今やルアーの釣りでは一般的になったPEラインにリーダーを結束しての組み合わせ。
PEラインはナイロンやフロロカーボンより細く、しなやかで、伸びが極めて少ないため、
飛距離はアップ、巻き癖はつかないし、感度も良好。
繊細なライトゲームからオフショアの大物狙いまでPEラインは王座を獲得した。
バス釣りが一大ブームのころ(1990年代の初め)からPEラインはあったが、随分ライントラブルも多かった。
そのしなやかな素材特性からロッドガイドへの絡みつきや解除不能なバックラッシュなどである。
ナイロンラインの1本通しではほとんど起こらないようなトラブルが発生するようになった。
それを少しでも解消するためナイロンやフロロカーボンなどのリーダーの組み合わせが不可欠となった。
キス釣りなど投げ釣りでは力糸、ジギングなどではショックリーダーとも呼ばれる。
いずれもPEの弱点である結び目での強度低下を回避しようとするもの。
この結び目、いわゆるノットがなかなか奥が深い。
何年か前に計量器でノットの引っ張り強度をテストしたことがある。
ルアーのアイのリングやスナップに結んで引っ張り強度を調べたところ、
ナイロンとフロロカーボン(それぞれ4LB・0.8号~25LB・7号まで各種)で
クリンチノット、ユニノット、ループノット、フリーノットをテスト。
ラインが太くなればスッポ抜けの確率が増えるものの、
締め込み時の調整や先端部の焼き止めによりスッポ抜けは回避可能で
ナイロンとフロロカーボンのラインでは強度は85%~100%近い強度が確保できる事を確認した。
一方で、
PE(それぞれ15LB・0.6号~30LB・1.5号まで各種)で
直にクリンチノット、ユニノット、ループノット、フリーノットの場合はまるで違った。
PEのみの場合クリンチノット、ユニノット、ループノット、フリーノットでは引っ張り強度が最低で30%まで低下!
当然、締め込みや焼き止めに注意しても総じて40~45%。前後という結果となった。
要するに30LB(13.6kg)のラインが12Lb(5.4kg)まで強度が落ちてしまう。
これでいかにPEラインの直結びがダメかという事は判った。
まるほど、それでリーダーは絶対必要なのだな、と。
それではPEにリーダーを結んだら実際のところどうなのか?
上記のPEとナイロン・フロロカーボンをそれぞれ組み合わせ、各ノットで試した。
結果は
電車結び:40%前後
FGノット:40~50%
これは意外な結果だった。
確かにFGノットは電車結びよりは強度は上がっているもののどんなに頑張ってもPEの50%の強度すらなかなか達成できない。
更にこの時かつては”雷魚のカバーゲーム”という特殊な釣りで紹介されていたビミニツイストや三つ編みといったクッションの効果を期待するシステムとの組み合わせも実験した。
結果はFGノットとさほど変わらないかむしろやや強度が落ちてしまう、というものだった。
この実験以降PEラインとリーダーを結束した場合、
PEの結束部の強度は半分以下に落ちると考えた方がよさそうだ、と思った。
※注記:最近ではPEとリーダーのノットがかなり進化しておりいくつかのサイトでは100%の強度が確保できるパターンが紹介されている。