5月生まれの男の子は、雄大な青空を泳ぐ鯉のぼりや、重厚なおもむきの兜にも、誕生日をお祝いしてもらっているよう。でも、本人にとっては、クリスマスやお正月が誕生日なのと同じに、主役になれる日が少なくなって少し残念なのだろうか。ほかにも、たとえば、6月生まれのお父さんや、9月生まれのお年寄り、みたいに。ともあれ。3歳から5歳くらいの男の子は、どうしてあんなに可愛いのだろうか。男の子に可愛いという形容は失礼なのかもしれないけど、ことその年齢ぐらいまでなら、許してもらえそうな気もする。とにかく、純粋であり、無垢であり、とても清らか。わたしがおんなだからよけいにそう思うのかもしれないけど、かつて、白洲正子さんの書かれたなかに、お能に登場する稚子の役割やその意味づけを思い出すに満更でもないように思える。ひとが、もっとも、清らがで美しいとき、いうなればいちばんかみさまに近いとき、そんな風にも思える。その大切なじきに、まわりのおとなたちから、ふんだんな愛情をそそがれで育ったら、さぞしあわせだろう。将来、
自分の家族にそそぐことのできる愛情の源は、きっとこの頃にもらったものが元になるに違いない。