トラウマ | EVERy SUNday

トラウマ

すこし、長くて暗い話になるけど、幼少時代の話を書きます。


あの頃の痛みは、きっと生涯残ると思います。





 
 
暴力。
 


あたしは長女とゆうこともあって、教育は厳しいほうだった。

 
テストは100点とって当たり前。
できて当たり前。

 
 
逆に、100点をとれなかったら、かおが変わるまでぶん殴られた。

 
 
時には素手で、
時にはビール瓶で。

 
 
父親が、
仰向けに倒れたあたしの上にまたがって、ひたすら殴った。

 
泣いても泣いても、
 
叫んでも、
 
許しを求めても、
 
小学低学年が必死のおもいで「もう死にたい」とゆっても。


 
あたしを殴る手は鼻血で顔中が血まみれになっても止まらなかった。


 
幼なながらの必死の抵抗で、裸足のまま家を飛び出したこともあった。




とにかく、
親にいちばん甘えたかっただろう当時、
親にほめられたことが一度もない。


100点は当たり前だし、
絵や習字や作文で金賞をとっても、当たり前だった。


無邪気に、ほめられることを期待しながら帰宅しても、
「当たり前でしょう?」
と、一蹴された。
 
 
 
いまおもえばいつも、心の中に満たされないなんかがあったように思う。


そして、そのおもいは増えてった。

どんどんどんどん。
増えてった。

 
 
 
 
ひとりぽっちの運動会。


他の子たちはもちろん、家族やおじいちゃんおばあちゃんなんかも見にきていた。

うちだけが、誰もこなかった。
 
 
他の子たちはみんな、家族と笑ったり、写真をとったり、お弁当をたべたりしている。
 
 
 
そんな中で、自分は孤独だって気持ちは、すごく浮きだった。



友達に、ひとりでいるのを見つかるのが嫌で、
お弁当の時間に、おなかをペコペコにさせながらトイレに隠れた。


泣きたかった。
 
子供ながらに孤独を感じて、悲しくてしかたなかった。

でも、泣くのがくやしかった。
だから必死でこらえた。


あの頃のあたしは、もしかしたらいまよりも強かったかもしれない。



かけっこが得意だったので、ぶっちぎりで一位をとっても、先生にほめられても、むなしくて泣きたくて、すこしも笑えなかったことを覚えてる。





下に兄弟がいるとそうゆうもんなのかもしれないけど、あたしは親に抱きしめられた記憶がない。


ほめられない、
甘えさせてくれない、
でも兄弟にはやさしい、
愛されてないとおもうには、充分な環境だったとおもう。



いまだからこそ、両親がげんきで恵まれてるとおもうことができるけど、

でもやっぱり未だにあたしの中で葛藤がある。


あたしの中に、その頃のあたしがいるような、そんな感覚。




兄弟のいたずらは、
ぜんぶあたしのせいにされた。


怒鳴られ、殴られ、外にしめだされた。


近所の友達に見つかるのが嫌で、車の陰に隠れたりしていた。







そんな日常を繰り返し、
つい最近、思い出したことがある。



事の始まりは、
あたしが長年に渡って、ゾンビの夢をみてきたことだった。


毎晩毎晩、無数のゾンビと戦うもんだから、朝おきるといつもグッタリだった。


「今日もゾンビと戦ったよ~」
つって、それ自体、あんま気にはしてなかった。



けど。
ある日、なんかのキッカケで、夢占いなるものをした。


一番よくみて、一番印象の強い夢。
やっぱりそれはゾンビ。


迷うことなく、ゾンビを診断してみた。



結果は、こんなもんだった。


ゾンビの夢を頻繁にみるひとは、幼少時代に、性的虐待を受けたひとが多い。



「はぁ?!」
とおもった。

そんなん、さすがに受けてないよ!
と。




なんだよ、夢占い、あてにならないなーって、
そんなことすっかり忘れてた頃だった。



その頃には、幼少時代を送っていた町を離れていたけど、仕事の都合で、なんの縁か、当時過ごした町へ数カ月いくことになった。



最初は、ただただ、懐かしんだ。

あの頃の友達はどーしてるかなーとか、
ぼんやり考えながら。

バスにゆられながら、ド田舎の景色をみていた。





そうやって、どこまでも続く草むらを眺めていると、
ふと、
フラッシュバックのように、ある記憶がよみがえった。




性的虐待を、
あたしは受けている。




当時の光景が、色褪せながらも、あたまに一気に押し寄せた。





ある日、友達とあそんでいたとき。

場所は草むらだった。


なにをしていたかは、おもいだせないし、おぼえてない。



若めの男ふたりが、あたし以外の全員を、すごい剣幕で追い払った。


泣きながら逃げる子もいた。


あたしもこわかった。
すごくこわかった。
震えていたような気もする。



でも、そんなのお構いなしに、男に捕まる。


草むらに押し倒され、
服をぬがされる。


不思議と、その行為自体はこわくはなかった。

どちらかとゆうと、あたまがカラッポになったような感じだった。

きっと、なにが起こってるのか把握できてなかったんだとおもう。


それと同時に、
逆らっちゃだめだ、とおもった。


「痛い?」
とゆう男のことばに、
なんとか
「痛くない」
と答えた。






それから、どうやって家にかえったのかは、おもいだせない。


けど、
家についてから。

お母さんは、あたしの友達の家にいたので、あたしもその友達の家に行った。



かえってきたあたしは、服がドロドロだった。

草むらに押し倒されてたんだから、無理もない。


けど、事情もきかずにお母さんは、ドロドロのあたしを怒鳴った。


事情を聞かれたところでゆえなかったとおもうけど。


友達の前で、友達のお母さんの前で、うちのお母さんは怒鳴った。


怒鳴って怒鳴って、
あたしの服をぜんぶ脱がせた。

友達の前で、
あたしは裸にされた。

裸にしてもまだ怒鳴り続けた。




ついさっき、見知らぬ男に裸にされた。
 

こわいおもいをした。
 
 
また、裸にするのか‥
 
 
 
 
このことを思い出したいま、おもうことは。


きっと、記憶からなくなるほどのショックだったんだろう、とゆうこと。

こわい思いをしたあと、更にそれをえぐられるような思いをしたんだろうな。


そういえば、
あの時もあたしは、泣きたかったけど泣かなかった。


悲しすぎて涙もでなかったのかもしれない。



きっと、人生でいちばん親に抱きしめられたかった瞬間だったとおもう。


レイプより、そのあと親にされたことが何よりも深い傷になっている。





不思議と、この記憶をおもいだしてから、ゾンビの夢はピタリとみなくなった。






そんな幼少時代。



愛情に飢えて、
信頼がなにかもわからない、
さみがりのあの頃のあたしが、
あたしの中で、いま泣いてる気がする。









あ、そういや冒頭で、生涯忘れないって書いたけど、歳とってボケたら忘れるかもね。