ともあれ、ずいぶんと眠りました。おかげで、少し、いや、かなり調子が戻ってきた気がします。ちゃんちゃんばらばらばあさんのほうも、快調にマイペースを繰り広げています。ともあれ、時間が流れていきます。どんな、日常にあっても、それがたとえ、常にかりそめの、その場しのぎの連続のような毎日であったとしても、そのなかで、いろいろ気が付いたり、発見できたりすることは、あります。それがいいのか、わるいのかなんて、わかりませんが、ともあれ、今できることをしている、という実感は、案外、ひとつの充実のかたちなのやもしれません。なにしろ、そう思えることが目の前にあることは、たぶん、とても恵まれていることだろうからです。なあんて、その都度その都度、奇特に考えられるほど余裕なんて、ないのだけれど、それでも、なんだかんだと、やりくりしながら、それなりのやり方やペースを見つけていく作業は、ちょっとばかり、面白いものであったりするのです。
さて、旅のつづきでした。美味しかったホットケーキを綺麗に平らげたあとは、再び車に戻り、メインストリートを南下。道の両側に次々に、現れる、瀟洒な建物や景観を、助手席の相棒に説明しながら…(わかっているのや、少々不安ですが…)、ゆっくりと進みます。有名な橋を過ぎ、有名な繁華街に入り、有名なパン屋さん、時計屋さんの前を過ぎたところで、右折。これまた、有名な橋(のあったところ)の交差点を横切り、さくらの名の付いた通りに進み、ぐるりとひとまわり。一丁目一番地のお役所に勤める、学生時代の友人と、大きな公園で待ち合わせ。なんと、その地下にある駐車場。階段しかないのだ!。あわわ、びっくり。仕方ないので、車椅子を運び、もどって、相棒のお尻を支えながらの階段です。もっとも、以前なら絶対嫌!と言うはずの階段をひとつずつちゃんと登ってくれます。お陰で、すっかり遅刻でしたが、無事友人にも再会。もっとも、写真を数枚撮ってもらい、あわただしく、近況を話すのが精一杯でした。困ったことに相棒は、わたしが知らない人と話す
と機嫌を損ねるからです。男女問わず。ほんまに、骨の折れるこったです。彼女には、とても恩があります。彼女がちょうど廃棄するとこだった、お古の車を譲ってもらえたお陰で、いまこうして、なんとか田舎での貴重な足が確保できています。ともあれ、初めて訪れたその有名な公園は、思いのほか木々が豊かで、まるで回遊式庭園のごとく、場所場所に見所があって、見事でした。駆け足でめぐるのがやっとでしたが…。
そうして、チェックイン。宿は、もしかすると最初でさいごやもしれぬ、交通至便、眺望最高の、優雅な立地です。年金(制度)のお陰でとてもお安く泊まることができました。おまけに、チェックインまでのほんの数分。相棒のあんまりの落ち着きのなさに、面食らった(のだろう)ホテルの方が、なんと、最上階の角部屋に変更してくれたようです(不幸中の幸い?もっとも、他のお客に迷惑のかからぬようやむを得ぬ緊急避難だったと、わたしは冷静にみていますが…、ともあれ、感謝です)。お陰で、びっくりするような、素晴らしい眺めでした。ばちが当たるのではないか知らんと、思えるような壮麗な景色。とはいっても、相棒にとっては、馴れぬ場所。部屋につくやいなや、鞄の中身を、そこらじゅうに広げ、見慣れた自分の衣類を散らかすことで、いくらか落ち着いたようですが、慇懃無礼のフロント空気は、車椅子に座らされた彼女には、耐え難いものであったようです。なにげない視線、決してわからないだろうと当人のおもっている心の中のとげ。それらが、彼女にはいたい
ほど、突き刺さるようなのです。そのことに気づけたのは、そのあとからでしたが…。ともあれ、ひとまず、間髪入れず、風呂に入れ、少し落ち着きました。ほんとは、また出かけて、別の友人と、大好きな書店の入っているビルで待ち合わせていたのですが、とても外出できる情緒でなく、やむなく友に部屋まで足を運んでもらいました。食事は、近くのコンビにで買ってきました。口に食べ物が来ても、興奮やまず、少し多めに買ってきてくれた友を驚かす食べっぷりです。わたしが、「あったらあるだけ食べるんです」そういつも言っているのが、どういうことだか、ほんとにわかったわ~、と、友。ヘルパーの資格も持つその友人は、そんな状態を目の当たりにしても、落ち着いていてくれたのが、救いでした。
