トランプ米大統領は,米東部時間の7日夜までにイランが交渉で合意しなければ「イランの国全体が一晩で壊滅する可能性がある。それは明日の夜かもしれない」などと警告する一方,「交渉は順調に進んでいると思う」とも話した。

トランプ氏が,SNSを通じて,「ホルムズ海峡を開けろ,さもなければ地獄を見ることになる」等々,交渉相手であるイランに対してあまりにも卑俗的な言葉を発信・発言していることに対して,国内外から猛批判が相次いでいる。

エジプトでイラン情勢を取材するカナダ人ジャーナリストは,「テヘラン在住の友人によると,テヘラン市内は今,時々爆発音が響くことを除けば,いつも通りの日常だそうだ。飲食店も商店街も通常通り営業しているとのことである。トランプ氏のイランを焦土化するような,平穏で平和に暮らす人々の生活を一瞬にして奪おうとする暴言は,とても受け入れ難く,トランプ氏はもはや常軌を逸しているように思える。エルバラダイ氏(エジプト人でノーベル平和賞受賞者)は,トランプ氏を『異常者』と指摘し,『この異常者がこの地域を火だるまにする前にみなさんができるあらゆる措置をしてほしい』と湾岸諸国に協力を訴えている。中東諸国の人々の中にも無礼で高慢なトランプ氏の対応に嫌悪感を覚える人が増えてきている。誰が今のトランプ氏を止めることができるだろうか。アメリカ国内では誰も止められる人物はいないのか。メラニア夫人には期待できないのか。トランプ氏の一方的な自画自賛,罵詈雑言の発信や発言を聴くと,彼は今心身共に問題があるようにも思える」とコメントする。

米国政界からもトランプ大統領のイラン情勢を巡る一連の発信・発言については強い批判が相次いでいる。民主党のバーニー・サンダース上院議員は,「危険で不安定な発言」と批判。クリス・マーフィー上院議員も「正常な状態ではない」とし,大統領の権限停止を規定した修正憲法25条の検討まで言及している。修正憲法25条は,大統領が職務遂行不可能と判断される場合,副大統領が権限を引き継ぐようにする条項である。しかし,これまでに実際に適用された事例はない。

一方,トランプ大統領の一連の発信・発言を受け,イランのガリバフ国会議長は5日,X(旧ツイッター)に「あなたの無謀な行動は,すべての米国の家族を生き地獄へと引きずり込んでいる。あなたが(イスラエルの)ネタニヤフ首相の命令に従うことに固執しているために中東地域全体が炎上しようとしている」と警告し,「断言しよう。戦争犯罪によって得るものは何もない。唯一の真の解決策は,イラン国民の権利を尊重し,この危険なゲームを終わらせることだ」などと投稿した。

トランプ氏が一方的に提示したタイムリミットまで残りあと十数時間だが,交渉の継続を誰もが望んでいる。