【言葉】戦略PRはおかしい日本語 | PRアイディア直売所 ~作って売るから安い~

【言葉】戦略PRはおかしい日本語

■戦略PRはおかしい日本語(1/2)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
PR広報はマーケテイングのカテゴリーに入りますが、どこまでいってもセールスプロモーションではない、と思っています。PRはPR、セールスプロモーションはセールスプロモーションなのであって、両者が接近することはあっても本質的には異分野なのです。それぞれの専門家がいるように。

ところが、世間はどうです。近年、「売上に結びつくPRを」とか「集客・販促に効果の高い広報を」という言葉がネットで飛び交っていますね。背景に世界的不況があり、目先の課題に売上確保があったからなのでしょうが、PR広報を販売促進のツールにしているのはなんとも痛々しかった。

あげくのはては「戦略PR」という言葉まで登場。どうやらこれはメディアミックスや時代の空気を読んでメディアに仕掛けることを指しているようです。

私にいわせればもともとPRというのは米国では世論操作術といわれるぐらい戦略そのものであり、PRの前に戦略という言葉をつければ強調と明確な方向性を表現したかのようにみえますが、国語的には同じ意味をかぶせることになりナンセンスな語句になっているのではと思っています。

戦略とは米国が開発した戦争に勝つための軍事用語で、戦闘部隊が戦場で優位に立てるようにするための巨視的な策略のことをいい、これに対応して戦術は戦闘において勝利を得るために部隊を運用する術のことをいう。

PRアイディア直売所 ~作って売るから安い~-軍事学入門 PRアイディア直売所 ~作って売るから安い~-戦略力を高める

日本では戦後に企業の経営戦略、国家の経済戦略や外交戦略のように政策と同義語として使用されることも多く、また戦略的という形容詞も誕生した。

「貴君は現在どんな仕事をしていますか」「はい、昔は宣伝などの販促でしたが、今はPR広報をやっています」「戦略の仕事ですね、難しいけれどやりがいのある仕事をしていますね」

この会話に象徴されるように、PR広報は一言でいって戦略の仕事なのです。販売促進ではない。もっと経営の中枢にかかわるような重要な任務だと。

戦略PRといっている人たちにいいたい。これまでのPRって戦略的ではなかったのでしょうか。だとしたらそれはPRとはいわないのです。PRの本質的意味をわかっていないと思います。

そもそもPRとは大衆動員計画なのですから、社会を変容させるほどの大きなプランに戦略的要素がないはずがありません。いつの時代でもいいPRは社会を変えてきました。ただムーブメントを起こした裏の事情を意図的に語らなかっただけです。

最近になって、PRの王道を歩いてこなかった人たちが誤った解釈をして、PR=セールスプロモーション=無料広告というように位置づけ、表舞台で唱え始めてきたから始末に悪いのです。

モノやサービスが売れない不況のこの時代だからこそ、よけい地味に正直を重ねて信用を勝ち取っていくことがPR広報の本質だと思っています。それは単純に頭を下げて低姿勢で顧客に向き合えばいいという意味ではありません。

顧客はもちろんですが、広く社会全体にも愛されないと生き残れませんよということです。大事なのは人間の集合体としての社会。そうした評判獲得、好感度向上、これこそがPR広報が社会に果たす真の領域と思っています。

広告でいくら「(環境など)社会と仲良くしました宣言」をしても誰も額面とおりには受け取ってくれない時代となりました。広告はお金さえあれば誰でもできますが、評判や信用は大衆・社会が評価するもの。

インターネットは比較的早く想定顧客を集められるとあって重宝されているようですが、そもそもそういうふうに考える思想が大まちがい。信用という目にみえない価値は、楽をしながら効率的には獲得できないものと思っています。

■好評人信信(2/2)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
社会からの「好感獲得=グッドウイル」など、広報活動の目的を、私は好評人信信[こうひようびとしんしん]と呼んでいます。

好----好意 Good will(グッドウイル)
評----評判 Reputation(レビテーション)
人----人気 Popularity(ポピュラリティ)
信----信用 Confidence(コンフィデンス)
信----信頼 Trust(トラスト)

広報とは、社会から「好意」「評判」「人気」「信用」「信頼」を獲得していく継続的なコミュニケーション活動であると定義したい。

これらの[好評人信信]を解決するためのプロモーション活動の目的は製品数量や売上金額などの「量」ではなくて、人間の心に帰着するところの情緒などの「質」の問題であることにたどりつきます。

つまり企業には良い製品やサービスを多く販売・提供し、社会の役に立ちたいという自己実現欲求があるわけですが、その達成の過程で、その商品サービスの販売提供を通して、社会に認められたい、褒められたい、尊敬されたい、といった心理的欲求に変わっていくというわけです。

そういう観点に立つと、自己実現欲求と承認欲求は表裏一体であります。自己実現心理学のアブラハム・マズロー博士は欲求の階層論という仮説を提唱していましたね。欲求というものは満たされると次第に上位の質の異なった欲求を求めてくるという説です。いわゆる欲求理論です。

[1]生理的欲求
[2]安全と安定の欲求
[3]所属と愛の欲求
[4]承認欲求
[5]自己実現の欲求

[5]の自己実現の欲求にたどり着くために、承認欲求は[4]の高位に位置しています。このように考えると、企業広報としては

[1]企業は自己実現欲求を明確にする必要がある
[2]そのために好感を獲得しなければならない
[3]好感は具体的にいうと「好評人信信」のこと
[4]「好評人信信」はつまるところ、情緒などの心の問題
[5]承認欲求なしには自己実現は達成されない
[6]自己実現欲求の達成

の6段階にわけることができ、[6]の自己実現欲求に到達するには、[5]の承認欲求が表裏一体になっていることがわかります。

広報は目に見えにくい信用や評判を獲得する質的コミュニケーションであるのに、よく報道記事などを広告料金に換算して広報効果を提示するやり方を見受けるが、私などはこれに異を唱える一人であります。質と量を同じ土俵で数量化するなと。

まずは企業が社会に果たすべき企業理念があり、それ具体的に共感と行動であらわす各種コミュニケーションサービスを実現することこそが評判づくりの原点であり、広報の本質だと思っています。


PRアイディア直売所 ~作って売るから安い~-伝説のPR職人の落款スタンプ横太