葭始生。葦が芽を吹き始める頃だそうである。もっとも今春は、おつりが来そうなくらいの雨にすでに恵まれていそうだが。さて。今週の占いはすこぶるよかった。なんだかそれだけで、きっといいことがある、そう信じていたい気分の週がやってきた。でもとても落ち着き払ってはいるのだけれど。さてさて。あるひとが、正中線のことを話していた。それを聞いて合点がいった。とくに、パターの構え。日によって、全くまっすぐ立てない日があったのはこのせいだったのか、と。恐らく、武道でも形(かた)というのは、とても大事なのだろうと思うけど、上手いひとは、構えが違う。地に足がついているとうか、軸が見えるというか。ともかく、芯がある。横から圧されてもめったなことでは揺らぎそうにない。姿勢それ自体がすでに強い意志を伝えているようにも見えるほど。だから、構えというのは、きっととても大事なのだ。家でも。心でも。あと面も?


ある時、ついてくれたベテランのキャディさんが、とても気さくで、しばしお客さん談義で盛り上がったのだが。その方曰く、「『キャディさん長いの?』『どこから来てるの?』『ゴルフはするの?』ひどいでしょ~う?、まったく他に会話をする術がないのかしらねぇ~」。確かに。わたしも、そのころ、毎回いいかげんに違う答えを返していたものだったので深く、同感、同情したのだった。ゴルフというのは、球を打つだけが本筋ではなくって、マナーだとか、スタイルだとか、空間への配慮だとか、要は、男を磨き、女を磨くところだのに。何かを、変える努力をしないと、画期的に変われるはずもないのに。スコアに夢中もわかるけど、それだけがすべてですか?お金を稼いだだけのひとがほんとに偉いのですか?そんな風に毒舌を吐きたくなることが度々あったなぁ~なんて思いだしていた。思うに、コースで絶対やってはいけない3か条がもしあるなら。打ってから言い訳をすること。打ってから(大概打ち損じてから)素振りをすること。ホールアウトしたのにピンをもたないこと。無論、勝手な独論だけど。つまりは、カッコワルイ3条件、とも、いえるかもしれない。


「そもそも、お金っていったい何なのですかねぇ」「真相というものは、いつも意外なものですねぇ」「本音は往々にして醜いものです」「夫婦というのは、別々の楽器でひとつものを奏でるようなものかもしれませんねぇ」。さしずめ、大人版コナンくん、もしくは和製ホームズといったところの主人公が、折に触れてさりげなく漏らす台詞には、なかなか深く渋みのあるものが多く、とても気に入っている。ところで、趣味というのは、もともと娯楽という意ではなく、taste、つまり“味わう”という意味の語の和訳だそうである。だから、そこには、無論、苦味や酸味も入っているというわけ。だから、つらい部分、苦しい部分、そんなところを頑張るってところもひっくるめて味わう意志と覚悟がないと、ということなのだろうな、と理解した。もともと、遊びがたのしくおもしろいのはそういうのもあるからだって、ごく自然なことに思える。「人間を高めるのは、身分ではなく、心だ」。あの、モーツァルトの言葉だそうだ。[恐らく、しあわせという袋の中には苦労という辛苦も入っている。だから苦を厭うひとの心には、いつまでたっても本当のしあわせは訪れない。そのことに気づけた者だけに、しあわせはきっとそっとやってきてくれるのだろう。]って思ったけど違うかな。それはそうと、ほんものの“カッコよさ”って何でしょうねぇ。