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なぜ「PRファースト」なのか

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【伝説のPR職人】のハスカです。


「PRファースト」主義という考え方があります。そのお話を。


■不況でも広告重視のニッポン(1/2)
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どんなにPR活動に熱心な企業でも日本の場合、広告宣伝費と比べると少なく その比率は20(PR):80(広告)程度だろうと思われます。上場会社でさえこうなのですから、中小企業なんて押して知るべし。

つまり、年間1億円の予算があったとしても、その80%の8000万円は広告宣伝費に消え、PR広報費はせいぜい20%の2000万円程度。それでも今の時代、PRに年間2000万円も投入するところはPRに理解があるところといっていいでしょう。

2000万円といっても各種ツール費やイベント費などの実費を差し引くと、純然たるPRプランニングは年間1000万円にも満たない。これにPRパースンの人件費や一般管理費を除けばレティナフィー(基本契約料)といっても手元にはいくらも残らない勘定になります。

さて、つまらない銭勘定の話はさておいて、今回はPRと広告のうち、どちらを優先させなければならないかという話です。一流企業は、不況になっても相変わらず「広告費」を優先しています。これが現実。出稿は減らしたといってもかなりの予算を占めているのはテレビのCM費。

いまさらPRと広告の違いなどを話すつもりはありませんが、まだまだ日本は遅れており、PRのすばらしさを理解していた企業があったとしてもせいぜい宣伝予算の20%で、主流は「広告」コミュニケーションなんですね。

いわゆる広報室という部門はマスコミ記者の飲食接待費ぐらいで、ほとんど予算らしきものはついていませんね。ですから我々がプレゼンにいくとしても広報部門ではなく、予算と権限をもっている営業部門やマーケティング部門であったりします。悲しいかな、広報費はあくまで営業サポートになんですね。

「広報は営業サポート」という考えですと、広報=販売促進になっていきますので、われわれ広報人としては納得がいきません。営業サポートもするときもあるけど、本質はそうではない。広い意味で「広報=経営戦略」という捉え方が正しいのだと思います。

「広報は経営戦略である」という前提に立つと、PRが広告より先行するのは当然のことでありますし、PRが「経営全体」に係わり、広告はその運営展開の一部の手法と捉えています。別な言葉で私流に言い換えますと、PRは戦略(プランニング)であり、広告はショッピング(媒体を買うの意)であると。

■世論合意形成にはPRが最適(2/2)
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「広報は経営戦略」そのものですから当然PRファーストになってきます。PRの役割が広告のための「空気づくり」(世論合意形成)ともいわれていますが、そんな低次元な理由で説明するまでもなく、基本的にPRは広告のようにストレートに商品説明を歌えませんよね。そもそも新聞は商品PRのために存在していないのですから当然といえばと当然です。

まずは買いたくなったり、行きたくなったりするような情報環境を新聞メディアで作っていく必要がありますね。PRファーストとはこのこと。PRが広告より先行する理由です。

情報の受容環境をつくる。これを解決するのは広告メッセージではできません。広告にはスペースという範囲・限界がありますので、そこに多くの情報を盛りこむということは物理的にできません。

潤沢な広告予算があり伝達実現できたとしても、読者はそれをそのまま100%信用したり受け入れたりしていません。広告だから値引いてみているわけです。広告でいくら自分が「言いたいこと」「伝えたいこと」を叫んで、広告という情報の枠組みでは、多くの人は話半分に聞き流しているのが実態です。

PRはその特性から、商品の背景にある消費者ニーズや社会動向などについて包括的な話を提起するのに向いています。

PRファーストについて、「PRが先、刈り取りは後」と例える人もいますが、言っていることは同じでも、ちよっとえげつないですね。刈り取ることが前提ではないのですから。

報道記事をみて人がモノを買ったりするのは知らず知らずのうちに「感動体験」をしていることと同じ。だから「感動体験を売りなさい」という経営コンサルタントの言葉が一時流行ましたね。だとすると、報道記事で「感動体験」をイメージし、その掲載商品や掲載店舗の流通段階で確認することになります。

報道記事→安心・信用→イメージ体験で合意→実際の商品や店舗で確認→感動体験の検証・納得→お金を出して購入・・・という一連の流れになる時、一番重要な役割をもつのは、新聞での「情報の受容環境をつくる」ことです。すべてはここが出発点。これがPRファーストといわれる所以です。

ひところ流行った本に「経験経済 エクスペリエンス・エコノミー」(流通科学大学出版)
http://tinyurl.com/l8vjp5 というのがありました。

顧客の価値観の多様化に合わせて企業が商品・サービスを多様化するだけではダメで、いつしか「コモディティ」化して他企業との差別化が困難となり、価格競争に巻き込まれていく。これからは顧客には忘れがたい経験をさせて感動を与えなければならない時代だ。サービス経済の一段上にある「経験経済」という新しい概念を導入して話題を呼んだ本だった。

私にとって新聞などのメデイアはいわばその「感動体験」を共有する舞台装置のようなもの。プレスリリースなどの情報提供は、小さなテーマパークを創造していくのと近い。掲載記事をみて、読者は、「ほっとする」「すごい」「面白」「うきうきする」「楽しそうだ」などをイメージ共有し、その「感動体験」をひきずきながら、現場に商品確認に走るのです。

そういうふうに考えてくると、商品やサービスの開発計画の段階から、どのような「感動体験」をめざすのかといったような開発コンセプトがいかに大事かというようなことが見えてきます。

当然のことながら、この会議の現場に広報担当がいなければなりません。広報担当こそ、開発の現場にいなければならず、後々のメディア戦略を立案する設計者として、「PRファースト」の実行責任者として立ち会ってください。