月夜は、ただそれだけで、とてもホッとするような、穏やかになれるような、とても満たされているような、そんな気持ちにしてくれる。どうしてだろう。千年昔のひとたちも、そんな風に月の明かりに気持ちのいろいろを映していたのだろうか。▼食券制のお茶漬け屋さんも併設している、食料品やさん。食のセレクトショップという感じ。加工品を中心に、各地の名産品を揃えていて、なかなかほかでは一度に買えない贅沢を叶えてくれる。ご飯好きの年配者には喜ばれる品が多そうだ。6点買った。帰って袋を見ると3つしかない。なんたることか。紙袋をリクエストした際にスリップされたか。急いで電話。実に丁寧な対応。早速にお詫びの品と、手書きの詫び状が添えられていた。若いのに立派だなぁ~。感心ひとしお。また贔屓にしよう。そんなある日。車の後部座席の足元をふと見ると。なにやら透明な袋に入った黒い物体が。もしや…。果たして。がび~ん。あちゃ~。ふ~。

▼ある年の初秋。引越してきた。高速道路を降りた。道にはまだ疎い。感覚だけを頼りに走る。降りてまもなくの交差点。声を掛けられた。言葉遣いも丁寧で、感じのいい青年。親切だった。ただ、服と同じブルーの紙をくれたけど…。それこそ、いきなりのご挨拶。まだ家の鍵さえ手にしていないというのに、住所を書かされて…。とほほ。まさに、出鼻をくじかれた。でも、今にして思えば、あのお陰でいい教訓になった。以来、いちどもない。今となっては、あのとき声を掛けられてよかったとさえ思う。▼「ひとは少しくらい風邪ひいても、ほっといたら治るけど、機械はなぁほっといても直らんのぞぉ」。名言だった。憧れの職業がある。ひとつは美容師さん。もひとつは、車を修理できるひと。飛行機でもいいのだけど。ともかく機械の構造がわかるひとは純粋にすごいと思う。自分で乗る車ぐらい自分で直せたらどんなにいいだろうって、思うから。あともうひとつは、大工さん。これも同じ理由から。ほかにもあるだろうけど、ひとをハッピーにできる。形あるものを作りだせる。
それって、とても素敵なことだと思う。哀しいかな、図工も物理も苦手だった。

▼高一の夏、手術を受けた。結果は一応成功だが、麻酔から醒めるときの気持ち悪さは尋常ではなかった。口の中から切ったがうまくいかず、結局外からも切ることに。その日、我が家でいちばん背の高い柿の木が、台風でもないのに根元から倒れた。その家のおばあさんが病気になると、自然と薬草が増えることがあるという。そんなことだったのだろうか。もしかして身代わりに?。思えば、3大不思議のひとつである。あと2つはまだだけど…。ひとはいろんなものに守られて生きている。のかもしれない。