4 14 詩集 返答詩集 日記詩集  おまけトーク(体調不良ショック) | 私にとって詩を描くことは祈ることと同じ。それを私は希望と呼ぶ。

私にとって詩を描くことは祈ることと同じ。それを私は希望と呼ぶ。

それは闇の中に見出した光
苦しみに絶望し 痛みに涙して
その零れた雫が奏で 咲いた花のような光
それは絶望に対する楔 そして世界への賛歌
言葉は連なり詩となり 詩は列なれば物語となる


    5

もう陽が沈んでしまう
頭上の雲はどこかへ行ってしまった

なんてこの世界は儚いのだろう
彼女はもう一度空を見上げる

考えるほど 自分が特殊で異質なように思えて
生きていく場所を見失いそうになる

考えを振り払うように早足になった
気づけば店の前まで来ていた
切り換えるように深呼吸して扉を開ける

柔らかく挨拶をする店主に
彼女も自然と笑顔がこぼれた

彼女は包みを解く
先ほど空を写し取った絵だった

歓声を上げて
店主はまじまじと眺めて
目を細めた

彼女は聞きたくて仕方がない
その瞳は何を見たのかと
答えられる人はいないというのに

微笑む店主の隣で彼女は唇を噛んでいた

本当は嬉しいはずなのに
どうして虚しくなってしまうのだろう

触れられない 届かない
果てしなく立ちはだかる壁のよう

それでも彼女は幸せに思う
この瞬間だけだとしても 微笑みと眼差しが
自分の手がけた作品に向けられていることに

自分の作品を喜んでくれる誰かの存在は
果てしない孤独の中で
確かに出会えた温もりには違いないのだから


「薄れゆく景色 消えない場所」


薄れゆく景色は
旅するうちに地平の彼方へと色褪せて
消えていく夢のようで

本当にあったのだろうか
分からなくなる

花のように揺れて
風のようにそよぎ
光のように降り注いで

旅するうちに抱えて
拾い上げたものと取り替えて
持っていたものを手放して
どこへ行こうとして
旅をしてきたのだろう

求めるものは遠ざかり
流れ星のように消えてしまった気がする

草原に大の字になって目を閉じる

星の美しさ 風の優しさ
草の柔らかさ 光の微笑み

目を閉じて聞こえた歌声のような
微かな想い出

心が唯一 還る場所
いつまでも変わらずにあり続ける 見えない場所


「旅」


街角で見かけた旅人は
言の葉を描いて 想いをすくい取る詩人

海のように広大な心の 波一つ一つに耳を傾け
研ぎ澄ませて筆を取り 心の風景を垣間見て文字に託す

二度と同じ想いによって語られることのない
その瞬間を生きるために

詩人は語らずとも伝えている
誰もが詩人であると

生きるという営みは 祈りや願い 失望や諦め
恨みや嫉妬 夢や葛藤の土壌に存在する

誰もが想いを生きていながら詠っている
想いを紡いで生きている 未来へと紡ぐために

今という白紙に 必死に塗り潰してきた過去を
想いと願いをかけて 指先に託して塗りたくり

刻みつけてきた道を
心と 身体を 抱え 背負い 歩いてきたはず

生きている瞬間を知りたい 感じていたいと思いながら
自分らしくいられる場所を探して 居場所にいたいと願いながら

人は一つの自然のよう

花のような 蝶のような 鳥であり
野原を駆ける白馬か 海原を踊る鯨か
波に戯れる海豚 草原に歌う象
時には聳(そび)える山 あるがままに流れる川
雲と雲に架かる虹 舞う雲を照らす月のように

人は向かう先を教えてもらわずとも自然と知っている

そのままの姿で 心が向かうままに いられる場所を求めずにはいられない
許される場所 生きていける世界 居場所を願わずにはいられない

生きている瞬間を感じたくて
煌めきに ときめきに 触れたいと思う

胸の高鳴りに喜びを思い出す瞬間を知りたくて
人は旅に出る

旅とはどこか遠くへ行くことを
必ずしも指しはしないのだろう

生きるということは
毎日が繰り返しであろうとも
心に感じ得ることが毎日流れ移ろう
心の旅なのだから


「故郷―夢の彼方―」

    5「旗を掲げて」


命を大地に突き立てて
周囲の風に扇がれ 靡(なび)き
行方が分からなくなる 旗

旗は願っている
芯の奥底で
どんな風にも揺らがない旗でありたいと

叶わないから
自分を恥じている
生き方と 自らの存在を

生きる意味を求めて
何かに駆り立てられてしまう

不安に突き動かされて
わざわざ苦しむ方向へと進んでしまう

望んでいない運命を誘うように

行き着く先は
生きる意味の堂々巡り

風に抗うことが怖いだけ 雲のように流れに任せたい
風なんて気にしないでいられたらいいのに
海でさえ風が波を起こし 荒れては 凪いで 揺らいでいるというのに

欲が木枯らしを吹かせ 想いを募らせ
志が伸べる手を掴んで 行く先を見据え
孤独が桜月夜となるなら 桜が散る寂寥を

旗は今日もまた 風に揺れている
過去の自分と 未来への願いが鬩ぎ合う場所で
芯は大地に突き刺さったまま 護り続けている
 

 

 

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おまけトーク

突然友人からカラオケに誘われてルンルンで行く。タンバリンでセッションして曲の盛り上がりと完全にリンクして最高の時間。上手く歌えるとか、そういうのとは別次元の楽しみ方が、確かにあったし、あの時間は、とても輝いていた。