ことのほか、月の影響を受けやすいのであるらしい。みな、そうだが、特に女性は。14才の少女がいきなり、金メダルをとってしまったりするもの、恐らく、そんなことも関係していそうな気がする。ともあれ。満月の日に重なると、一寸大変なのである。そう、女子プロに3週連続優勝というのが、なかなかないのもそんなことではなかろうか。専門用語では、PMSとかいうらしいけど。まずパットが所謂テンカンになる。スコアはパッッティングが命だし。まあ、ともあれ、無粋な話はこの辺で。


ところで。土用というのは、本来、立春、立夏、立秋、立冬の前18日間を指すらしい。なぜ、18という数字なのか、本来、何をするための期間なのか、一寸知りたい気がする。それから、新月と満月の数日間が雨が降りやすいと聞いたことがある。なんでも月には、太陽と違い、潤いを与え、ささくれた神経を癒すはたらきがあるのだそうだ。あやかりたいものである。


夏になると、むしょうに推理小説が読みたくなる。目の覚めるようなプロット(筋書き)と、謎解きで、せめて、心の温度だけでも、すかっと涼しくしたくなるからだろうか。ずっと昔、上野駅で夜汽車の到着を待ちながら、あの「点と線」はこんな情景から生まれたのかもしれない、とふと思ったことがある。ほんに見事な着想だ。高校の頃、あの乱歩が選んだ海外傑作選なるものが文庫になっていると知って、全5巻を夢中で読んだ覚えがある。でも内容は、シチューの中に人の指が入っているなんともグロテスクな話以外は、さっぱり覚えていないのだが。


「いない人をいるように思わせる」。刑事コロンボお得意のアリバイトリック崩しも、興味深い。あるはずのないものがそこにあったり、ないはずないものものがなかったり。ほんのささいなひとこと、あるいは、情景(文脈)の中の不自然さを見落とさない千里眼。あこがれである。このひとことは、胸の奥の方に、ずっとひっかかっていたある直感を、少し目覚めさせるはたらきがあったような気がしないでもない。「抹茶とバニラ」。この響きにも、既視感ならぬ、既聴感を覚えたのは、気のせいだろうか。夜を濡らす、やや控えめな雨音を聞きながら、しばしそんな点と線におもいをめぐらせている。あの名優と誕生日は同じでも、こちらのそれは、俊敏さにも華麗さにも欠けていて、一寸哀しい。(ともあれ、夜の雨はとても好きだ。騒がしい心を静めてくれるからかもしれない。)