まるで、なかなか寝ない子をあやすように、友も一緒にドライブに出ました。高速に乗ってぐるぐる。有名な橋をわたって、そこから見える素晴らしい夜景を相棒に見せるのが、もうひとつの楽しみだったのだけど…。あいにくと、橋はもちろん、ビルの灯りもどこかまばら。肝心のあの、赤い塔さえ、真っ暗でした。残念。仕方ないことですが、やっぱりちょっとがっかりでした。それでも、車の中は、ひとつの守られた空間。そして、安心の空間から、動く景色が眺められるのは、とても、こころに効くようです。「おっきいビルばっかりやなぁ~。もし、ここに大きな揺れがきたら、たいへんやなぁ~」そんなことを、言いながらも、幾分と、落ち着きを取り戻したようでした。宿に戻って、友とも別れ、ようやく一息です。わたしは、いったい何時間これで、眠っていないのだ?そう、思いながら、祈るような思いで、寝かしつけようとしますが、これがたいへん。まるで、こっちの想いを見透かしたように、なかなか寝そうで寝そうで、寝てくれません。それでも、なんとか、やっと、寝
たので、待ち合わせた友と、ちょっとお茶するべく、宿を出ました。
ところが。まもなく、ほんまに揺れがやって来ました。おやおやです。それから、しばらくして、戻ってみると、半分寝惚けたちんぷんかんぷんモード満開の彼女。ホテルのお兄さんを振り回していました。どうも、揺れの後からしっかり半時間は、廊下と部屋を行ったり来たり。そこらじゅうのものを散らかして、すっかり大迷惑をかけてしまったようでした。この椿事を、戻ってから主治医に話したら、とっても、うけていましたが…。そういえば、わたしが戻ったとき、彼女は、惚け惚けモードながらも、「子どもはちゃんと戻ってくるから…」と、何度も何度も。ホテルの人に言っているようでもあり、自分自身に言い聞かせているようでもあり…。ちょっとだけ、わたしの胸に残ったシーンです。ともあれ、こうして、やっと(のおもいで)、長い長い一日が終わったのでした(そうです。そのあと、せっかくひろいひろいベッドがふたつもあるのに、さびしいさびしいといって、わたしのベッドに入ってきて、やっと眠ってくれたのでした。そのあとは、わたしも気を失うように眠って
しまいましたから…。)(つづく)。
さて、旅のつづきでした。美味しかったホットケーキを綺麗に平らげたあとは、再び車に戻り、メインストリートを南下。道の両側に次々に、現れる、瀟洒な建物や景観を、助手席の相棒に説明しながら…(わかっているのや、少々不安ですが…)、ゆっくりと進みます。有名な橋を過ぎ、有名な繁華街に入り、有名なパン屋さん、時計屋さんの前を過ぎたところで、右折。これまた、有名な橋(のあったところ)の交差点を横切り、さくらの名の付いた通りに進み、ぐるりとひとまわり。一丁目一番地のお役所に勤める、学生時代の友人と、大きな公園で待ち合わせ。なんと、その地下にある駐車場。階段しかないのだ!。あわわ、びっくり。仕方ないので、車椅子を運び、もどって、相棒のお尻を支えながらの階段です。もっとも、以前なら絶対嫌!と言うはずの階段をひとつずつちゃんと登ってくれます。お陰で、すっかり遅刻でしたが、無事友人にも再会。もっとも、写真を数枚撮ってもらい、あわただしく、近況を話すのが精一杯でした。困ったことに相棒は、わたしが知らない人と話す
と機嫌を損ねるからです。男女問わず。ほんまに、骨の折れるこったです。彼女には、とても恩があります。彼女がちょうど廃棄するとこだった、お古の車を譲ってもらえたお陰で、いまこうして、なんとか田舎での貴重な足が確保できています。ともあれ、初めて訪れたその有名な公園は、思いのほか木々が豊かで、まるで回遊式庭園のごとく、場所場所に見所があって、見事でした。駆け足でめぐるのがやっとでしたが…。
