無死満塁でした。自分でも、よく切り抜けたものだとつくづくおもいます。ものすごく、緊張もしていたけど、それいじょうに、ものすごく集中もしていた。そして、なにがなんでも、抑えるんだ!、絶対に点はやるものか!、そんな、不思議なくらいにつよくてあきらめない気持ちがそこにはありました。あれは、一年生の校内球技大会。あろうことか、初戦でいきなり、優勝候補の、3年7組(私立文系、あんまりおべんきょしないクラス!だから、運動神経のいい女子が多い!のだ)。相手は、当たり前に勝てる相手と思ってる。でも、こっちはひとりだけ、おそろしく燃えているのがいて。よ~し。3年連続優勝だ!って、こころひそかにおもっている。ところが、野球でなく、ソフト。ちと勝手が違うのだ。コントロールがちっとも定まらぬ。こんなことなら、もっとうちで練習しとくんだった。さて、無死満塁。スコアは1-0。まだ、最終回ではなかったが、絶体絶命のピンチには間違いなし。おまけに、ボールが飛んできてちゃんとさばけるのは、ピッチャーとキャッチャーと、フ
ァーストだけだ。それ以外にボールが飛んだら、一巻の終わり!ほんとにほんとの絶体絶命でしょ?
あれは、ほんとにどうやって切り抜けたのだったっけ。いまもおぼえているのは、もう、いまにもこの場から逃げ去りたいとばかりに、足がこきざみに揺れていて…、からだいっぱいで、「お願い、わたしのとこだけには、ボールこないで」そう、声なき声がマウンドにいても、いつも背中で感じられてた、そんな女の子がサード。実は、根性だけはあるのだが、根性だけでは球はさばけぬ。顔はしっかり覚えているのに名前をどうしても思い出せない、そんな彼女のところにボールが飛んだ!(よくあることです。)あのワンシーンは忘れられない。「あああああ。」と、今にも泣きそうな彼女が、足をバタバタしながら、差し出した足の間のグローブに、飛んできたボールがぴったり入って、そこで止まった!「ベース踏んで!ベース!」わたしの声。わけもわからず、一歩右のベースを踏む彼女。あれで、点が入らなかったということは、恐らくそれはツーアウト後だったのだろうな。なにしろ、そんな風に、万が一にもボールを捕れても、正確な送球はできないのだから。たぶん、ピッチャ
ーゴロと、三振か、あるいは振り逃げ。スコアブックに書くなら、1-3か、2-3か、あるいは1-2。ホームアウトだったかなぁ。そうだよね。満塁なんだから。ともあれ。だれがどう想像しても、「絶対に点が入る!」そんな場面を切り抜けたのだ。思えば、そのときの、バッテリーが20年余の時を経て、奇跡的に再会して、いまでは、とっても貴重なかいご仲間!。ほんとうに、ひとの縁とは不思議なものだ。
蛇足。けっきょく、思いもかけぬ伏兵、1年8組に負けた三年生は、悔しそうというより、なんだなんだこいつら?という表情をしていたっけ。ともあれ、そのあと何試合したのか、それがどんな試合だったかは、ほとんどまったく憶えてない。決勝だけはちゃんと覚えている。試合の終わった、同級生、野球部の上級生が見に来てたのも…。あんまりコントロールが苦しいものだから、実は決勝の前の試合あたりで、バッテリーが入れ替わった。左利きのキャッチャーというわけ。これがまた、彼女の制球が実に見事!こんなことなら、最初から…って、おもったなぁ。キャッチャーの要求どおり、サインどおりにぴたり、ぴたりと来るのだから。キャッチャーはキャッチャーで、打席に立つひとのくせや、気配に耳をすませて、考えに考えて次の球を要求する(なあんて、そんなレベルの試合ではないのだけど…)。ともあれ、校内の試合にしては、確かに見ごたえ、あったとおもう。そういえば、決勝で、忘れられない一打があった。バットにボールがのっかるというのが、どういうのかがわ
かる一打。ライトの頭上を気持ちいいくらいに越えていった。あんな風に、ひっぱって、綺麗なボールを打てたのはあの一打以外に記憶にない。保育園から一緒の同級生が、終わってから褒めてくれた。「あれは、よかったなぁ~」。小学校でもいつも休み時間の野球をしていた子からの賞賛は、嬉しかった。誇らしかった。結局、二年目からは一年目の反省を生かし!、マイボールを購入。自宅で投球練習いっぱいした。三年目なんて、放課後、ファーストゴロのピッチャーベースカバー練習まで、やったもんね。そこまでして、優勝しないわけもなく…。おかげで、一年のときの、そんな燃えるようなワンシーンに遭遇することもないかわりに、でも、心に誓った“三年連続”は果たしたのだった。(理系に行くと、クラスの女子の人数が足りなくてソフトに出られないかもしれない…。それで、迷わず文系にいったのは、蛇足中の蛇足だけど…)。
ァーストだけだ。それ以外にボールが飛んだら、一巻の終わり!ほんとにほんとの絶体絶命でしょ?
