草木に露が降りるころ。秋が深まりゆくころだろうか。「季節のなかでいちばん喜びをもたらしてくれるのは――― 夏であり、秋であり、冬であり、春である」ウィリアム・ブラウンというひとのことばだそうだ。深夜のラジオが紹介していた読者?投稿の一句。秋風に吹かれる秋桜。互いに触れそうで触れずに咲いている情景を17文字で表現していた。その場で書き留めておかなかったことを後悔している。あらゆる出会いは一期一会。そう深く感じさせられた。▼ちょうど、一年前だったろうか。シラノの文字に、反応した。一人舞台だという。同じ原作から作られた、いつかみた心温まる洋画も思い出された。いちど観てみたい。全席自由。どうしてそんなつまらないことを気にしたのだろう。まあ、来年でもいいかと。いつか観られるだろうと。でも、その日はもう来ない。
▼しんこくげきを、深刻劇だと思っていた。だから、あんなこわい顔してるのかな、と。地味だけど、20数年前のドラマの印象が鮮明。平凡な父親役。娘とその祖父との3人暮らし。折りしもバブルの最中。平穏な郊外の古くからの一戸建てに、べら棒な評価額が付き、相続が大変という、家族ドラマ。売り言葉に買い言葉で父と娘が同じ日に同じところで挙式をするという約束をしてしまう。そしたら、家出したおじいちゃんがいちばんに恋人を連れてきて…。ユーモアと家族の葛藤が丁寧に描かれた作品だった。青春は、心が老いてはじめてなくなる。たから年齢とは関係ない。「とっておきの青春」。素敵な響きだった。▼ひとは、みんな必ずいつか死ぬ。かなしいけれどどうしようもないこと。だから、今を…という。「老いや病というものは、闘うものではなくて、そっと寄り添うもの」「ほんとうにいい母親でした」…。素敵な言葉を、聞いた。
▼しんこくげきを、深刻劇だと思っていた。だから、あんなこわい顔してるのかな、と。地味だけど、20数年前のドラマの印象が鮮明。平凡な父親役。娘とその祖父との3人暮らし。折りしもバブルの最中。平穏な郊外の古くからの一戸建てに、べら棒な評価額が付き、相続が大変という、家族ドラマ。売り言葉に買い言葉で父と娘が同じ日に同じところで挙式をするという約束をしてしまう。そしたら、家出したおじいちゃんがいちばんに恋人を連れてきて…。ユーモアと家族の葛藤が丁寧に描かれた作品だった。青春は、心が老いてはじめてなくなる。たから年齢とは関係ない。「とっておきの青春」。素敵な響きだった。▼ひとは、みんな必ずいつか死ぬ。かなしいけれどどうしようもないこと。だから、今を…という。「老いや病というものは、闘うものではなくて、そっと寄り添うもの」「ほんとうにいい母親でした」…。素敵な言葉を、聞いた。