁判制度という極めて「今日的で社会性のある話題」を硬い司法や行政当局ではなくて、やわらかい庶民レベルのしかも礼節を重んじるお寿司屋さんから出てきた話という点で、ニュース性がありとても斬新。
【C】節電冷やしパスタ
こちらは私のPRアイディアを全面的に採用していただき、現在、プロモーション中のメニュー。埼玉県大宮区の駅前にある居酒屋「まさき亭」。得意のイタリア料理のパスタに、体を冷やすといわれる4つの野菜「トマト」「茄子」「レタス」「きゅうり」を使用して「野菜パスタ」に変身させ、さらに「冷やし」にしてダブル効果を狙って「節電メニュー」とした。早速、地元テレビが取材、8月5日、夜の報道番組「NEWS930」でオンエアされ、PR広報として実証された。「節電冷やしパスタ」は9月15日までの季節限定商品。▽まさき亭:http://ggyao.usen.com/0005025710/
これら事例ABCに共通する特徴。それは当面する社会問題に向き合い、それを商品である料理メニューで表現したもの。 私はソーシャルメニューと名づけています。
PRとはこのように、社会や社会問題に共感したりしたことを、その持ち合わせている資産ノウハウ(この場合は飲食商品の製造販売に関する提供技術)で表現することだと思っています。それが私の提唱するソーシャル発想の根本。
これらの「ソーシャルメニユー」は各種既存メディアはもちろん、今流行のソーシャルメディアもこぞって取り上げます。記事になると、口コミで広がり、回りまわって来店=消費という図式に繋がっていくのです。
検索大手のGoogleは検索結果ページで「+1(プラスワン)」ボタンの表示を開始、いわゆるソーシャル化に力を入れ始めています。Facebookの「いいね!」ボタンのように、閲覧者がウェブサイトやAdwords広告を評価できる仕組みで、検索結果ページとAdwords広告のテキストリンク(ページタイトル)の後ろにボタン表示とウェブサイト内にもボタンを設置できるようになっています。
このことは何を意味するか。例えばソーシャルネットワーク上で、知人がおいしいイタリアンレストランを紹介したとする。その瞬間、ユーザーに興味、関心が沸き、いつか行ってみようというニーズが顕在化する。このように、信頼のおける人からの口コミ情報は有益な情報になる。
つまり、検索がソーシャル化することで、検索ユーザーに対して自身の目的意識とは別の要因から需要を喚起し、また信頼性の高い情報を提供できる可能性に繋がるというのです。
こうした対応にはウェブにおける消費行動の変化があります。電通が提唱した消費行動のプロセス「AISAS」が有名ですが、消費行動における検索とはニーズの顕在化したユーザーが行う能動的な行為となる。目的意識が明確になっているため、検索ユーザーが欲している情報やサービスが見つかった場合、最終的なアクション(購買など)につながりやすい、というわけ。
▽AISAS:http://www.weblio.jp/content/AISAS%E7%90%86%E8%AB%96
既存メディアでの報道記事やソーシャルメディアでのつぶやきから口コミ、これらが相乗効果を果たし、いつしか街のうわさが評判になり、来店や消費促進に大いに貢献していく、そんな時代になっています。
ある飲食店の経営者がいいました。冷やしメニューまではわかるけど、節電とか時代に迎合するようなものはやりたくないと。なるほど。それでは先人がやった足跡とをまねていくだけに過ぎない。
人がやらないことをやるのが革新的経営者の努め。もちろん人がやらないことはリストがつきまとう。しかし、それを乗り越えてこそ本物のノウハウというべきなのでしょう。
進化論で有名なダーウィンの言葉。
「地球上に生物が誕生して35億年、どういう生き物が残ったか? 変化に順応し、自らを変革させ得た生物だけが生き残った。強いものが生き残るとは限らないし、賢い者が生き残るとは限らない。変化するものだけが、生き残り成長するのだ」
節電というキーワードが時代に迎合している言葉かどうかは判断つきかねますが、社会の変化に対応していかなければ「時代というバス」に間違いなく乗り遅れます。