あれは、ほんとにどうやって切り抜けたのだったっけ。いまもおぼえているのは、もう、いまにもこの場から逃げ去りたいとばかりに、足がこきざみに揺れていて…、からだいっぱいで、「お願い、わたしのとこだけには、ボールこないで」そう、声なき声がマウンドにいても、いつも背中で感じられてた、そんな女の子がサード。実は、根性だけはあるのだが、根性だけでは球はさばけぬ。顔はしっかり覚えているのに名前をどうしても思い出せない、そんな彼女のところにボールが飛んだ!(よくあることです。)あのワンシーンは忘れられない。「あああああ。」と、今にも泣きそうな彼女が、足をバタバタしながら、差し出した足の間のグローブに、飛んできたボールがぴったり入って、そこで止まった!「ベース踏んで!ベース!」わたしの声。わけもわからず、一歩右のベースを踏む彼女。あれで、点が入らなかったということは、恐らくそれはツーアウト後だったのだろうな。なにしろ、そんな風に、万が一にもボールを捕れても、正確な送球はできないのだから。たぶん、ピッチャ
ーゴロと、三振か、あるいは振り逃げ。スコアブックに書くなら、1-3か、2-3か、あるいは1-2。ホームアウトだったかなぁ。そうだよね。満塁なんだから。ともあれ。だれがどう想像しても、「絶対に点が入る!」そんな場面を切り抜けたのだ。思えば、そのときの、バッテリーが20年余の時を経て、奇跡的に再会して、いまでは、とっても貴重なかいご仲間!。ほんとうに、ひとの縁とは不思議なものだ。
蛇足。けっきょく、思いもかけぬ伏兵、1年8組に負けた三年生は、悔しそうというより、なんだなんだこいつら?という表情をしていたっけ。ともあれ、そのあと何試合したのか、それがどんな試合だったかは、ほとんどまったく憶えてない。決勝だけはちゃんと覚えている。試合の終わった、同級生、野球部の上級生が見に来てたのも…。あんまりコントロールが苦しいものだから、実は決勝の前の試合あたりで、バッテリーが入れ替わった。左利きのキャッチャーというわけ。これがまた、彼女の制球が実に見事!こんなことなら、最初から…って、おもったなぁ。キャッチャーの要求どおり、サインどおりにぴたり、ぴたりと来るのだから。キャッチャーはキャッチャーで、打席に立つひとのくせや、気配に耳をすませて、考えに考えて次の球を要求する(なあんて、そんなレベルの試合ではないのだけど…)。ともあれ、校内の試合にしては、確かに見ごたえ、あったとおもう。そういえば、決勝で、忘れられない一打があった。バットにボールがのっかるというのが、どういうのかがわ
かる一打。ライトの頭上を気持ちいいくらいに越えていった。あんな風に、ひっぱって、綺麗なボールを打てたのはあの一打以外に記憶にない。保育園から一緒の同級生が、終わってから褒めてくれた。「あれは、よかったなぁ~」。小学校でもいつも休み時間の野球をしていた子からの賞賛は、嬉しかった。誇らしかった。結局、二年目からは一年目の反省を生かし!、マイボールを購入。自宅で投球練習いっぱいした。三年目なんて、放課後、ファーストゴロのピッチャーベースカバー練習まで、やったもんね。そこまでして、優勝しないわけもなく…。おかげで、一年のときの、そんな燃えるようなワンシーンに遭遇することもないかわりに、でも、心に誓った“三年連続”は果たしたのだった。(理系に行くと、クラスの女子の人数が足りなくてソフトに出られないかもしれない…。それで、迷わず文系にいったのは、蛇足中の蛇足だけど…)。