放送記者に学ぶ広報1
【伝説のPR職人】のハスカです。
■結論を含むリードを先に(1/2)
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プレスリリース文を作成するには最低限これだけは必要という原則があります。それは以下のようなもので、英語の頭文字をとって「5W1H」と呼ばれています。文章を構成するための必要項目というわけですね。
When いつ (どんなときに)
Where どこで (どこに、どこへ、どこから)
Who だれが (どんな人が)
What なにを (どんなことを、どんなものを)
Why なぜ (どうして、なんのために)
How どのように (どんなふうに、どうやって)
6つの要素をもれなく書くことがプレスリリース作成の基本ですが、その際、5W1Hの順序は決まっておりませんのでどこから書き始めてもよく、自由に書いて構いません。
ビジネス文章では、「起・承・転・結」や「序論・本論・結論」などといって結論を最後に書くことが多いのですが、プレスリリースは新聞記事と同じように、まず、リードという形で先に「結論」を短く書き、そのあとに詳しい内容を書くというやり方をとります。
リードとは新聞と放送とは若干見せかた、聞かせ方が違うのですが、基本は同じです。すなわち、リードとは、ニュースを詳しく説明する前に、どのようなニュースを伝えようとしているかを短くまとめたものになります。
例えば、放送ですと、アナウンサーが、「きょう午後、どこどこで、これこれの事件がありました」と、まず最初に読み、続けて、「事件があったのは、どこどこのどこどこで、きょう午後○○時頃……」と詳しく内容が続きます。
この、最初の「きょう午後、どこどこで、これこれの事件がありました」というのがリードに相当します。新聞では、大きいニュースの場合、見出しのあとにリードが書かれています。
もっとも、元読売新聞記者でジャーナリストの故黒田清さんにいわせると、 「WとかHと かはニュースの構成要件であって、文章の構成要件ではない。新聞文章の本質はそんなところにあるのではない。それは何かと言えば、その文章にどれほど感情が移入されているか、どのくらい読者に訴える力を持っているかである」。
さらに、「この事実を伝えたいんだ」という記者の感情移入が大切で、「読者に訴える力(訴求力)=5W+1H+感情(情熱)」だと定義づけている。(黒田清著、体験的取材学より)
このようにプレスリリースであっても大切なことは報道記事と同じように「やさしくわかりやすい文章と明確な視点」が必要だ。とりわけ、5W1Hがあっても、独自な視点がなければ印象に残らないので要注意。
また、1文あたりの長さを短くすることが重要だ。共同通信では100字超を目安としているが、日本経済新聞では「1つの文章は長くても60字程度とし (12字詰め)10行程度で改行する」と、より短い文を奨励している。
■放送原稿は聞きやすい文章が命(2/2)
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小学生の時、同級生だった元NHK報道主幹の内村正教さん(現、NHK放送研修センター理事)によると、5W1Hの基本姿勢は変わらないが、放送原稿の書き方は新聞と違い、「聞きやすい文章作成を意識する」ことが最も重要なことといいます。
内村さんによると、まず、ニュース取材の基本は、「情報を取ること=取材力」と「分かりやすく伝える力=表現力」といい、電波メディアの場合、「原稿 (コメント)」「映像」「実音」がテレビニュースの三要素となる。ラジオは「原稿」と「音声」のみが必要で、「映像」は入らない。
そして、新聞原稿との大きな違いは、
[1]アナウンサーが読む。話しことばが基本(・・です。・・ます。調)
[2]聞いてわかること。
[3]視聴者は、読み直しができない。一度聞けば理解できる文章。(中学生やお年寄
りにもわかるように)難解語、カタカナ用語、長い修飾語は避ける。
[4]時間との勝負。放送時間に間に合わせる。24時間いつでも放送できる。
大事件・大事故・地震など災害の場合、「一報」がニュース。
-とし、最も大事なのは「一度聞けば理解できる文章」づくりだといいます。
私達はメディア側に情報提供する企業広報側ではあるけれど、テレビ報道に携わる現場の放送記者の発想や取材の仕方、原稿づくりなどは参考にすべき点が多いと思います。
とりわけ、放送原稿づくりにおいて、「リード+本記+雑感+談話+関連」なる法則があるといいます。
これらの流れは「リードは本気、雑談したら予科練だ」と覚えるとよい。
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ハスカ式だじゃれですが、どんな覚え方でも結構です。私の方の意味はリード (野球の1塁走者でリードをとる)はいつも本気(本記)。雑談(雑感+談話)などしていたら即刻アウトになり、予科練(関連)行きだ、というストーリーです。
▽リード:新聞の前文に相当するもので、見出しが取れる内容。
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そのニュースの意味、特徴を簡潔に表現。出来れば、ワンセンテンスで書く。リードを見ただけでニュースの内容と重要さがわかる。
例「今日午後、静岡県浜松市内の東名高速道路でバスとトラックが衝突して、多数のけが人が出ています。」
一報「先ほど、関東地方で、かなり大きな地震がありました。」
二報「午後2時5分ごろ、関東地方でかなり大きな地震がありました。この地震による津波の心配はありません。」
▽本記:5W1H 重要なことから先に書く。クレジット(出典)を入れる。
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例 「静岡県警察本部に入った連絡によりますと、今日午前10時過ぎ、静岡県浜松市○○町の東名高速道路で・・・する事故がありました。この事故で、観光バスに乗っていた小学生およそ○人がけがをして、浜松市内の△△病院に搬送され手当てを受けています。」など取材した事実を積み重ねて5W1Hを書く。
▽雑感:雑観。現場の様子、雰囲気。
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本記を補完するとともに現場の臨場感や人々の表情などを書く。記者の腕の見せ所。現場中継、リポートの主題になる。
「事故現場は、○○インターチェンジから500メートルほどの下り線 バスの右後方部分に大型トラックが衝突、バスの中は、ガラスの破片が飛び散り、座席がなぎ倒されて小学生のバッグなどが散乱・・・。」 現場に行った記者が見たままを書く。リポートで話す内容。お天気原稿や話題では、雑観がニュースの中心になる。花見客の様子、お祭りの観客の表情など
▽談話:当事者、関係者、目撃者の生の声、「直接話法」で伝える。
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カメラマンがいれば、当然、インタビューで事故当時の本人でなければわからない話を聞く。引率の○○さんは、「東京での修学旅行から帰る途中で、突然後ろのほうで大きな音がした。子供たちが、車内になぎ倒されてけがをしていた。とても怖かった。・・・」
▽関連:学校の話、バス会社の話、けが人が収容された病院の話など。
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最近起きた東名での同じような事故。
~この続きは次回(放送記者の原稿に学ぶ2)に~
