春が近いのを感じるのは、ほんわか優しい風の匂いを嗅いだときでも、薄桃色の花びらを目にしたときでもなく、朝起きてすぐに暖房をつけていなかったり、茶碗を洗い始めてからお湯のスイッチを入れ忘れていることに気がついたりするときかもしれない。随分、所帯染みてる気がしないでもないけれど。そんな意味では近いようだ。


ときに。突然だけど。チップについて考えてみたい。そう、あの心付ともいうもの。凡そチップ社会とは縁遠いこの国で育ったので、本来のマナーや方法を知らないのだが。以前、キャディさんをしているとき時々もらった。無論、嬉しくないわけではないが、私の浅学と自分なりの感覚に寄れば、あれはやはり後付が正しいのではないだろうか。とても気持ちよくラウンドできたことへのお礼として最後に下さる方は、いずれも好印象だったせいもあるのだろう。反対に、最初にもらってこちらが気持ちよく仕事が出来たためしがほとんどない、というのも大いに関係している。例えば、ほんとうに初心者でどうにも手を借りないといかんともしがたいという方の場合は、先付もわからないでもないが、その他多くは「自分だけ贔屓してください」と言わんばかりの思惑が絶えず見え隠れし、あくまで平等に振舞うべくこちらの仕事を邪魔することさえある、としたら迷惑千万。明らかに商売人魂に欠ける私ゆえの過剰な反応なのかもしれないけれど。近く、少々考えさせられる出来事があったので、愚痴がてら書いた次第。


何となく、物憂く気だるい夜。月を眺めても、好きな映画を観ても、本を開いても、心の雲が晴れないとき。ほんのなぐさみに卦をやってみる。コイン3枚を6回投げて、その表裏の配列で占うというもの。子供だましに見えて案外、意義深い示唆をくれる。一度目は、「恐れず、でも理性を忘れずに」と出、二度目は、「焦らず、慎重、賢明に。驕るなかれ」と。まあ、いつでも当てはまる教訓に思えなくもないが、いつも不思議とカギになる言葉が含まれてくるから面白い。もっとも、心が快晴のときには、やってみようなどとは思わないのだから、やっぱり「当たるも八卦。当たらぬも八卦」なのだろう。