「冬の日」という詩がある。『三好達治詩集』のなかに見つけた。「ああ智慧は かかる静かな冬の日に/それはふと思いがけない時に来る/人影の絶えた境に/山林に/たとへばかかる精舎の庭に/前触れもなくそれが汝の前に来て/かかる時 ささやく言葉に信をおけ/『静かな眼 平和な心 その外に何の宝が世にあろう』/~」さらに続き、同じフレーズのリフレインで締めくくられる。
夢は叶えるためにある。小さな小さな滴があつまって小川になり、それがいくつも重なって大河になって、やがて大きな海にたどり着く日があるように…。夢を持とうと言うのは易しい。胸に秘めたちいさな願いに信を込め、逆境にあっても決してあきらめないで耐え続ける。そうしてはじめて夢は叶う。そして、それは叶った瞬間、もうひとりのものではなくなるのだ。夢が新たな夢を生む。まわりのひとにもはかりきれない勇気と感動を伝える。だから、夢は叶った瞬間に、また新たな夢の始まりとなるのだ。
伝記作家のロマン・ロランさんは「人間の感情の4分の3は子供っぽい。残りの4分の1はもっと子供っぽい」と言っているとか。はたまた、あの思想家ルソー氏によると「人間をつくるのが理性であるとすれば、人間を導くのは感情である」と。ついでに。アインシュタインさんは「想像力は知識よりも大切である」。ナポレオンさんは「想像力は世界を制する」とも。想像することは、潜在意識に願望の種をまき、水や肥料をやり、丹精こめて育てることに他ならない、とあるところに。とぎれない気持ちを持ち続けることのたいせつさ、ありがたさを改めて噛み締める。名だたる文豪の恋愛論なる書物を何冊読破しようとも、実際にこころで育てた想いに勝るものはないのだろう。ひとを愛するということ、愛せるということの、なんて素晴らしき哉。
あるとしの冬のこの日にはじまった、一通のささやかな私信から。こんなにも偉大な存在になるなんて…。ありふれた奇跡だなんて、そんなことばでは表せないほどの奇跡があるんだ。真実は、ドラマよりはるかにドラマティックであるのは、ほんとうにその通り。夢はつづく。(風邪、ひかないようにがんばろう!)