【提案】企画書は不要
野地秩嘉さんという人が書いた本に、「企画書は1行」( 光文社刊) があります。
やりたい事柄をビジュアルになるようにイメージ化し、それを1行であらわすという本らしい。私は読んだことも、もちろん買ったこともありません。
私が著者依頼を受けたなら、「企画書は書くな」というタイトルの書名になるものと思っています。事実、私はほとんど企画書を書きません。
私のビジネスの場合、せいぜい、1件あたり何十万円程度の取引だから、たいした商いでもないし、企画書作成など不要だと。
その理由は、時間、エネルギーの浪費という考え方が根底にあります。まあ、何百万円、何千万円という取引だったらそうはならないかもしれません。
先様も会議にかけて決済までに合議制だろうから、それなりの書類と何人をも説得するインパクトが欲しいだろうし。
依頼主のオリエンを受けて企画書を作成しプレゼンするのがビジネスの常道。
オリエン⇒プレゼン⇒採用・獲得⇒プレスリリース⇒活動⇒報告書⇒請求書提出へ
最近の企画書は図解テーストで見栄えがよく、刺激的な言葉が踊っているので「さもありなん」というようにだまされる節があります。私は「ダマシ」が嫌い。
最近、「強み」「強み診断」という言葉をよく散見します。ネコも杓子も「強み」という。誰が言い始めたのか知らないが、私には不愉快な言葉。要するに、人のマネをしているだけ。このマネが気に入らない。言葉が嫌なのではなくマネをしていることが。
最初に言い出した人はいいとしても、それをひたすらマネしていることが気に入らない。もっと人と違う言葉を使えないのかと。何が「強み」か。「強み」ではなく、「特徴」「独自性」でいいじゃないか。なぜ「強み」でなければならないのか、説明せよ。
「わかったようなことをいうな」と。本当にそうなるのと反論したい。そうならなかったら責任とってくれるのかいと。企画書はまやかしの塊だ。
特にマーケティングプランナーと称する人たちにいいたい。しょせんは先人が示した成功例の受け売りをあたかも自分の説のようにいっている。見苦しいぞ。
私の場合、企画書を書かずにどうやってクライアントを獲得するか。
まず、マスコミに情報提供する際の最終形である「プレスリリース」を提示、これを配信すると、「こんなマスコミにこんな形で報道されるでしょう」「そして、報道の結果、こんなうれしいことや楽しいことが訪れるでしょう」と説得するやり方をとっています。
まあこれはハスカ式なので本当はどうでもいい。人それぞれのプレゼンテーションがあっていいと思いますね。
ここでいいたいのは、提示するそのプレスリリースづくりは私しかできない技術だと。何の素材も情報もない、アイディアもない、ないないづくしのところから、いきなりプレスリリースを起すのですよ。もちろん企画すら通っていないのに。
3段跳び、いいえ5段越えです。0から1ではなく、10に膨らますだけの妄想力・発想力が不可欠。
放送作家が現場に行かないであたかも行ったかのような臨場感あふれる原稿を作るように。現場を知っている人しか知らないはずのリアリテイをたっぷり注入して。
そういうプレスリリースは誰でも簡単には作れまいと思っています。私ならではの特技だと。いっておきますが、この特技を習得するのに30年かかっています。
こんなことをいっては何ですが、プレスリリース作成に必要な、素材や情報・企画が完璧にそろっているのに、書けずに悩んでいるビジネスパースンが多いこと、私とは「月とスッポン」です。私はプロであり、専業なので当たり前ですが。
私のやりかた。それはメデイアと時代を動かす「アイデイア発想」づくりがまず先行し、次にそれを裏付ける事実やデータなどのマーケ・検証作業を完備した上で、企画実行後のイメージを想定しながらプレスリリースの文章に落とし込んでいきます。
作成したプレスリリースをみれば企画全体の仕組みが見えるわけです。ですから企画書は不要。企画趣旨から実施要領、結果に至るまでのストーリーをブレスリリースA4判1枚にコンパクトに表現します。
しかも、そのまま使っても報道記事になるように、記事にならない文言はすべて削除して、記事になる事実部分だけを文章化して構成します。
その方が一番シンプルで、お客様にわかりやすいのです。
大事なのは企画の入口を「アイデイア発想」だとすると、社会に公表する情報文書であるプレスリリースは「出口」にあたります。
この「入口」と「出口」を、恋が成就する赤い糸に例えますと、1本の線でつながっていなければならないことです。
「入口」部分はプランナーが書き、仕事(クライアント)をゲットした後の実行部分は別の人間が担当する、ということがあってはならない、と思っています。
言う人とやる人が一緒、同一人でなければならないと。「言行一致、同一人あるべき」というのが私の一貫した態度。大きなクライント、大きな代理店ですと、ほとんどこういうふうにはなっていません。言行不一致のところが実態です。
