歴史のなかのそのひとに手紙を書いて訊いてみたい…、そんな風におもうことがある。もちろん、ひとの数だけ、苦悩やその反対もあって…、あなたがあなた自身のあたまとこころでしっかり考えなさい!、恐らくそう言われるだろうとわかっていても、訊いてみたい…、そんなおもいにとらわれるのはわたしだけだろうか?

そもそも、何に悩んでいるのかがわからぬのだから、ひとの悩みなんて、まことにどうしようもない…。たとえば白洲さんは、どんなことを感じていたのだろう?にほんいちかっこいいだんなさんをもって、にほんいちあたまのいいひとと、美に精通したひとと晩年まで、交流して…。知と美の世界を堪能して…。はたから、みるとそんな風に見える。そんななかで、なにをおもい、どんな風に暮らしたのだろうか?ときおり、考えてもせんないこととしりつつ、ふとおもってしまう…。時間というやつは、いざ追いかけると、あっという間に逃げていくのに、いざこちらが腰をおろして、いざ、よしこい!と構えた途端、びくともしない大きな岩になっちまうところがある。なあんて、少しだけ、深い思索の森に迷いこみたくなるのも、木枯らしがちょっぴりいつもより冷たいせいだろうか…。