子どものころ、圧倒的に外科専門だった。保健室の話。内科で訪れた記憶はあんまりない。たぶん、風邪引いて具合悪くていったこともあっただろうが、けがでお世話になることのほうが、あまりに多くて、記憶のほとんどは、赤チンやガーゼや、白テープ。しまいには、たまたま保健の先生が外していたりしたら、勝手に脱脂綿だして、自分でちょんちょん。あとで、叱られたものだ。てへって感じで。一二年生のときの先生には馴染めなかったが、三年生のときから替わった先生には卒業までお世話になり、いまだに年賀状を交わしている。保育園までさかのぼると、最初の記憶は、年少組。なにをおもったのか、ジャングルジムの鉄棒におでこをご~ん。めんたま飛び出るほど痛かった。たんこぶになったのをみた担任の先生が、給食室に連れてってくれて、患部を砂糖を縫ってくれた(あれは、効くんだったんだろうか?)。

学校に上がってからも、憶えているだけでも、裸足で前庭の砂利を駆け抜けようとして、とがった石に足裏をえぐられたり、あるいは、しゃべりながら校庭の朝礼題から、飛びおりたとき。思いっきり舌の裏側を切った。そのときも、患部に赤チンだった気がする。びっくりするよな、いま思うと。あとは、プールから教室へ忘れ物を取りに戻ろうとしたときに、玄関の濡れた石の床ですって~ん。まさに、90度のカーブに失敗して派手に舞った。左の膝小僧が切れた。偶然、その瞬間に、向こうからやってきた男の子は、大爆笑!でも、わたしが、あまりに痛がって転がっているので(あの瞬間は息ができないんだな)、次第に申し訳ないやら、おろおろするやら、な、顔になっていたっけ。ちなみに、その子は、いま近所のスーパーで魚を立派におろしている。男三人のパパで、もう勉強せんで困るわ~、と口にして、今度はこちらを笑わせてくれている。実は、その膝のすぐあと!今度は、校庭でレフトフライをいつもみたいに、恰好つけて一歩下がってから再び出て、さらりと捕ろうとし
たところで、これまた砂が混じったアスファルトに足を滑らせ、大強打。こっちの方が痛かった。1分は息できないほど痛かった。これは、いまだに梅干みたいな傷跡が残っている。こちらは右ひざ。まぁ、数え上げるときりがないほど、外科ばっかり…。


いまの病院の話に戻ろう。MRI。これは、少しでも動くとまた最初からになるから厄介だ。ほとんど、聞き分けのいい犬レベルだから、こまったもん。それでも、大人しくしててくれたんだけどなぁ。最後の7秒で。突然、ヘッドフォンをむしりとって、起き上がってしまった。おやおや。多分、技師さんの、緊張が、彼女の平静を奪ったんだろな。馬鹿だね。あともうすぐ終わるよ!なんて、いったら余計緊張してしまうでしょうが。しら~ん顔して、あとまだまだって、言っておいて、終わったところで、はい終わり!って言えば、なんてことないのにね…。こういうのも、苦労して苦労して、やっとわかることだから、最初からできるひとなんて、いないのはわかるけど。それにしても、機械にいくら詳しくても、人を診れないでは、やっぱり半分。じゃないかなぁ。まぁ、みんなができるくらいなら、もとより、わざわざ、年齢でくぎって、わざわざ、ケアなんてことばもちださないでも済むんだど…。ともあれ。まぁ、それでも、全体の7割近くは撮れてるとかで、終了になった。わ
たしの、感情としては、もいちど、挑戦してみたかったような気もするけど、それでも、彼らなりに私の粘りに、異例の再挑戦をしてくれたのだから、いいかな。実はその前の、シンチの検査の方が長かったけれど、これは、レントゲンの連続撮影だから、ショットとショットの合間に多少動いても、そのつど、技師さんとわたしの呼びかけで、なんとか切り抜けたんだった。ともあれ。馴れない場所で、いきなり、検査。わたしも、あたまわるいから、ついでに診てもらったってことになってたんだけど、彼女は、とっても疲れたみたいだった。

