いつも、少し早めに家を出て、車を所定のところに停めてから、しばし、プライベートの寛ぎの時間を持つのが、いつからか習慣になっていて、そこで好きな音楽と文字空間を愉しむのが朝の貴重なひとときなのだが。思わず、声を出して笑ってしまった。絶妙で、ストレートで、爽快で。こんなに早くに返事をもらえたのがとても、嬉しくて、そして、せっかくのお休みだったのでしょうにと、申し訳なさと一緒に。思った。思えば、戦中派の主人公に、時に反抗的に、時に純粋に若さのすべてをぶつけていた彼が、その主人公と同じ年齢になったときに、はまり役ともいえる役柄を得て、かの先輩以上に素敵に輝いているのを見ると、なんともいえない感慨を覚える。30代、40代の悩める時代を経てこそのだったのだと、さるインタビュー記事で知った。時の流れというのは、なんとも滋味深いものなのだなぁ~と改めて感じた。


友人が貸してくれた本の中に、こんな訳詩を見つけた。『人生は、自由に何のじゃまものもなく歩めるような、/ まっすぐで楽な廊下ではなく、/通る者にとっては迷路で、/自分で道をみつけねばならず、/道に迷い、わけがわからなくなり、ときには/袋小路につきあたることもある。//しかし、信念があれば、/かならずや道は開ける。/思っていたような道ではないかもしれないが、/やがてよかったとわかる道が。』 特に、下段の数行が心に響いた。


時間があうとき、ときどき、自宅までお送りして差し上げるご婦人がいて、件の本もその方が貸してくださったのだが、わたしとしては、道すがらできるおしゃべりがたのしいのでちっとも苦ではないのに、義理堅く、そのお返しにと、温もり溢れるお弁当を時々作ってくださる。お茶も着物もおできになり、かつてはタイプライターを叩かれていたというその方は、わたしよりほんの28歳としうえで、お料理もとても上手で、是非弟子入りさせてくださいといいたいくらいなのだが、それはさておき、若い頃は制服を駅で着替えて、その街まで繰り出し今はもうない演舞場?で、踊っていたという、なんとも素敵な青春時代をお持ちで、ご本人は不良だっただけとおっしゃるが、なんてかっこいいと、その不良にさえなれなかったわたしなどはそう思い、そんなわけで、馬が合うのか、よく話し相手をして頂いている。おんなのしあわせって、ほんとうに心から好きなひとを一生かけて想い続け愛することですよね、ってのはまだ話してないけど、ともあれ、「生きるって大変ですね~」なんて話は、生まれ年の近い相手とはなかなかできないので。。「たまには、さくっと街まで行きませんか」とお誘いし、中華が好きとおっしゃるので、「私もまだ行ったことはないのですが」と、大きな餃子で有名なお店をご紹介したら、いたく気に入られて、ふたりして、「おいしいね、おいしいね」とぺろりとたいらげてしまった。「やっぱり、世を変える力を持つのは、美味しい食事と愛ですかねぇ~」ってドラマの台詞の通りかもしれませんねぇ~。美味しい時間は、ほんとにひとのこころを幸せにします。