Agave Shortage Challenges Small Tequila Suppliers

テキーラの原料であるアガベは、過去に供給体制が不足と過剰の間で目まぐるしく移り変わってきました。こうしたことはアルコール飲料に使われる作物にはよくあることではありますが、近年、テキーラ需要の高まりを受けてアガベが再び不足状態に入りつつあり、小さなテキーラメーカーの中には今後の動向を案じているところもあるようです。

1990年代後半から2000年代はじめにかけて、テキーラ業界ではアガベが不足する壊滅的な状態が続きました。原料需要が増加したことに加え、病気やその他の環境的な悪要因が重なり、1997年から2000年までの短期間でアガベの数は半減したとされています。一方、アガベの価格は1997年のキロあたり1ペソから2002年には11.55ペソまで急上昇し、テキーラ関連のある業界団体では構成員である企業の30%ほどが倒産しました。

その後、2009年から2011年まではキロあたり1ペソ未満を維持しましたが、現在アガベは新たな供給不足の期間に突入しています。2012年には平均価格が2.27ペソまで再上昇し、2013年7月には4.79ペソとなりました。これについてテキーラブランドSiembra AzulのオーナーDavid Suro-Pineraは、今のところ自分達がテキーラ需要を満たせるだけの十分な量のアガベを準備できているとは考えていないと語っています。

今般のアガベ不足は以前ほど深刻なものとは予想されていませんが、一方でアガベ需要を増加させる様々な新しい要因が存在しています。一つには、アガベの価格が安かった時期にアガベ100%のプレミアムテキーラブランドが急激な勢いで新興したことが挙げられます。統計によれば、2002年にはほとんど存在していなかったスーパープレミアムテキーラも2012年までに430%増加し、200万ケースを出荷するほどになりました。

さらにアガベネクターもカクテルをつくるバーテンダー達や健康甘味料を求める消費者の関心を受けて成長している産業分野であり、需要を増す要因となっています。加えて、中国が6月にプレミアムテキーラの禁輸措置を解除したことも一層の国際的なテキーラ需要を発生させており、最初の輸出分は先月から中国で販売されています。BBCが伝えるところによれば、メキシコ政府当局者は今後5年の間に中国に1000万リットルのテキーラを輸出すると見込んでいるそうです。
こういった事態に対して、大手アガベサプライヤーの多くは前回の不足の際に教訓を得ており、自社供給体制に大規模な投資を行なうとともに、アガベの価格が安かった時に在庫を蓄積することができています。

またブラウン・フォーマン社でテキーラのグローバル販売部門の責任者を務めるAnn Stickerによれば、テキーラ・エラドゥーラでは農業リスクを避けるためにアガベの大半について自社栽培・契約栽培を行ない、外部の一般市場も利用しながら、今後7年間に見込まれる需要を予想して計画を立てるなどの周到な準備をしています。

こうした努力の結果として、大きなメーカーは製品を値上げせずにアガベ不足を乗り切ることができるはずです。しかしTres Caballos Tequilaの共同創業者であり、輸入会社GIMA Internationalの販売責任者でもあるAdriana Gonzalezは小規模メーカーの経営について次のように危惧しています。

「もしアガベの値段がこのまま上がり続け、さらに大手蒸留所が既に確保してある原料や製品を使用して低価格を維持したら、小さなブランドは退陣を余儀なくされるかもしれず、そうなればテキーラ産業は2014年には再構築を迎えるでしょう」
さらにアガベの需要増加はテキーラだけでなくメスカルにも影響を及ぼしています。技術的にはテキーラ生産者はテキーラ五州で獲れたブルーアガベだけを使用しているはずですが、Montelobos Mezcalの蒸留責任者であり、アガベ研究の博士号を持つIvan Saldana Oyarzabalによれば、実際の事情は少し違っているようです。

Ivanによると、アガベが足りない場合に農家が法的に認められた原産地以外からアガベをこっそり持ち込み、当地で育ったものと偽ることも少なくはないそうです。ハリスコ州他に密輸されるアガベの多くはメスカルの産地であるオアハカ州のものからで、これによりメスカルのメーカーは自分達の原料が不足すると頭を悩ませています。またこういった偽装はアガベ栽培者によって行なわれているため、テキーラメーカーの多くは合法的にテキーラを生産しているつもりで、この不正行為に気がついてさえいない可能性があるといいます。

AdrianaもIvanも自社ブランドはこういった混乱の嵐を乗り越えることができると確信しています。AdrianaはTres Caballosがサプライヤーと非常に良好な関係を保っており、十分な供給を受けられるだけの対策を講じていると述べています。Ivanも、自社で原料を所有している蒸留所と契約を結んでいるMontelobos Mezcalがアガベ不足に苦しめられることはないとしています。
またSiembra AzulについてDavidは、「差し迫ったアガベ不足をいかに切り抜けるかは私達のようなブランドにとって格好のテストになるだろう」とした上で、真の試練は製品価格を上げざるを得なくなった時に訪れると語っています。

TEQUILAISM~テキーラは人生を豊かにする~-プレミアムテキーラ専門店 Premium Tequila.jp


プレミアムテキーラがネットで買える!

プレミアムテキーラ専門店Premium Tequila.jp