飲食店のプレスリリースの書き方


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【伝説のPR職人】のハスカです。
きょうは飲食店のリリースの書き方をまとめてみました。
■王道はないけれど(1/2)
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かねてより、本ブログ読者の複数の方から「飲食店に特化したプレスリリースの書き方というものがあったら教えて欲しい」というのがあり、いつかは回答を差し上げなくてはと思っていました。
リリース道を探求する自称プレスリリースの達人としては正しい回答? になっていないかもしれませんが、これまでの私なりの考え方をまとめてみます。
基本的には、「飲食店のリリースは(他の一般企業と違って)かくあるべし」という王道はないと思います。
よくいわれる「6W1H」(Who+Whom+What+When+Where+Why+How)を念頭において必要な事柄を記載していけば文章そのものはすぐ出来上がると思います。
とりわけ「なぜ今なのか」を入れ込んで書くと編集者の気持ちがぐらっと揺らぐと思います。「今」部分の情報については、どちらかというと新聞の方が必要で、雑誌は特集主義で構成されますので「文字よリもきれいに魅せるビジュアル系」の訴え方がいい場合があります。つまり文字で多くを語らず写真で見せるリリースを作成するという意味です。
一番大事なことは飲食店の最大の売りである「味」はなかなか伝わりにくいということです。池波正太郎ばりの名随筆家ならともかく、どんなにおいしい料理であるかということを素人がリリースに歌うのは難しいことです。そういう意味で「写真」などのビジュアルツールが果たす役割は大きいのかなと。
仮に「いい(広報)写真」を複数枚用意して多数メディアに提供したとすると費用がかさむのではとないかと心配されるならA4判1枚に20カットぐらいの写真を印刷(カラーコピーで十分)しておき、それを封書で同封すればいいでしょう。
その際、お好きな写真の番号をおっしやっていただければすぐにお送りさせていただきますと注釈をつけておき、媒体からの送付要請に基づき必要枚数をお送りするわけです。あるいは「料理・店舗」の画像はWebにありますのでご参照くださいとリリースにURLを記載、Webに誘導し、Webからは画像をダウンロードしていただく方法です。
しかし、そんな小手先より一番大事なことは「経営者」「料理人」の食に対する考え方、生きざま、スピリッツを丁寧に綴った方が編集者の好感度を勝ち取ることができるでしょう。別の言葉で言い換えると「愛情」であり「心」ですね。難しいマーケティング風のコンセプトなど不要。その人自身の心から湧き上がってくる言葉が欲しいです。それが結局料理や店舗、経営哲学に反映されるわけですからね。
■ラブレターのように愛を込めて(2/2)
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元毎日新聞社会部記者の岡田光司さん(在大阪)はきちんとしたプレスリリースより、飲食店経営者の奥さんの「投稿」による泣かせるテースト文面をお薦めしています。
例えば、「夫婦二人でお店をやっております。夫は様々な中華料理店で修業後、やっと独立し、自前の店を持つことができました。(中略)そんな私たちですが、どうかご取材をご検討いただけますよう付してお願い申し上げます」みたいな内容だと親しみと取材意欲が湧くというのです。これは新聞という性格と社会部記者だったからなのでしょう。
ところが、雑誌はこんな「お涙頂戴」的投稿では必ずしも編集者の心は動きません。「特集主義」という雑誌の特性を知った上でリリースする必要があります。
例えば、飲食店記事として影響力のあるHanakoにしろ東京ウォーカーにしろ、取材対象店は原則として「オープンまもない店」にしています。つまりニユース性、新規性ですね。
それと、上述した「特集主義」「企画主義」が雑誌媒体の最大の特徴ですからそれらのテーマに合っているかどうかですね。それは「沿線特集」「お花見特集」「和テーストの洋食店」だったりするわけですが、これらのカテゴリーやテーマに合致していなければ取材候補店から落ちることになります。
雑誌の場合、2ヶ月先行取材で「編集企画」をすすめているケースが多いのでリリースを提供する側としてはなかなかその「企画テーマ」をつかめませんが「決まり枠」のコーナーはある程度把握できます。
どの頁に何というコーナー・誌面があって、自分の店はここなら当てはまりそうだとか、そういうことはリリースする前にチエックしておく必要があります。これは飲食店リリースの場合、最低限のマナーです。つまり、媒体と該当コーナー名の2つは必須です。本当は媒体によってリリースも書き分けるぐらいの情熱と工夫が欲しいもの。
飲食店プレスリリースについて、Hanako( http://www.hanako-net.com/ )元副編集長の池田美樹さんから以下の10項目のアドバイスをいただました。
タイトルが重要→読むのではなく「見て」いるから
結論→詳細の順序で書いて
長文にせず、できるだけ簡潔・客観的に
誰のフィルターも通っていない純粋な「情報」を記載
感覚的な形容詞や美辞麗句だけの文章はダメ
空間・接客に対応した情報を記載
担当者は性別がわかるようにフルネームで
本誌のどこのコーナーで取り上げて欲しいのかを明記
写真はカラーを郵送
手書きのハガキや自宅プリンターで出力した手作りのメニュー など「愛情のこも
った」情報は好感が持てます
また、元日経レストラン編集長の菅原雅信さんも、どんな料理、どんなお店かよりも、どんな「サービス」をしてくれるかに重点を置いて取材しているといいます。具体的には、夫婦でやっている店で、奥さんがフロアにいて気持ちのいいサービスをしてくれる店などです。
このように指南している私も果たして池田さんの10項目や菅原さんのサービス面についての文言がリリースが触れられているかはなはだ疑問ですが、これまでに手がけた飲食店プレスリリース事例を開示しておきます。
[飲食店スリリース例]
●茶喰楽→ http://s-pr.com/room/chakula.doc (お店紹介)
●花ふぶき→ http://s-pr.com/room/hanafubuki.doc (お店紹介)
●ティフィン→ http://s-pr.com/room/tiffin-event.doc (イベント)
●こぶし→ http://s-pr.com/room/ramen-event.doc (イベント)
プレスリリースの発表にあたっては「外食産業記者会」というのもありますのでご利用になるのもひとつの方法です。主に業界誌、専門誌の媒体と記者が会員になっていますが、外食産業の団体等に加盟していないお店でも十分取り上げていただけるでしょう。無料です。外食産業記者会 → http://www.g-kishakai.net
飲食店の場合は、店長やマネージャー制度を採用している法人企業もありますが、個人オーナーが経営されて直接プレスリリースを出されるとという場合もあると思います。
そこで、大事なことは「ラブレターのようにを愛を込めて必死になってプレスリリースを書くこと」だと思います。ひとめ惚れした時のような新鮮な思いをプレスリリースというより編集者へ託すお手紙、というよりその向こうにいる読者をイメージして「どうぞ一度きていただけませんか」とやさしく語りかけることだと思います。
[反響がありました]
外食産業記者会の者です。ブログを早速、拝見いたしました。
弊記者会の事をPRいただき、嬉しいです。ありがとうございます!!
よろしければ、ご都合がよろしい時に記者会室にいらしてくださいませ。
浜松町の世界貿易センタービルのナナメ前のビルです。
(※社団法人日本フードサービス協会のお隣の部屋です)
地図:http://www.g-kishakai.net/guide.html
因みに、私がいままでいただいたリリース資料で驚いたのは、ある新店オープンのお知らせで、封筒一面に料理長のお顔のアップが印刷されていたリリースです。「正解」かどうかは別として、インパクト大でした(笑)