そのせいかどうか。いつもより、珍しく早く起きていった。ほんとは、トイレ行って、もいちど眠るつもりでいたんだけど…。そしたら、なんだかいつもと違う。キズバンと包帯を必死で探しておろおろ。手を切った、という。転んだらしい。かとちゃんぺのところにも薄いかすり傷。(いったい、どうやったら鼻の頭ではなく、下をこするの?)血はたいしたことないが、掌だし、小さいけど傷が深そうだし、家での治療じゃ、本人が自覚しにくくて、また化膿でもしたらたいへんだし。すぐに、病院にいくことにした。さて、外科。あ~、ほんとに、シンチの造影剤を入れてくれる先生をその先生と勘違いして、「わたしより少し若いねぇ」なんて、子どもよりずっと下でもいいはずの先生を真剣に悲しがらせていたのは、いいとして、ともあれ、こういうとき、近くに傷も診てくれる先生がいてくれたら、どんなに力強いでしょう。仕方なく、一番近くて、一番待たない(いつも内科は年寄りでいっぱいだけど、外科は貸し切りみたいになる。ドクターの腕のせい?)公立の外科へ。ドクター
が替わっていることを少し祈りながら(実は、昨夏も、そうめん瓜の包丁に失敗して爪の先を切ったときに行ったんだな)…。残念。一緒だった。なぜなら、行ったらすぐ呼ばれて、見渡す限りひとりきりの患者だったもん。「隣の猫がやってきて、噛まれた!」(ライオンとちゃうねんで~)んだと、必死で言っているのがちょっと可笑しかった。そのドクターの、どうにもぎこちない返事も、少々、苦笑もの…。縫ってくれた。何針だったかは数えなかったけど。う~ん、ちょっと手際が素晴らしい!くは、なかったね。これは器用さの問題もあるけど。なにしろ、学生時代、別の先生が手におえない患者!?を持ってくるような、腕のいい獣医さんのオペをいつも見てたからなぁ。それに、おとなになってからも、カート庫の充電器の角におでこぶつけて、縫ってもらうようなこともあったし…。

検査のいちにちだけでも、へとへとだったのに。雨の中、ず~と、うじうじ悩んでいた、野菜の苗。一念発起!して、よ~し、やるぞ~って。買ってきて。でも、豪雨だっていうから、一晩見送って。苗をそこら辺に置いとくと、また、うちの喋るわんこ!?が、自分で植えようとするやもしれず、納屋の奥の、漬物樽の後ろに避難させて。起きたら、また雨がたくさん降り出す前に植えなきゃって。それでも、こちらの体調も少々すぐれない日だから、前の日のうちに、石灰まいて耕すだけはしておいたし。あとは、鶏糞と野菜用の肥料(なんとか2号ってやつ)を混ぜて、土を柔らかくして、そのうえに畝をつくって、移植すればいいのはわかってたし。自分でやったことなかったけど、子どもの頃から、みようみまねでわかるし。っと、おもってたところの、またまた、けが騒動ときたもんだ。うん?そうか!。横の道路で転んだって言ってたけど、傷口には土がいっぱい入ってたって先生言ってたなぁ。もしかして、苗を植えようとおもって、わたしが耕してた畑(台所のすぐ外のとこ
)で、苗を探してたのかなぁ?そしたら、いつもと違う行動になって、いつもと違う動きの中で、転んだこともなっとくできる。手を突いたところに、とがった石か何かがあって…。そうか。たぶん、そうだったのかな。ともあれ、縫って消毒もしてもらって、分厚いガーゼに包帯も巻いてもらって…。左手だけ、あしたのジョー!になって、丸くなって眠っている。過ぎてしまえば、どれもいい思い出なのかもしれないね。いやぁ~、それにしても、この生傷のオンパレード。は、子ども時分のわたし?なんだべか。ふ~。やれやれ。つかれますねぇ。おもしろいけど。