「行動規範」は企業の憲法
【伝説のPR職人】のハスカです。
■クレドの源流をなす行動規範(1/2)
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単体から連結対象の企業グループ全体を公表する連結決算時代になり、すでに多くの企業で共有認識となった「行動規範」。危機管理も含め透明性を推進する意味でも企業の行動規範の重要性は増してきています。
日本企業は行動規範を制定するにあたって、追いつけ追い越せ精神で欧米系の
グローバル企業のそれを参考にしてきましたが、トップを含め全社的な推進を必要とすることから企業風土との関係が深いのは否めません。
時代に対応した企業倫理・行動規範とはどんなものなのか。データは少し古いですけれど公開されている主要企業の「行動基準」を紐解いてみました。
これらは企業が判断や行動を起こす際の拠り所であり、いわば企業の憲法ともいうべきものです。広報パースンもいつもここに照準をあわせて戦略を立てなければならない。
接客サービス業などの業界において、近年ブームになっている「クレド」などはこれらの「行動憲章」が源流になっていると思われます。
「クレド」とは企業理念を簡潔に記したもの。高級ホテルチェーンの米ザ・リッツ・カールトンや医療品大手の米ジョンソン・エンド・ジョンソンの社員が携帯するクレドカードは有名。日本ではザ・リッツ・カールトン・ホテルなど。
まずは産業界の頂点に君臨する経団連の「企業行動憲章」(1996年策定)。
(経団連:http://www.keidanren.or.jp/
)
[01]社会的に有用な財、サービスを安全性に十分配慮して開発、提供する。
[02]公正、透明、自由な競争を行う。また、政治、行政との健全かつ正常な関係を保
つ。
[03]株主はもとより、広く社会とのコミュニケーションを行い、企業情報を積極的かつ
公正に開示する。
[04]環境問題への取り組みは企業の存在と活動に必須の条件であることを認識し、
自主的、積極的に行動する。
[05]「良き企業市民」として、積極的に社会貢献活動を行う。
[06]従業員のゆとりと豊かさを実現し、安全で働きやすい環境を確保するとともに、
従業員の人格、個性を尊重する。
[07]市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力および団体とは断固と
して対決する。
[08]海外においては、その文化や習慣を尊重し、現地の発展に貢献する経営を行
う。
[09]経営トップは、本憲章の精神の実現が自らの役割であることを認識し、率先垂
範の上、関係者への周知徹底と社内体制の整備を行うとともに、倫理観の涵養
に努める。
[10]本憲章に反するような事態が発生したときには、経営トップ自らが解決にあた
り、原因究明、再発防止と努めると同時に、社会への迅速・的確な情報公開を行
うとともに、権限と責任を明確にした上で、自らを含めて厳正な処分を行
う。
■パナソニックとミズノの場合(2/2)
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パナソニック( 旧社名:松下電器、http://panasonic.co.jp/
)は1998年に「行動基準」を改定した。
[01]公正な行動
私たちは常に法令はもちろん、ビジネススクールとも言うべき企業倫理を順守して、業務を遂行します。国の内外を問わず、業務のあらゆる場面で法令と企業倫理を順守することは、会社が社会を構成する一員である以上会社存立の大前提であるとともに、経営の根幹です。法令と企業倫理の順守を通じて、社会から信頼される存在であり続けるよう努めます。
[02]企業倫理の順守
私たちは、常に順法精神と確固たる倫理観をもって、誠実に事業活動を行います。特に、反社会的勢力、団体に対しては、毅然とした態度で対応します。
[03]関係法令の社内徹底
私たちは、平素から事業活動に必要な国内外の関係法令などに関する情報を積極的に収集し、その理解を深めるよう努めます。また、法令やその精神の順守をより確実なものにするため、社内規定の制定に努めるほか、教育研修など、あらゆる機会を活用して、社内への徹底を図ります。
[04]法令違反の早期是正と厳正対処
私たちは、業務遂行にあたってもその活動が法令や企業倫理に違反する疑いがある場合には、その旨を上司あるいは法務部門など適切な関係部門に報告します。また、法令違反の行為が生じた場合には、速やかにその違反状態を是正し、再発防止を図ると共に、違反行為に対して厳正に対処しま す。
次にスポーツ用品大手のミズノ( http://www.mizuno.co.jp/
)。同社は1992年に「倫理規範」を制定。これには2つの事件が背景にある。一つは84年の千葉県松戸市の男子寮の寮生の「キセル乗車」事件。もう一つは、92年に発生した「株の損失補填」事件。
前者は社会人教育、道徳教育が問われ、後者は経営の問題として社会的非難を浴びました。ミズノは猛省、これらの事件を機に倫理規範の策定に踏み切りました。
[ミズノの倫理規範]
[01]わが社の経営理念は「より楽しいスポーツライフとスポーツの振興を通じて社会
に貢献する」ことである。
[02]企業は元来、利潤を得て株主等の付託に応えることはもとより、わが国経済・社
会・スポーツ・文化等の発展、ひいては国際社会の発展にも積極的に貢献すべ
きである。
[03]利潤は社会的規範、倫理に基づいた行動により得られるものであることを確認
する。
[04]企業行動を律するために、経営者および社員には、高い倫理観と厳しい自己規
制が要求される。また社員教育を徹底し、企業の構成員全員がアンフェアな行
為を許さない風土をつくらねばならない。
[05]自然保護など地球的規模における環境保全へ配慮する責任がある。
[06]政治・経済が国民全体に奉仕すべきものであることを認識し、いやしくも自社の
利益を目的とした不透明な行動は、厳に戒めるべである。
[07]行政に対しては、自由主義社会における企業として、諸規制の緩和、撤廃を求
めると同時に、企業自らも厳しい自己規制、自助努力が必要である。
[08]この倫理観を正しく協力に推進するために、弛まざる改革・改善を進め、企業全
体を強化しなければならない。
最後に、これらの「倫理規範」策定の前提となった「ミズノ十則」を紹介しましょう。
この「十則」は明治から大正期の同社創業時にできたもので、6番目や7番目は今日ではとうてい通用しないものですが、それ以外の項目はミズノのビジネスの基本姿勢として受け継がれています。
[ミズノ十則]
[01]贈物、饗応は受けつけない。もらったら会社に届けること。
[02]社員間の贈物はしない。
[03]酒席接待で販売する方法はとらない。
[04]社員間の自宅訪問は禁止。引越し手伝いはその他やむを得ない場合は会社に
届けること。
[05]休日以外はゴルフの禁止。
[06]飲酒者の自動車購入禁止。
[07]飲酒者が車を購入する場合は専用の運転手を雇い入れること。
[08]他社、他人の保証はしない。
[09]会社出入業者から買入れたり建築したりするときは会社に届け出ること。
[10]社員間の新任、送別会等を、会社以外は禁止のこと。
ご紹介したのは大企業でしたが、中小企業でも考え方は同じ。順法精神にのっとり、反社会的勢力とは毅然とした態度で臨む。
私個人的には、広報カテゴリーでいうところの、クライシスマネジメント(危機管理)やコンプライアンス(法令順守)、ディスクロージャー(情報開示)などといったテーマはあまり関心がありません。
当たり前すぎて特筆に値しないからです。しかし、誰かがどこかで歌わなければなりませんのでこ紹介しました。広報パースンにとっては常識ですね。(了)