そうして、チェックイン。宿は、もしかすると最初でさいごやもしれぬ、交通至便、眺望最高の、優雅な立地です。年金(制度)のお陰でとてもお安く泊まることができました。おまけに、チェックインまでのほんの数分。相棒のあんまりの落ち着きのなさに、面食らった(のだろう)ホテルの方が、なんと、最上階の角部屋に変更してくれたようです(不幸中の幸い?もっとも、他のお客に迷惑のかからぬようやむを得ぬ緊急避難だったと、わたしは冷静にみていますが…、ともあれ、感謝です)。お陰で、びっくりするような、素晴らしい眺めでした。ばちが当たるのではないか知らんと、思えるような壮麗な景色。とはいっても、相棒にとっては、馴れぬ場所。部屋につくやいなや、鞄の中身を、そこらじゅうに広げ、見慣れた自分の衣類を散らかすことで、いくらか落ち着いたようですが、慇懃無礼のフロント空気は、車椅子に座らされた彼女には、耐え難いものであったようです。なにげない視線、決してわからないだろうと当人のおもっている心の中のとげ。それらが、彼女にはいたい
ほど、突き刺さるようなのです。そのことに気づけたのは、そのあとからでしたが…。ともあれ、ひとまず、間髪入れず、風呂に入れ、少し落ち着きました。ほんとは、また出かけて、別の友人と、大好きな書店の入っているビルで待ち合わせていたのですが、とても外出できる情緒でなく、やむなく友に部屋まで足を運んでもらいました。食事は、近くのコンビにで買ってきました。口に食べ物が来ても、興奮やまず、少し多めに買ってきてくれた友を驚かす食べっぷりです。わたしが、「あったらあるだけ食べるんです」そういつも言っているのが、どういうことだか、ほんとにわかったわ~、と、友。ヘルパーの資格も持つその友人は、そんな状態を目の当たりにしても、落ち着いていてくれたのが、救いでした。
まるで、なかなか寝ない子をあやすように、友も一緒にドライブに出ました。高速に乗ってぐるぐる。有名な橋をわたって、そこから見える素晴らしい夜景を相棒に見せるのが、もうひとつの楽しみだったのだけど…。あいにくと、橋はもちろん、ビルの灯りもどこかまばら。肝心のあの、赤い塔さえ、真っ暗でした。残念。仕方ないことですが、やっぱりちょっとがっかりでした。それでも、車の中は、ひとつの守られた空間。そして、安心の空間から、動く景色が眺められるのは、とても、こころに効くようです。「おっきいビルばっかりやなぁ~。もし、ここに大きな揺れがきたら、たいへんやなぁ~」そんなことを、言いながらも、幾分と、落ち着きを取り戻したようでした。宿に戻って、友とも別れ、ようやく一息です。わたしは、いったい何時間これで、眠っていないのだ?そう、思いながら、祈るような思いで、寝かしつけようとしますが、これがたいへん。まるで、こっちの想いを見透かしたように、なかなか寝そうで寝そうで、寝てくれません。それでも、なんとか、やっと、寝
たので、待ち合わせた友と、ちょっとお茶するべく、宿を出ました。
ところが。まもなく、ほんまに揺れがやって来ました。おやおやです。それから、しばらくして、戻ってみると、半分寝惚けたちんぷんかんぷんモード満開の彼女。ホテルのお兄さんを振り回していました。どうも、揺れの後からしっかり半時間は、廊下と部屋を行ったり来たり。そこらじゅうのものを散らかして、すっかり大迷惑をかけてしまったようでした。この椿事を、戻ってから主治医に話したら、とっても、うけていましたが…。そういえば、わたしが戻ったとき、彼女は、惚け惚けモードながらも、「子どもはちゃんと戻ってくるから…」と、何度も何度も。ホテルの人に言っているようでもあり、自分自身に言い聞かせているようでもあり…。ちょっとだけ、わたしの胸に残ったシーンです。ともあれ、こうして、やっと(のおもいで)、長い長い一日が終わったのでした(そうです。そのあと、せっかくひろいひろいベッドがふたつもあるのに、さびしいさびしいといって、わたしのベッドに入ってきて、やっと眠ってくれたのでした。そのあとは、わたしも気を失うように眠って
しまいましたから…。)(つづく)。